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クライエント:その人らしさを支える

『利用する人』という意味を持つ『クライエント』という言葉は、福祉の場面でよく使われます。これは、高齢者や障がいを持つ方、様々な相談を必要とする方、体の機能を取り戻す訓練を必要とする方など、支援や援助を必要とする方々を指しています。これまで、こういった方々は『利用者』や『対象者』と呼ばれてきました。しかし、近年では『クライエント』という言葉がより多く使われるようになっています。 『クライエント』という言葉を使う背景には、支援を必要とする人たちの主体性や権利を尊重するという考えがあります。つまり、ただ単に支援を受けるのではなく、自分自身の意思や選択に基づいてサービスを利用する、一人ひとりの人間としての尊厳を大切にするという考え方です。 例えば、ある高齢の方が自宅で介護サービスを受けたいとします。この場合、その方がどのような生活を送りたいのか、どのような支援を必要としているのかを丁寧に聞き取り、その方の希望に沿ったサービスを提供することが重要になります。その方の望む生活を実現するために、食事や入浴、身の回りの世話といった身体的な支援だけでなく、趣味や楽しみ、社会とのつながりを維持するための支援も行う必要があるかもしれません。 支援する側は、『クライエント』という言葉を使うことで、その人らしさを尊重し、その人の立場に立って考える意識を持つことができます。これは、その人が自分らしく、満足のいく生活を送るために、とても大切なことです。そして、支援を受ける側も、『クライエント』と呼ばれることで、自分自身の権利や主体性を意識し、より積極的にサービスを利用しようという気持ちを持つことができると考えられます。このように、『クライエント』という言葉は、より良い福祉サービスの実現に欠かせないものとなっています。