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変形性関節症:老化と付き合う
変形性関節症は、骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合うことで痛みや腫れ、動きの悪さといった症状が現れる病気です。加齢に伴い軟骨がすり減りやすくなるため、高齢者に多くみられますが、若い方でも発症する可能性があります。
この病気は、特に体重を支える膝や股関節、手指の関節、背骨などに多く発生します。初期症状としては、動き始めや長時間同じ姿勢を続けた後に感じる軽い痛みや違和感などがあります。例えば、朝起きた時や椅子から立ち上がった時に膝や腰に痛みを感じたり、階段の上り下りで不快感を覚えるといったことです。
病気が進行すると、安静にしている時にも痛みが続くようになり、関節の腫れや変形が目立つようになります。さらに症状が進むと、関節の動きが悪くなり、歩行や着替え、食事といった日常生活に支障をきたすこともあります。正座や和式トイレの使用が困難になる方もいらっしゃいます。
変形性関節症の主な原因は加齢による軟骨の老化ですが、それ以外にも、過度な運動による関節への負担、肥満、遺伝、過去のケガなども発症に関係していると考えられています。また、女性は男性に比べて発症率が高いことが知られています。これは、女性ホルモンの減少が軟骨の代謝に影響を与えるためと考えられています。
変形性関節症は、完全に治すことは難しい病気ですが、痛みを和らげたり、進行を遅らせたりするための様々な治療法があります。薬物療法やリハビリテーション、装具の使用、手術などが行われます。症状や進行度に合わせて適切な治療を受けることが大切です。