「Q」

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その他

生活の質を高める介護を目指して

「生活の質」とは、人が人生にどれだけの満足感を得ているかを示す考え方です。これは、よく「クオリティ・オブ・ライフ」の頭文字をとって「QOL」とも呼ばれます。この「生活の質」は、体の健康状態が良いかどうかだけでなく、心の充足感、人との繋がり、お金の安定など、様々な要素が複雑に関係し合ってできています。 人によって大切に思うことは違いますし、同じ人でも年齢や置かれている状況によって変化します。若い頃は仕事での成功を重視していた人が、年を重ねるにつれて家族との時間を大切に感じるようになる、といった変化はよくあることです。病気や怪我で体の自由が利かなくなると、それまで当たり前だった日常生活のありがたみに改めて気付くこともあります。このように、「生活の質」は、他人が決めることではなく、あくまでその人自身がどう感じるかが重要になります。そのため、数字で測れるようなものではありません。 介護の仕事では、利用者の方々がどのような暮らしを送りたいと考えているのか、何に喜びや生きがいを感じているのかを理解し、その気持ちに寄り添うことがとても大切です。「みんな同じように」ではなく、一人ひとりの価値観や望みを尊重した、その人に合った支援を心がける必要があります。 「生活の質」を高めるためには、体の世話をするだけでなく、心のケアにも力を入れなければなりません。利用者の方々が安心して穏やかに過ごせる場所を作り、自分らしく生き生きと暮らせるように支えていくことが求められます。例えば、好きな音楽を聴いたり、思い出の写真を見たり、趣味を楽しんだり、といった活動を通して、心にも潤いを与え、毎日を楽しく過ごせるように支援していくことが重要です。このように、心と体の両面から支えることで、その人らしい充実した生活を送れるようにお手伝いしていくことが、介護の大きな役割と言えるでしょう。
終活について

人生の最終章:QODを考える

人生の終わりが近づいた時、ただひたすら寿命を延ばすことだけが大切なわけではありません。残された時間をどのように過ごすか、どのような医療や世話を受けたいか、人生の締めくくりをどのようにしたいか、これらは人それぞれ異なる大切な願いです。終末期医療では、このような患者さんの思いを何よりも尊重しなければなりません。 良い最期を迎えるためには、質の高い死、つまり苦痛のない死を目指します。これは、体の痛みを取り除くことだけを意味するのではなく、心の安らぎを保ち、その人らしい生き方を尊重することを含みます。そのためには、医師や看護師などの医療に携わる人たち、家族、そして患者さん本人が、お互いを理解し、支え合う関係を築くことが欠かせません。 穏やかな最期を迎えることは、患者さん本人にとってはもちろん、残された家族にとっても大きな意味を持ちます。深い悲しみの中でも、最愛の人が安らかに息を引き取れたという事実は、前向きに生きていく力となるからです。 医療の進歩によって、寿命を延ばすための様々な治療が可能になりました。しかし、それと同時に、人生の最終段階をどう過ごすか、より深く考える必要が出てきました。良い最期を迎えるということは、ただ死を迎えるのではなく、人生の最後の時をどのように締めくくるかを考える、大切な視点を与えてくれるのです。人生の最期まで、その人らしく生きられるように、医療だけでなく、周りの人々の支えと理解が不可欠です。患者さんの思いを尊重し、共に最期の時を歩むことが、終末期医療において何よりも大切と言えるでしょう。