
ことばと聞こえの専門家:言語聴覚士
言語聴覚士は、話すこと、聞くこと、そして意思疎通全般、さらに食べることや飲み込むことに困難を抱える人々を支える専門家です。赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年齢層の方々を対象に、医療や福祉、教育といった様々な場所で活躍しています。
例えば、ことばの発達がゆっくりなお子さんには、正しい発音を身につけるための指導を行います。また、脳卒中などでことばに障害が残ってしまった方々には、再び円滑に話せるようにリハビリテーションを行います。うまく飲み込むことが難しい方々には、安全に食事ができるように、摂食・嚥下機能の訓練を行います。さらに、耳が聞こえにくい方々には、聞こえを支えるためのリハビリテーションを行います。人工内耳をつけた方へのサポートや、声帯など発声器官に障害のある方へ、他の方法で意思を伝える手段の指導も行います。
近年は、認知症の方とのコミュニケーション方法の指導や、声を出しすぎることで起こる音声障害を未然に防ぐための指導にも力を入れています。歌手や教師など、声をよく使う職業の方に、どのように声を出すと負担が少ないか、またどのようなケアが必要かといった指導を行うこともあります。高齢化が進むにつれて、加齢に伴う飲み込みにくさへの対応も、言語聴覚士の大切な仕事の一つとなっています。このように、言語聴覚士は人々の生活の質の向上に欠かせない役割を担っています。