消化器

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消化の要、オッジ括約筋の役割

胃から送られてきた食べ物が最初に到着する場所、十二指腸。これは胃と小腸をつなぐ消化管の一部であり、食べ物の消化において重要な役割を担っています。十二指腸の壁にはファーター乳頭と呼ばれる小さな隆起があり、ここが消化の要と言えるでしょう。 ファーター乳頭には、総胆管と膵管という二つの管が開口しています。肝臓で作られ、胆嚢に蓄えられた胆汁は、総胆管を通って十二指腸へと送られます。胆汁は脂肪を小さな粒に分解し、消化酵素が働きやすい状態にする役割を担っています。一方、膵臓で作られた膵液は膵管を通って十二指腸に流れ込みます。膵液には、炭水化物、タンパク質、脂肪を分解するための様々な消化酵素が含まれており、食べ物の消化に欠かせません。 これらの消化液が十二指腸へ送られるタイミングは、体にとって非常に重要です。食べ物が十二指腸に届いていない時に胆汁や膵液が流れても効率が悪く、逆にもし必要な時に胆汁や膵液が供給されないと、食べ物はうまく消化されません。この精密な流れの制御を担っているのが、ファーター乳頭の周囲にあるオッジ括約筋です。 オッジ括約筋は、門番のように胆汁と膵液の流れを調整しています。食べ物が十二指腸に届くと、オッジ括約筋が緩み、胆汁と膵液が十二指腸内へ流れ込みます。そして食べ物が小腸へ移動すると、オッジ括約筋は再び閉じ、胆汁と膵液の流れを止めます。このように、オッジ括約筋は消化液の分泌を適切に調整することで、消化プロセスを円滑に進める重要な役割を担っています。もしオッジ括約筋の働きが弱まったり、何らかの異常が起こると、胆汁や膵液の流れが阻害され、腹痛や消化不良など、様々な消化器系の問題を引き起こす可能性があります。
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十二指腸潰瘍:知っておくべきDGの基礎知識

十二指腸潰瘍とは、胃のすぐ下にある十二指腸の壁にできる傷のことです。ちょうど胃から食べ物が送られてきて、胆汁や膵液などの消化液と混ざり合う場所にできます。この十二指腸の壁は、胃酸やペプシンなどの消化酵素の攻撃に常にさらされています。通常は粘膜がこれらの攻撃から壁を守っていますが、何らかの原因で防御機能が弱まると、粘膜が傷つけられ、炎症を起こし、潰瘍へと進行します。 主な症状はみぞおちの痛みです。この痛みは、空腹時や夜間、早朝に強く現れることが多く、食事を摂ったり、制酸薬を服用することで和らぐ傾向があります。これは、胃酸の分泌が活発になる時間帯と関連していると考えられています。また、吐き気や嘔吐、胸やけなどの症状が現れることもあります。症状の出方には個人差があり、全く症状が現れない場合もあります。 十二指腸潰瘍の原因として最も多いのは、ピロリ菌感染です。ピロリ菌は胃の粘膜に棲みつく細菌で、炎症を引き起こし、潰瘍の形成を促進します。その他、痛み止めなどの薬の常用、ストレス、喫煙、飲酒なども潰瘍のリスクを高める要因となります。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、ストレスを溜め込まない生活習慣を維持することが大切です。 十二指腸潰瘍は適切な治療を行えば、多くは治癒します。ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌療法を行います。また、胃酸の分泌を抑える薬や粘膜を保護する薬なども用いられます。症状が改善しても、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。放置すると、潰瘍が深く進行し、出血や穿孔(穴が開く)などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。少しでも気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。