「ひ」

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その他

ひまわりサービス:高齢者を見守る温かい目

ひまわりサービスは、郵便局員による郵便配達や集荷業務に付随して、一人暮らしのお年寄りの様子を確認する取り組みです。高齢化が進むにつれて、一人で暮らすお年寄りが増え、地域とのつながりが薄れていくことが心配されています。そのような中で、ひまわりサービスは、地域で見守りの輪を広げ、お年寄りが安心して暮らせるように手助けをしています。 郵便局員は、郵便物を届ける際にお年寄りの様子に変化がないか、注意深く見守ります。例えば、郵便受けに郵便物が溜まっている、玄関先に新聞が置かれたままになっている、呼びかけても返事がない、といった小さな変化も見逃しません。これらの変化は、お年寄りの体調が悪化している、または何か困ったことが起きているサインかもしれません。変化に気付いた場合は、あらかじめ登録されたご家族や地域包括支援センターなどに連絡し、迅速な対応ができるようにしています。 このサービスは、お年寄りが普段の生活で安全に過ごせるように支えるだけでなく、地域社会のつながりをより強くする役割も担っています。郵便局員が地域に密着した存在であることを活かし、顔なじみのお年寄りを見守ることで、地域ぐるみで支え合う温かい社会づくりに貢献します。また、定期的な訪問による安否確認は、お年寄りにとって孤独感を軽減する効果も期待できます。ひまわりサービスは、単なる安否確認にとどまらず、地域社会の活性化にもつながる重要な取り組みと言えるでしょう。
医療

ピック病:知られざる認知症

ピック病は、脳の働きが徐々に衰えていく病気で、特に前頭葉と側頭葉という部分が縮んでしまうのが特徴です。この前頭葉は、額のあたりの脳で、思考や判断、感情のコントロールなどをつかさどっています。また、側頭葉は耳の上あたりに位置し、記憶や言語理解、聴覚情報処理といった役割を担っています。これらの部分が縮むことで、様々な症状が現れます。 この脳の縮みは、アルツハイマー病とも似た症状を示しますが、縮む場所が異なります。アルツハイマー病では脳全体が萎縮していくのに対し、ピック病では前頭葉と側頭葉という特定の部分が集中的に縮んでいくのです。また、ピック病では神経細胞の中に「ピック球」と呼ばれる異常な物質が溜まります。これがピック病特有の変化です。 ピック病は、40代から50代といった働き盛りの世代で発症することが多く、若年性認知症の一つに数えられます。アルツハイマー病と比べると患者数は少ないものの、働き盛りで発症するため、患者さん本人だけでなく、家族や職場など周囲への影響も大きくなります。仕事ができなくなることによる経済的な負担や、介護のための時間的な負担、精神的なストレスなど、様々な問題が生じる可能性があります。ピック病は進行性の病気であるため、現在の医学では完全に治すことはできません。しかし、早期に発見し、適切なケアを続けることで、症状の進行を遅らせ、患者さんの生活の質を維持、向上させることが期待できます。薬物療法による症状の緩和や、日常生活での困りごとをサポートするケアなど、様々な取り組みが重要です。
その他

ピアリスニング:共に耳を傾け、共に理解を深める

仲間同士でじっくりと耳を傾け合う「仲間聞き」は、複数の人が集まって、共に話を聞き、理解を深めていく方法です。一方的に話を聞くだけでなく、聴いた内容について互いに意見や感想を伝え合い、対話を通して理解を深めていくところに特徴があります。 例えば、ある人が体験した出来事について話をしたとします。仲間聞きでは、話し手は自分の気持ちを整理しながら話すことができ、聞き手は話し手の言葉に耳を傾け、共感しながら理解しようと努めます。その後、聞き手は自分の感じたことや考えたことを話し手に伝えます。この時、大切なのは、話し手の言葉に共感的に耳を傾け、話し手の気持ちを理解しようと努めることです。決して一方的に意見を押し付けたり、批判したりする場ではありません。 仲間聞きは、学校での授業や会社の研修、地域活動など、様々な場面で活用できます。例えば、授業で新しい内容を学んだ後、生徒同士で仲間聞きを行うことで、互いの理解を深め、新たな視点を得ることができます。また、職場で起きた問題について仲間聞きを行うことで、問題の根本原因を探り、解決策を見つける糸口になることもあります。地域活動においては、住民同士が地域課題について仲間聞きをすることで、共通の理解を深め、協力して課題解決に取り組むことができます。 仲間聞きは、単に情報を得るだけでなく、他者の気持ちや考え方を理解し、共感する力を育む上でも効果的です。また、自分の考えを整理し、分かりやすく伝える能力を身につけることにも繋がります。仲間聞きは、互いに学び合い、共に成長していくための協働的な学習方法と言えるでしょう。
その他

仲間の支え、ピアサポート

同じような経験をした仲間同士が支え合う活動のことを、仲間を意味する「ピア」という言葉を使って「ピアサポート」と言います。人生にはさまざまな困難がありますが、一人で悩みを抱え込まずに、同じ経験をした人に話を聞いてもらったり、助言をもらったりすることで気持ちが楽になることがあります。ピアサポートは、そうした人同士の繋がりを大切にし、互いに支え合い、励まし合うことで、より良い暮らしを送ることを目的としています。 専門家による支援と違って、ピアサポートは同じ立場だからこそ理解できる悩みや不安を共有し、共感に基づいた支援をすることができます。そのため、孤独感の解消や、問題解決のきっかけとなることが期待されます。 例えば、子育て中の母親同士が育児の悩みを話し合ったり、病気の治療経験者が患者同士で励まし合ったりするのもピアサポートの一種です。また、障がいを持つ人が同じ障がいを持つ人と繋がり、生活の知恵を教え合ったり、社会参加に向けて一緒に活動したりすることもピアサポートです。 ピアサポートは、正式な場だけでなく、日常生活の中での自然な繋がりからも生まれることがあります。近所付き合いの中で困り事を相談したり、趣味のサークルで仲間と励まし合ったりすることも、広い意味でのピアサポートと言えるでしょう。ピアサポートは特別なものではなく、私たちの日々の暮らしの中にも存在する、人と人との温かい支え合いの形なのです。 ピアサポートは、当事者ならではの視点を生かし、形式ばらない雰囲気の中で行われることが多く、気軽に相談しやすいという利点があります。また、ピアサポートを通して、新たな人間関係を築き、社会との繋がりを深めることもできます。支える側も、誰かの役に立つことで自己肯定感を高め、自分自身の成長に繋げることができます。このように、ピアサポートは関わる全ての人にとって、多くの良い効果をもたらす力強い支え合いの形と言えるでしょう。
その他

仲間と支え合う、ピア・カウンセリング

同じような体験をした仲間同士が、互いを支え合う場、それがピア・カウンセリングです。専門家の先生によるカウンセリングとは違って、ピア・カウンセラーと呼ばれる、特別な訓練を受けた仲間が相談相手になります。 ピア・カウンセリングは、病気やけが、障がいなどで困っている人のいる医療や福祉の場に限らず、学校や地域活動など、様々な場所で役に立っています。 ピア・カウンセリングの大きな特徴は、同じような経験を持つ人同士だからこそ分かり合える心の痛みや葛藤を共有し、安心感と共感を得られることです。例えば子育ての悩みを抱える母親同士、病気と闘っている患者同士、障がいを持つ人同士など、様々な場で活用されています。 専門家には話しにくい内容でも、同じ立場だからこそ打ち明けられるという安心感も、ピア・カウンセリングの大切な点です。自分だけが抱えていると思っていた悩みが、実は多くの人が感じていることだと気づき、気持ちが楽になることもあります。また、仲間の話を聞くことで、自分自身の状況を客観的に見つめ直し、新たな視点を得ることもできます。 ピア・カウンセリングは、問題をすぐに解決することだけを目的としているわけではありません。仲間と気持ちを分かち合い、支え合う中で、自分自身の力で問題を乗り越える力や、前向きに生きていく力をつけることを目指しています。ピア・カウンセリングは、人と人とのつながりの大切さを改めて感じさせてくれる貴重な機会となるでしょう。
介護職

ヒヤリハットで事故を防ごう

「ヒヤリハット」とは、介護の現場で起こる「ひやりとした」「はっとした」出来事のことです。これは、実際に事故にはならなかったものの、一歩間違えれば大きな事故につながっていたかもしれないという事例を指します。高齢者の生活を支える介護の現場では、様々な危険が潜んでおり、常に注意が必要です。 高齢者の身体機能の低下は、ヒヤリハットの大きな要因の一つです。例えば、立ち上がろうとした際にふらついて転びそうになる、歩行中につまずく、などが挙げられます。これらの動作は、普段私たちにとっては簡単に行えるものですが、加齢に伴い筋力が衰えたり、バランス感覚が鈍ったりすることで、高齢者にとっては大きな危険となります。また、視力の低下や反応速度の遅れも、ヒヤリハットにつながる可能性があります。 認知症も、ヒヤリハットの発生に大きく関わる要素です。認知症の高齢者は、判断力や記憶力が低下しているため、危険な行動をとってしまうことがあります。例えば、火のついたコンロを触ってしまう、熱い湯を浴びてしまう、徘徊して行方不明になってしまう、といった事例が考えられます。このような状況は、本人だけでなく、周りの人々にも大きな不安や負担を与えます。 食事に関わるヒヤリハットも少なくありません。噛む力や飲み込む力が弱くなっている高齢者は、食事中にむせたり、食べ物を詰まらせてしまったりする危険があります。誤嚥性肺炎は、高齢者の命に関わる重大な病気の一つであり、食事介助の際には細心の注意が必要です。 ヒヤリハットを記録し、分析することは、介護の質の向上に不可欠です。なぜその出来事が起こったのか、どうすれば防げたのかを検討することで、再発防止策を立てることができます。また、ヒヤリハットの情報を共有することで、他の職員も同じミスを繰り返さないように注意することができます。ヒヤリハットを「ただの偶然」で済ませず、真摯に受け止め、改善につなげる姿勢が、安全な介護環境を実現するために重要です。
医療

ヒスタミン:体内の働きもの

ヒスタミンは、人の体にとってなくてはならない重要な化学物質です。体内の様々な場所で、まるで小さな働き者のように色々な仕事をこなしています。脳や皮膚、胃や肺などに多く存在し、それぞれの場所で異なった役割を担っています。 ヒスタミンは、外部からの刺激から体を守る防御反応の中心的な役割を担っています。例えば、体に害のある細菌やウイルスが侵入してきた時、ヒスタミンはすぐに反応し、炎症を起こしてそれらの侵入者と戦います。この炎症反応は、患部を赤く腫れ上がらせ、痛みやかゆみを引き起こすことがありますが、これは体が侵入者と戦っている証拠であり、体を守るための大切な反応なのです。 また、ヒスタミンは脳の働きにも深く関わっています。神経伝達物質として、脳内の情報伝達をスムーズに行う役割を担い、気分や睡眠、食欲などを調整しています。夜になると眠くなり、朝になると目が覚めるという、私たちの睡眠と覚醒のリズムもヒスタミンが調整しています。 さらに、ヒスタミンは胃酸の分泌を促す働きもしています。食べた物を消化するために必要な胃酸ですが、ヒスタミンの働きによって適切な量の胃酸が分泌され、食べ物の消化を助けています。また、食欲を調整する働きもあり、私たちの体のバランスを保つのに役立っています。 このように、ヒスタミンはアレルギー反応や炎症を引き起こす原因物質として知られていますが、それ以外にも体にとって重要な様々な役割を担っているのです。まるで小さな万能選手のように、私たちの体が健康に機能するために、日々休むことなく働いているのです。
健康の維持

ヒートショックを防ぐ!冬の入浴対策

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、体に負担がかかり起こる症状のことを指します。特に冬の寒い時期に多く発生し、高齢者にとっては命に関わる危険な状態となることもあります。暖かい居間から寒い浴室、あるいは熱いお風呂から寒い脱衣所への移動など、温度差の激しい場所を行き来する際に、血管が急激に収縮したり拡張したりすることで血圧が乱高下するのです。 この急激な血圧変動は心臓や脳に大きな負担をかけ、様々な深刻な症状を引き起こす可能性があります。意識を失って倒れたり、心臓の筋肉に血液が送られなくなる心筋梗塞、脳の血管が詰まる脳梗塞などを引き起こすこともあり、場合によっては命を落とす危険性も少なくありません。 特に高齢者は加齢とともに血管の弾力性が低下し、血圧変動の影響を受けやすくなっているため、より注意が必要です。若い頃は問題なく過ごせていた温度差でも、年齢を重ねるごとに体に大きな負担がかかるようになることを意識しておく必要があります。また、高血圧や糖尿病、高脂血症といった持病のある方は、血管が傷つきやすくヒートショックのリスクがさらに高まります。これらの持病をお持ちの方は、普段から健康管理に気を配り、急激な温度変化を避けるように心がけることが重要です。 冬場に浴室で亡くなる方の多くは、ヒートショックが原因だと考えられています。入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく、熱いお湯に長時間つからない、湯温を41度以下にする、食後すぐや飲酒後の入浴は避ける、一人暮らしの方は家族や友人に連絡を取りながら入浴するなど、日頃から予防策を講じることが大切です。冬場の入浴は、安らぎのひとときであると同時に危険も潜んでいることを理解し、十分な注意を払いましょう。
排泄の介助

意外と知らない頻尿の知識

頻尿とは、排尿の回数が多い状態のことを指します。健康な大人の場合、一日にトイレに行く回数は5回から7回程度と言われています。8回以上トイレに行く場合は、頻尿と見なされることがあります。ただし、トイレに行く回数は人によって違い、年齢や普段の生活、飲む水の量などによっても変わります。そのため、何回以上であれば必ず頻尿と言えるわけではありません。 例えば、水をたくさん飲んだ時や、寒い日に体が冷えた時は、一時的にトイレに行く回数が増えることがあります。また、お茶やおコーヒーなど、おしっこを促す働きのある飲み物をたくさん飲むと、トイレに行く回数が増えることがあります。このような場合は一時的なものなので、心配する必要はありません。 しかし、特に理由もなくトイレに行く回数が増え、日常生活に影響が出ている場合は、何かの病気が隠れている可能性があります。注意が必要です。頻尿は、膀胱の炎症や前立腺肥大症、糖尿病などの病気のサインである可能性も否定できません。 気になる症状がある場合は、自分で判断せずに医療機関を受診しましょう。医師による適切な検査と治療を受けることが大切です。頻尿の原因を特定し、適切な対処をすることで、症状の改善や合併症の予防につながります。排尿に関する悩みや不安を一人で抱え込まず、専門家に相談することで、安心して日常生活を送ることができるでしょう。
医療

病態食:健康への食事

病態食とは、病気の症状や体質に合わせて作られた特別な食事のことです。普段私たちが口にする食事とは異なり、摂取する栄養の量や種類が調整されています。これは、病気を抱える人が健康を維持し、より良い生活を送るための大切な治療法の一つです。いわゆる「食事療法」や「食餌療法」とも呼ばれるものです。 例えば、糖尿病の場合、糖質の量を制限した食事が必要になります。糖質を摂りすぎると血糖値が急上昇し、合併症を引き起こすリスクが高まるからです。そのため、ご飯やパン、麺類などの主食の量を調整し、代わりに野菜やきのこ、海藻などを多く摂るように指導されます。 また、腎臓病の場合、腎臓の働きが低下しているため、タンパク質やカリウム、リンなどの摂取を制限する必要があります。これらの栄養素は、健康な腎臓であれば問題なく処理できますが、腎臓に負担がかかると体に蓄積され、様々な症状を引き起こす可能性があります。そのため、肉や魚、乳製品などのタンパク質を多く含む食品や、果物や野菜などのカリウムを多く含む食品の摂取量を調整する必要があります。 さらに、脂質異常症の場合、コレステロールや中性脂肪の値を下げるために、脂肪の摂取量を制限することが重要です。揚げ物や脂身の多い肉、バターやマーガリンなどの動物性脂肪を控え、魚や植物油などの良質な脂肪を摂るように心がける必要があります。 このように、病態食はそれぞれの病気の特徴に合わせて様々な種類があり、患者さんの状態に合わせて細かく調整されます。食事は健康の基本であり、病気を抱える人にとっては治療の一部として重要な役割を果たします。毎日の食事を管理することで、病気の進行を抑えたり、症状を改善したり、合併症を予防したりする効果が期待できます。だからこそ、病態食はただお腹を満たすためだけの食事ではなく、健康を維持し、より良い生活を送るための大切な治療法と言えるのです。
食事の介助

鼻からの栄養補給:経鼻経管栄養とは

経鼻経管栄養は、口から満足に食事を摂ることが難しいけれど、胃や腸などの消化の働きをする器官には問題がない方に対して行う栄養補給の方法です。鼻から細い管を通して、栄養剤を直接胃や腸に送り込みます。そのため、経鼻胃管栄養と呼ばれることもあります。手術の後や病気など、一時的に口から食べられない状況にある方に必要な栄養を確実に届ける有効な手段です。 口から食事を摂れない理由は、意識障害や嚥下障害(食べ物をうまく飲み込めない状態)など様々です。また、十分な量の食事を口から摂ることができない場合にも、経鼻経管栄養が必要となることがあります。必要な栄養が不足すると、体力が低下し、病気の回復も遅れてしまうからです。経鼻経管栄養を行うことで、低栄養状態を防ぎ、患者さんの体力の維持や回復を助けます。 経鼻経管栄養は、比較的短期間の使用を想定した方法です。鼻から管を入れるため、違和感や不快感を伴う場合があり、長期的に続けることは患者さんにとって負担が大きくなってしまいます。また、鼻の粘膜への負担も考慮する必要があります。 長期間にわたる栄養補給が必要な場合は、胃ろう造設術や空腸瘻造設術など、患者さんの負担が少ない他の方法を検討します。胃ろう造設術は、お腹に小さな穴を開けて胃に直接栄養を送るための管を繋げる方法です。空腸瘻造設術は、胃を迂回して、空腸に栄養を送るための管を繋げる方法です。これらの方法は、経鼻経管栄養よりも身体への負担が少なく、長期間にわたる栄養管理が可能となります。担当の医師や管理栄養士と相談し、患者さんの状態に合わせた最適な栄養補給の方法を選択することが大切です。
介護職

言葉を超えた思いやり:非言語コミュニケーション

非言語による意思の伝達とは、文字通り言葉を使わずに気持ちを伝え合う方法です。私たちは日々、言葉以外の様々な方法で気持ちを伝えたり、受け取ったりしています。例えば、身振りや手振り、表情の変化、相手を見る目線、声の高さや調子、相手との距離感など、実に多くの要素が関わっています。 私たちは普段、言葉とこれらの言葉以外の要素を組み合わせてやり取りをしています。例えば、親しい人と話す時に自然と笑顔になったり、真剣な話をするときには相手の目をじっと見つめたり、無意識のうちに非言語による意思伝達を活用しているのです。 特に、言葉による意思疎通が難しい場面では、非言語による意思伝達の大切さが際立ちます。まだ言葉をうまく話せない赤ちゃんや、言葉で伝えることが難しい障がいを持つ方、言葉が通じない外国の方とのやり取りにおいて、非言語による意思伝達は気持ちを繋ぐ大切な橋渡しとなります。 例えば、介護の現場では、言葉でうまく伝えられない高齢者の方の気持ちを、表情や仕草から読み取ることが求められます。痛みや不安を感じている様子がないか、表情やしぐさ、声のトーンに注意深く耳を傾けることで、言葉では伝えられない気持ちを理解し、適切な対応をすることができます。また、異文化の方と接する際には、それぞれの文化によって身振り手振りの意味が異なる場合があるので、注意が必要です。誤解を招かないように、相手の文化背景を理解し、敬意を払った態度で接することが大切です。 このように、非言語による意思伝達は、様々な場面で円滑な人間関係を築き、より深い相互理解を促すために重要な役割を果たしています。言葉だけでなく、相手の表情や仕草、声のトーンなどにも注意を払い、非言語による意思伝達を意識的に活用することで、より豊かなコミュニケーションを実現できるでしょう。
介護保険

介護保険の被保険者とは?

介護保険制度は、加齢に伴う心身の衰えによって、日常生活に支障が出ている人を支えるための社会的な仕組みです。この制度を利用できる人のことを被保険者と言います。では、具体的にどのような人が被保険者となるのでしょうか。 まず、第一の条件は、日本国内の市区町村に住所を持っていることです。これは、介護保険が日本の制度であるため、海外に居住している人は対象外となるということです。 そして、第二の条件は、40歳以上であることです。40歳というと、まだまだ若いと感じる人もいるかもしれません。しかし、介護は突然必要となる場合もありますし、徐々に必要となる場合もあります。将来の介護に備えるため、また、若い世代が高齢者を支えるという社会全体の支え合いの精神に基づき、40歳以上の人が被保険者として定められています。40歳になったからといって、すぐに介護サービスを受けられるわけではありません。40歳から65歳までは、主に介護予防のサービスが利用できます。これは、要介護状態となることを予防し、健康寿命を延ばすことを目的としています。 65歳以上になると、要介護認定の申請を行い、認定されると、介護サービスを受けることができます。認定の結果によって、要支援1、要支援2、要介護1から要介護5までの7段階に区分され、必要なサービスの種類や利用限度額が異なります。 被保険者になると、介護保険料を納める義務が生じます。保険料は、年齢や所得に応じて決められます。負担はありますが、これは、将来自分が介護が必要になった時に、安心してサービスを受けられるための備えです。また、自分だけでなく、家族や周りの人が介護が必要になった時にも、介護保険制度が支えとなってくれます。つまり、介護保険は、社会全体で支え合う相互扶助の精神に基づいた制度と言えるでしょう。
医療

被害妄想:認知症を知る

被害妄想とは、実際には何も起きていないにもかかわらず、自分が誰かに狙われたり、陥れられたりしていると強く思い込んでしまう心の状態のことです。 例えば、実際には誰も盗んでいないのに「大切なものを盗まれた」と訴えたり、誰も悪口を言っていないのに「陰で自分のことを悪く言われている」と感じたりします。 このような思い込みは、特にもの忘れの症状が進む方によく見られる心の症状の一つです。周りの人たちにとっては、なぜそのようなことを言うのか理解できないことが多く、対応に困ってしまうこともあります。もの忘れの症状によって脳のはたらきが弱まると、情報を受け取って整理したり、何が正しいかを判断する力が衰えてしまい、現実と空想の区別が難しくなるため、このような思い込みが生じやすくなると考えられています。 特に、記憶をつかさどる脳のはたらきが弱まると、出来事を正確に思い出すことができなくなり、その記憶の空白部分を思い込みで埋めようとしてしまうことがあります。 例えば、しまっておいた場所を忘れてしまった場合に、「誰かに盗まれた」と思い込んでしまうことがあります。また、周りの環境の変化や、心身に負担がかかる出来事も、思い込みを引き起こす一因となることがあります。 引っ越しや、家族との別れなど、生活環境の大きな変化は、もの忘れの症状を持つ方にとって大きな負担となり、不安や混乱を招きやすいため、被害妄想につながることがあります。 さらに、周りの人から叱責されたり、無視されたりといった精神的な負担も、被害妄想を悪化させる要因となります。 そのため、もの忘れの症状を持つ方の行動を理解し、適切な対応をするためには、被害妄想がどのような仕組みで起こるのかを理解することが大切です。もの忘れの症状を持つ方が被害妄想を抱いている場合には、頭ごなしに否定したり、言い負かせようとするのではなく、まずは相手の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示すことが重要です。 そして、穏やかに事実を伝え、安心感を与えるように努めましょう。もし、被害妄想が強く、日常生活に支障が出ている場合には、専門の医師に相談することも検討しましょう。
健康の維持

皮下脂肪の正体

皮膚の下にある脂肪の層、それが皮下脂肪です。指でつまんだり、つかんだりできるお肉の感触、それがまさに皮下脂肪です。皮下脂肪は全身のあらゆる場所に存在し、体にとって重要な役割を担っています。まるで私たちの体を包む、柔らかい毛布のようです。 まず、皮下脂肪は体温を一定に保つ役割を果たします。寒い時には、熱が体から逃げるのを防ぎ、体温の低下を防ぎます。反対に暑い時には、体内に熱がこもりすぎるのを防ぎ、体温の上昇を抑えます。まるで断熱材のように、私たちの体を外気温の変化から守ってくれているのです。 次に、皮下脂肪はクッションの役割も果たします。転んだり、ぶつけたりした際に、外部からの衝撃を吸収し、内臓や骨を守ります。 さらに、皮下脂肪はエネルギーを蓄える貯蔵庫としての役割も担っています。食べ物を摂取することで得たエネルギーのうち、すぐに使われなかった分は中性脂肪に変換され、皮下脂肪に蓄えられます。そして、エネルギーが不足した時には、この蓄えられた脂肪が分解され、エネルギーとして利用されます。 一般的に女性は男性に比べて皮下脂肪がつきやすい傾向があります。これは女性ホルモンの影響によるものです。女性は妊娠や出産に備えて、より多くのエネルギーを蓄える必要があるため、皮下脂肪がつきやすい体になっていると考えられています。皮下脂肪は、未来の命を育むための大切なエネルギー源なのです。