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心的外傷後ストレス障害:PTSDを知る
心的な外傷の後ストレス障害、略してPTSDと呼ばれるものは、命に関わるような出来事や、心に強い衝撃を受けた後に発症する心の病気です。自然災害で家や大切な人を失ったり、交通事故に遭ったり、犯罪に巻き込まれたり、戦争を経験したり、虐待を受けたりなど、様々な出来事がきっかけとなり、誰にでも起こる可能性があります。これらの出来事を実際に体験したり、あるいは目の前で見てしまったり、親しい人が経験したことを知ったりすることで、強いショックを受け、脳の働きに影響が出て、様々な症状が現れます。
PTSDは特別な人がかかる病気ではなく、誰もがなりうる可能性のある心の病気です。症状は大きく分けて四つあります。一つ目は、トラウマ体験を思い出してしまうことです。実際に体験した出来事が、まるで今起きているかのように感じてしまう「再体験」や、悪夢にうなされる、などがあります。二つ目は、トラウマと関連するものを避けようとすることです。トラウマを思い出させる場所や人、会話などを避けようとします。三つ目は、常に緊張した状態が続くことです。ちょっとした物音にも驚きやすくなったり、怒りっぽくなったり、眠れなくなったりします。四つ目は、気分や考え方が否定的になることです。自分が悪いと思い込んでしまったり、喜びや楽しみを感じにくくなったりします。
これらの症状は、出来事を経験してから数週間後、あるいは数か月後、数年後に現れる場合もあります。症状の現れ方や程度は人それぞれで、同じ出来事を経験してもPTSDを発症する人、しない人がいるように、反応は様々です。症状が長引いたり、日常生活に支障が出る場合は、医療機関への受診が必要です。一人で抱え込まずに、周りの人に相談したり、専門家の助けを求めることが大切です。周りの人は、温かく見守り、焦らずに寄り添うことが重要です。