行動心理症状

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介護職

認知症と不穏:理解と対応

『不穏』とは、心が落ち着かず、そわそわしたり、不安な気持ちになったりする状態を指します。具体的な行動としては、落ち着きなく手足を動かしたり、椅子から立ち上がっては座るといった動作を繰り返したり、理由もなく歩き回ったりする様子が見られます。また、同じ言葉を何度も繰り返したり、大声で叫んだり、意味の通らないことを口にしたりすることもあります。このような行動は、本人は意識的に行っているのではなく、何らかの原因によって引き起こされていると考えられます。 不穏な状態は、特に高齢者、とりわけ認知症の方に多く見られる症状です。認知症の方は、脳の機能が低下することで、周りの状況を正しく理解することが難しくなり、不安や恐怖を感じやすくなります。例えば、見慣れない場所にいたり、周りの人が誰だか分からなかったりすると、強い不安を感じ、不穏な行動につながることがあります。また、身体的な不調も不穏の原因となります。痛みや発熱、便秘など、言葉でうまく伝えられない不快感が、不穏な行動として表れることがあります。さらに、環境の変化も影響します。引っ越しや入院など、生活環境の急激な変化は、高齢者にとって大きなストレスとなり、不穏を引き起こす要因となります。 周囲の人にとって、不穏な行動の原因を理解することは難しいかもしれません。なぜこのような行動をとるのか分からず、対応に困ってしまうこともあるでしょう。しかし、不穏な行動には必ず理由があります。その理由を探り、理解することが、適切な対応への第一歩です。焦らず、まずは落ち着いて、何に不安を感じているのか、何か伝えようとしていることはないか、注意深く観察することが大切です。