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介護職

言葉を超えた対話:ノンバーバルコミュニケーション

人は言葉だけでなく、様々な方法で気持ちを伝え合っています。身振り手振りや表情、目線、声の調子、触れ方といった、言葉を使わない伝え方をまとめて、言葉以外の伝え方と呼びます。これは、私たちの日常でとても大切な役割を果たしています。 例えば、にこやかな笑顔は喜びや好意を表す代表的な表情です。相手が笑顔でいれば、私たちも自然と明るい気持ちになります。反対に、腕を組む仕草は無意識のうちに相手への警戒心を示している場合があります。相手が腕を組んで話を聞いていると、私たちは少し不安な気持ちになるかもしれません。 また、相手の話を真剣に聞いている時は、自然と相手の目を見て、よく頷くようになります。これは、言葉で「聞いていますよ」と言うのと同じくらい、相手に気持ちが伝わります。逆に、目を合わせなかったり、上の空で相槌を打たないと、相手は「話を聞いてもらえていない」と感じ、寂しい思いをするでしょう。 このように、私たちは言葉を使わなくても多くのことを伝え、また受け取っています。言葉で表現するのが難しい繊細な感情や微妙な気持ちも、言葉以外の伝え方を通して伝えることができるのです。例えば、嬉しい時、悲しい時、怒っている時、不安な時など、言葉でうまく表現できなくても、表情や仕草にはっきりと現れることがあります。 言葉以外の伝え方を意識することは、円滑な人間関係を築く上でとても重要です。相手の言葉以外の伝え方に気を配り、自分の伝え方にも注意することで、より深く相手に気持ちを伝えることができるようになります。そして、お互いをより深く理解し、信頼関係を築くことができるでしょう。
医療

ノロウイルス感染症を防ごう

ノロウイルスは、冬場に流行しやすい感染性の強い胃腸炎を引き起こすウイルスです。少量のウイルスでも感染してしまうため、非常に注意が必要です。 ノロウイルスに感染すると、吐き気や嘔吐、激しい下痢、お腹の痛みといった症状が現れます。また、熱が出ることもあります。健康な成人は数日で回復しますが、乳幼児や高齢者は、吐き気や下痢によって体の水分が失われやすいため、脱水症状に陥りやすく、重症化することもありますので、特に注意が必要です。 ノロウイルスは一年中を通して感染例が見られますが、特に冬場、11月から2月にかけて多く発生する傾向があります。これは、ノロウイルスが低温に強く、冬場は空気が乾燥しているため、ウイルスが空気中に漂いやすいことが原因の一つと考えられています。また、空気が乾燥すると、喉や鼻の粘膜の防御機能が低下し、感染しやすくなることも影響しています。 ノロウイルスの感染経路は様々です。食べ物や飲み物を介して感染するだけでなく、感染者の便や吐しゃ物に含まれるウイルスが手に付着し、その手で口に触れることによっても感染します。また、感染者が触れたドアノブや手すりなどを介して感染することもあります。さらに、ノロウイルスは空気感染も指摘されており、患者の吐しゃ物から小さなウイルス粒子が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染する可能性もあるのです。 一度ノロウイルスに感染しても、免疫は長期間持続しません。そのため、繰り返し感染する可能性も高く、注意が必要です。感染予防のためには、こまめな手洗いやうがいを徹底することが重要です。調理器具やドアノブなどの消毒も効果的です。特に、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人は、感染予防にさらに気を配る必要があります。
その他

ノーマライゼーション:共に生きる社会を目指して

誰もが当たり前に暮らせる社会を作る、これがノーマライゼーションの目指すところです。この考え方は、障害のある人もない人も、同じように社会に参加し、地域の中で共に暮らすことを大切にしています。障害のある人を特別な存在として区別するのではなく、一人ひとりの違いを認め合い、尊重し合う社会を目指しているのです。 このノーマライゼーションという考え方は、1960年代に北欧で誕生し、世界中に広まりました。日本では、1960年に施行された知的障害者福祉法で初めてこの言葉が使われ、その後、様々な法律や制度に取り入れられてきました。ノーマライゼーションは、単に障害のある人の生活を支えるだけでなく、社会全体のあり方を変える必要があるという、大切な理念に基づいています。 障害のある人が暮らしにくいのは、個人の問題ではなく、社会の仕組みに問題があると考えます。例えば、段差が多く車いすでの移動が難しい、情報が音声や点字で提供されていないなど、社会の環境が障害のある人の社会参加を妨げているのです。これらの社会環境を改善していくことが、ノーマライゼーションではとても重要になります。 具体的には、公共交通機関のバリアフリー化や、情報提供の手段を多様化するなど、様々な取り組みが必要です。また、障害のある人に対する偏見や差別をなくすための啓発活動も大切です。ノーマライゼーションは、障害のある人だけでなく、高齢者や子ども、外国人など、誰もが暮らしやすい社会を作るための考え方であり、私たち一人ひとりがこの考え方を理解し、行動していくことが重要です。
医療

とびひってどんな病気?

「飛び火」と呼ばれる皮膚の病気は、正式には「膿痂疹(のうかしん)」と言い、細菌による感染症です。皮膚に黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が付着し、増殖することで発症します。症状の特徴としては、水ぶくれやかさぶたを伴う赤い発疹が現れます。この発疹は、まるで火の粉が飛んで広がるように見えることから、「飛び火」という呼び名が付けられました。 飛び火は、感染力が非常に強く、特に小さなお子さんが集まる保育園や幼稚園などでの集団感染がよく見られます。また、患部を掻きむしることで、手に付着した細菌が他の部位にも広がり、症状を悪化させる原因となります。そのため、早期の治療と適切なケアが重要です。 飛び火は、決して珍しい病気ではなく、適切な治療を受ければ比較的早く治癒します。抗生物質を含む塗り薬や、症状によっては飲み薬が処方されます。医師の指示に従って薬を使用し、患部を清潔に保つことで、通常は1週間から2週間程度で治ります。ただし、症状が悪化したり、高熱が出るなどの場合は、他の病気が隠れている可能性や合併症を引き起こす可能性もあるため、自己判断せずに必ず医療機関を受診してください。 飛び火の予防には、日頃から皮膚を清潔に保つことが大切です。皮膚のバリア機能が低下している時や、虫刺されなどで皮膚に傷がある場合は、細菌が侵入しやすくなります。小さな傷でも適切に処置し、清潔な状態を保つようにしましょう。また、感染を広げないためにも、タオルや衣類などは共有せず、こまめに洗濯することが重要です。 飛び火は、適切な処置を行えば心配する必要はありません。しかし、感染を防ぎ、早期に治療するためにも、正しい知識を持ち、日頃から予防を心がけることが大切です。
医療

脳卒中と介護・介助

脳卒中とは、脳の血管にトラブルが生じ、脳の働きが損なわれてしまう病気です。脳は、からだのさまざまな機能を調整する大切な役割を担っています。ちょうど、複雑な機械を動かすための指令室のような存在です。この指令室に問題が起きると、体にさまざまな不調が現れます。 脳卒中には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、脳の血管が詰まってしまう「脳梗塞」です。これは、血管の中に血のかたまりなどができて、血液の流れが阻害されることで起こります。もう一つは、脳の血管が破れてしまう「脳出血」です。これは、高血圧などが原因で血管がもろくなり、破裂することで起こります。どちらの場合も、脳への血液供給が途絶え、脳細胞が酸素や栄養を受け取れなくなってしまうため、脳の機能が損なわれてしまいます。 脳卒中で脳の働きが損なわれると、体にさまざまな麻痺や障害が現れます。例えば、手足の麻痺によって歩くことや食事、服を着替えるといった日常の動作が難しくなることがあります。また、言葉がうまく話せなくなったり、口がもつれてしまうこともあります。さらに、意識がなくなったり、記憶がなくなったり、ものごとを理解する力や判断する力が低下するといった症状が現れる場合もあります。これらの症状は、脳のどの部分が損傷を受けたかによって大きく異なります。 脳卒中は命に関わる重大な病気であり、後遺症が残ってしまうことも少なくありません。後遺症によって、日常生活に支障が出て、介護が必要になる場合もあります。そのため、脳卒中にならないための予防や、早期発見、早期治療が非常に大切です。また、後遺症が残ってしまった場合には、適切な対応やリハビリテーションを行うことで、少しでも日常生活の自立度を高めることが重要です。
医療

脳出血の基礎知識と予防について

脳出血は、脳内の血管が破れ、血液が周囲の組織に漏れ出す病気です。私たちの脳は、体全体の機能を調整する司令塔のような役割を担っており、常に大量の酸素と栄養を必要としています。これらは血管を通して脳に届けられますが、血管が破れてしまうと、脳細胞に必要な酸素と栄養が行き渡らなくなります。そして、脳細胞の働きが阻害され、様々な神経症状が現れるのです。 出血の場所や量、損傷を受けた脳の部位によって症状は大きく異なります。例えば、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らなくなる言語障害、意識がなくなる意識障害などが挙げられます。また、出血量が多い場合は、生命に関わる危険性も高くなります。 脳出血の主な原因は高血圧です。長期間にわたり高い血圧にさらされると、血管に負担がかかり、もろくなって破れやすくなります。そのため、日頃から血圧を適切な範囲に保つことが非常に重要です。また、血管を硬くする動脈硬化も危険因子の一つです。動脈硬化は、血管の壁にコレステロールなどが蓄積し、血管が狭く硬くなる病気です。血管が硬くなると、血圧が上昇しやすく、脳出血のリスクが高まります。動脈硬化の予防には、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。 脳出血は突然発症することが多く、発症後の適切な処置がその後の経過に大きく影響します。そのため、日頃からの予防が何よりも大切です。高血圧の人は定期的に医師の診察を受け、血圧を適切に管理しましょう。また、動脈硬化の予防にも積極的に取り組み、健康な生活習慣を維持することが重要です。
医療

脳梗塞のリハビリテーション:介護と介助

脳梗塞は、脳の血管が詰まることで起こる病気です。血管が詰まると、血液が脳に届かなくなり、脳の細胞が傷ついてしまいます。このため、様々な症状が現れます。詰まり方には大きく分けて三つの種類があります。 一つ目は、ラクナ梗塞と呼ばれるものです。これは、脳の奥深くにある細い血管が、動脈硬化によって徐々に狭くなり、最終的に完全に詰まってしまうことで起こります。動脈硬化は、血管の壁が厚く硬くなることで、加齢とともに誰にでも起こりうる変化です。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があると、動脈硬化が進行しやすくなります。 二つ目は、アテローム血栓性脳梗塞です。これは、コレステロールなどが血管の壁にたまり、血管の内側が狭くなっていくことで起こります。狭くなった部分で血液の流れが滞り、血の塊(血栓)ができやすくなります。この血栓が血管を完全に塞いでしまうと、脳梗塞を発症します。こちらも、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が危険因子となります。 三つ目は、心原性脳塞栓症です。心臓の中にできた血栓が血液の流れに乗って脳の血管まで運ばれ、血管を詰まらせることで起こります。心臓に病気があると、心臓の中に血栓ができやすくなります。特に、心房細動という不整脈は、心原性脳塞栓症の大きな原因となります。 脳梗塞の症状は、詰まった血管の位置や大きさによって様々です。片側の腕や足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出てこない、視野が狭くなる、ものが二重に見える、激しいめまいやふらつきなどがよく見られる症状です。これらの症状が突然現れたら、すぐに病院を受診することが大切です。早期に発見し、適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに回復できる可能性が高まります。日頃からバランスの良い食事、適度な運動、禁煙などを心がけ、生活習慣病の予防に努めることも重要です。
医療

脳血管性認知症:知っておきたい基礎知識

脳血管性認知症は、脳の血管のトラブルが原因で起こる認知症です。脳の血管が詰まること(脳梗塞)や、血管が破れること(脳出血)といった脳血管障害によって、脳の神経細胞が傷つき、様々な認知機能に障害が現れます。言いかえると、脳への血液の流れが滞ったり、止まったりすることで、脳の細胞に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなり、細胞が損傷を受けてしまうのです。 この病気でよく見られる症状の一つに記憶障害があります。例えば、最近の出来事を忘れてしまったり、何度も同じことを聞いたりすることがあります。しかし、記憶障害だけでなく、他の認知機能にも影響が出ることがあります。例えば、言葉がうまく出てこなくなったり、話の内容が理解しにくくなるといった言語機能の低下、状況を適切に判断したり、計画を立てたりすることが難しくなるといった判断力の低下、物事を順序立てて行うのが困難になるといった遂行機能の低下などが挙げられます。これらの症状は人によって異なり、複数の症状が同時に現れる場合もあります。 脳血管性認知症の進行の仕方は様々です。階段状に悪化する場合、つまり症状が急に悪化し、その後しばらく安定し、また急に悪化するというパターンを繰り返す場合もあります。一方、ゆっくりと少しずつ症状が進んでいく場合もあります。また、症状の現れ方や重症度も人それぞれです。そのため、早期に発見し、適切な治療や生活への工夫を行うことが非常に大切です。早期発見のためには、少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることが重要です。そして、診断後は医師の指示に従って治療を続け、日常生活でも認知機能の低下を補う工夫をしながら生活していくことが大切です。
その他

能力障害を理解する

能力障害とは、日常生活を送る上で必要な動作や活動が困難になる状態のことを指します。具体的には、朝起きて顔を洗い、歯を磨き、服を着替え、食事をするといった、毎日の暮らしに欠かせない動作や、家事や仕事を行うこと、地域社会に参加することなどが、思うようにできなくなることを意味します。 能力障害は大きく分けて二つの種類に分けられます。一つは身体機能の障害です。例えば、手足の動きが悪くなったり、視力や聴力が低下したり、言葉をうまく話せなくなったりするなど、身体の器官に不具合が生じることで、日常生活に支障をきたす場合があります。具体的には、食事をする際に箸やスプーンを使えない、服のボタンを留められない、一人でトイレに行けない、階段の上り下りが困難になるなど、様々な場面で不自由が生じます。 もう一つは精神機能の障害です。これは、記憶力や判断力が低下したり、感情のコントロールが難しくなったりすることで、日常生活に影響が出ることです。例えば、約束を忘れてしまったり、道に迷ってしまったり、人とのコミュニケーションがうまく取れなくなったりすることがあります。 能力障害の原因は様々です。生まれつき持っている場合もあれば、病気や怪我、事故などによって後天的に生じる場合もあります。また、年齢を重ねるにつれて身体機能が低下し、能力障害につながることもあります。能力障害の程度も人それぞれで、日常生活にほとんど支障がない軽度のものから、常に誰かの助けが必要な重度のものまで様々です。能力障害のある人が、その人らしく、地域社会で安心して暮らせるよう、周囲の理解と適切な支援が不可欠です。具体的には、手すりやスロープの設置、介助サービスの提供、コミュニケーション支援ツールの活用など、様々な支援策があります。私たち一人ひとりが、能力障害について正しく理解し、共に生きる社会を築いていくことが大切です。