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認認介護:支え合う認知症高齢者
近年、高齢化が進むにつれて、認知症の方が増えています。それと同時に、認知症のご高齢の方が、同じように認知症を持つご高齢の方を介護する『認認介護』が深刻な問題となっています。これは、症状が軽い認知症の方が、より症状が重い認知症の配偶者や親、兄弟姉妹などを介護する状況を指します。
この問題は、家族形態の変化や社会構造の変化とも密接に関係しています。核家族化が進み、子供たちが親元を離れて暮らすようになり、高齢のご夫婦だけで生活する世帯が増えています。そのような中で、どちらかの配偶者が認知症を発症すると、もう片方の配偶者が介護をせざるを得ない状況に陥ることがあります。また、親の介護をしていた子供が、自身も高齢になり認知症を発症するケースも増えています。
認認介護は、介護する側とされる側、双方にとって大きな負担となります。介護する側は、認知症であるがゆえに、適切な判断や行動が難しく、介護の質が低下する可能性があります。例えば、薬の管理や食事の提供が適切に行われなかったり、安全確認を怠ったりする可能性があります。また、介護される側は、必要なケアが受けられないことで、健康状態が悪化したり、生活の質が低下したりする危険性があります。さらに、介護する側も、肉体的にも精神的にも大きな負担を抱え、自身の健康状態を悪化させてしまう可能性があります。適切な休息や睡眠が取れず、栄養状態が悪化したり、ストレスから精神的に不安定になることも考えられます。
認認介護は、個人や家族だけで解決できる問題ではありません。社会全体でこの問題を認識し、支援体制を整えることが必要です。地域包括支援センターなどの相談窓口の活用や、訪問介護サービス、デイサービスなどの介護サービスの利用促進、そして、認知症の方やその家族を支えるための地域社会の構築が求められています。早期発見、早期対応によって、認認介護の状況を改善し、ご高齢の方々が安心して暮らせる社会を実現していくことが大切です。