ICF

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暮らしと健康:国際障害分類解説

国際障害分類(ICF)は、世界保健機関(WHO)が作った、健康状態を世界共通の尺度で表すためのものです。これは、これまで身体だけに注目していた障害の捉え方を変え、生活の様々な面から見ていくためのものです。 以前は、障害があるということは、ただ体の機能がうまく働かないことだと考えられていました。しかしICFでは、体の機能だけでなく、日常生活の中での活動や社会への参加といった面も大切に考えています。例えば、歩くのが難しいという体の機能の問題だけでなく、そのために買い物に行けない、仕事に行けないといった、生活や社会への影響も障害として捉えるのです。このように、ICFは障害を広く捉え、その人を取り巻く状況全体を理解しようとするものです。 ICFを使うことで、医療や福祉、教育など、様々な分野で働く人々が、障害のある人をより深く理解し、適切な支援を行うことができるようになります。また、世界各国で同じ尺度を使って情報を集めることができるので、国ごとの違いを比べたり、世界の現状を把握したりするのに役立ちます。そして、これらの情報は、障害のある人に優しい社会を作るための政策作りにも活かされます。 ICFは、単なる分類のための道具ではなく、障害のある人が暮らしやすい社会を作るための第一歩です。私たち一人ひとりがICFの考え方を理解することで、誰もが暮らしやすい、共に生きる社会の実現に近づくことができるでしょう。
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ICF:できることに着目した新しい視点

国際生活機能分類、英語で言うとインターナショナル・クラシフィケーション・オブ・ファンクショニング、ディサビリティ・アンド・ヘルス、略してICFは、人々の健康状態をあらゆる側面から捉え、評価するための世界共通のものです。これは、二〇〇一年に世界保健機関(WHO)が提唱しました。これまで、障がいは個人の欠損や機能不全として捉えられていましたが、ICFはこの考え方から大きく転換し、個人が社会の中でどのように生活し、何が出来るのかという視点に重点を置いています。 ICFは、単に障がいの有無や種類を分類するのではなく、あらゆる人の生活機能、つまり人が生活の中で行う活動や参加の状態に着目します。そして、それらの活動や参加に影響を与える身体機能や構造、環境要因、個人要因といった様々な側面も合わせて評価します。例えば、足が不自由な人が階段を上ることが難しい場合、それは足の機能の低下だけでなく、階段に手すりがないといった環境要因も影響していると考えます。このように、ICFは心身の健康状態だけでなく、社会的な側面も包括的に捉えることで、より多角的で詳細な評価を可能にしています。 病気やけが、あるいは年を重ねることで生活機能が低下した場合、ICFを用いることでその状態を客観的に評価し、必要な支援やサービスを適切に判断することができます。例えば、家事や移動といった日常生活の動作が難しくなった場合、ICFに基づいた評価を行うことで、どのような支援が必要なのかを明確にすることができます。ICFは医療や福祉、教育など様々な分野で活用されており、個人に合わせた、きめ細やかな支援を提供するための重要な道具となっています。また、ICFは国際的に共通の尺度であるため、異なる国や地域間での比較研究やデータ収集にも役立ちます。これらのデータは、健康に関する政策の立案や国際協力にも活用され、世界中の人々の健康と福祉の向上に貢献しています。ICFは、人々の健康をより広く、深く理解するための革新的な枠組みと言えるでしょう。