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核家族化と介護の課題
核家族とは、夫婦と結婚していない子どもだけで構成される家族の形を指します。子どもが結婚すると、それぞれが独立して新しい世帯を作っていくのが大きな特徴です。これは、親、子、孫の三世代、あるいは親戚も一緒に住む拡大家族とは反対の形です。拡大家族は、生活の知恵や子育ての経験をみんなで共有し、助け合いの精神に基づいた生活を送ることができます。一方、核家族にはそれぞれの世帯が自立していて、個人の生活が守られるという良さがあります。
核家族では、家族の人数が少ないため、家事や育児の負担が比較的軽く、各人が自分の時間や趣味を持つことができます。また、生活様式や価値観の違いによる摩擦が起こりにくいという点もメリットと言えるでしょう。夫婦間のコミュニケーションも、より密接になりやすいと考えられます。さらに、それぞれの世帯が経済的に自立しているため、金銭的な問題が生じにくいという側面もあります。
しかし、核家族化が進むことによって、高齢化社会における介護の負担が増える一因となっていることも事実です。高齢の親の介護が必要になった場合、核家族では限られた人数で対応しなければならず、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。また、子育てにおいても、祖父母などからのサポートを得にくいという難しさがあります。核家族は、個人の自由やプライバシーを尊重する現代社会においては一般的な家族形態となっていますが、同時に、社会的なつながりの希薄化や孤立化といった問題も抱えています。そのため、地域社会との連携や、行政による支援体制の充実がますます重要になってきています。