知的障害

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その他

知的な遅れへの理解を深める

知的な遅れとは、十八歳までに知的発達が遅れ、社会生活を送る上で周囲と同じように適応することが難しく、様々な場面で何らかの手助けが必要となる状態を指します。これは単に学校の勉強の成績が良くないというだけではなく、日々の暮らしを送る上で欠かせない能力を身につけるのが遅れていることを意味します。 具体的には、記憶したり、言葉を使ったり、文字の読み書きや計算、時間といった概念を理解する能力(概念的な領域)、周りの人と意思疎通をしたり、社会の決まり事を理解する能力(社会的な領域)、食事をしたり、服を着替えたり、トイレに行ったり、お金を管理したりといった日常生活における能力(実用的な領域)の三つの領域で評価を行います。これらの領域のうち、少なくとも一つの領域で周りの人と比べて明らかな困難を抱えている状態が知的な遅れと定義されます。 知的な遅れの程度は、どのくらい手助けが必要かによって、軽度、中等度、重度、最重度の四段階に分けられます。軽度であれば、学校での勉強や社会生活への適応も比較的容易ですが、重度になるほど、日々の暮らしの多くの場面で、いつも誰かの手助けが必要になります。 また、知的な遅れは、それだけで起こる場合だけでなく、他の発達障害や心の病気、脳の働きの障害などを併せて持っている場合もあります。そのため、一人一人の状態を丁寧に把握し、その人に合った適切な手助けを続けていくことが大切です。
介護職

問題行動への理解と対応

『問題行動』とは、認知症の高齢者の方や知的障害のある方などに見られる、周りの人にとって対応が難しい行動のことです。具体的には、徘徊、夜間のせん妄、失禁、暴力や暴言、性的な行動、不潔な行為、食事の異常、食べられないものを口にすること、物を盗られたと思い込むこと、物を集める癖などが挙げられます。これらの行動は、周りの人に大きな負担をかけるだけでなく、ご本人にとっても暮らしの質を下げることにつながる可能性があります。 大切なのは、これらの行動には必ず何らかの理由があると考えることです。『問題行動』と簡単に決めつけるのではなく、まずはその背後にある原因を探ることが大切です。 例えば、身体の不調や痛み、住む場所や周りの人の変化、意思の疎通の難しさ、過去のつらい経験などが背景にあるかもしれません。認知症の場合、脳の機能の低下によって、記憶や判断力が衰え、不安や混乱を感じやすくなります。その結果、落ち着かなくなって徘徊したり、夜にせん妄状態になったりすることがあります。また、周りの人の言葉が理解できず、不安や苛立ちから暴力や暴言につながることもあります。知的障害のある方の場合も、コミュニケーションの難しさや環境の変化への適応が困難なことが、行動に影響を与えることがあります。 原因を特定するためには、ご本人の様子をよく観察し、周りの人と情報を共有することが重要です。ご本人が言葉で伝えられない場合でも、表情や仕草、行動の変化から、何かを訴えている場合があります。また、日常生活の様子や過去の経験を知ることで、行動の背景にある気持ちや考えを理解することにつながります。焦らず、ご本人の立場に立って、何が原因でこのような行動をとっているのかを丁寧に探っていきましょう。そして、適切な対応策を考え、実行していくことが大切です。