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運動性失語症:言葉を発しにくい障害
運動性失語症とは、脳の特定の部分が傷つくことで起こる言葉の障害です。この病気になると、他人の言うことは理解できるのに、自分の言いたいことをうまく言葉に出せなくなります。
頭の中では伝えたいことをきちんと考えているのに、口や舌、喉などの筋肉を動かすための命令が脳からうまく伝達されないことが原因です。そのため、話そうとしても、言葉が途切れてしまったり、「おはようございます」を「おあようございます」のように音の順番が入れ替わってしまったり、全く違う言葉が出てしまったりします。
例えば、朝、挨拶をしたいのに「おは…よ…う…ございます」と途切れ途切れになったり、「こんにちは」と全く違う言葉が出てしまったりするなど、様々な症状が現れます。
この病気は、脳卒中や事故による脳の損傷、脳の腫瘍などが原因で起こることが多いです。脳の中で言葉を話す機能をつかさどる部分が傷ついてしまうことが主な原因です。
運動性失語症の方は、話せないことに大きなもどかしさを感じており、周囲の理解と支援が必要です。周りの人は、患者が言葉を理解していることを認識し、辛抱強く接することが大切です。ゆっくりと話しかけたり、身振り手振りを使ったり、絵や文字で伝えるなどの工夫をすることで、コミュニケーションを円滑にすることができます。また、患者が伝えようとしていることを遮ったり、急かしたりせずに、じっくりと耳を傾けることも重要です。焦らず、穏やかに接することで、患者との信頼関係を築き、より良いコミュニケーションを実現できるでしょう。