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強みに着目!力を引き出す介護
人は誰でも、生まれながらに持っている力や才能、得意なこと、そして個性があります。これらをまとめて、その人の「強み」と呼びます。介護の世界では、どうしても体が思うように動かない部分や、うまくできないことに目が向きがちです。しかし、本当に良い介護とは、できないことをできるようにする訓練ばかりに集中するのではなく、その人が持っている強みに光を当て、それを活かすことで、その人らしい生活を支えることです。
できない部分を補うことももちろん大切ですが、そればかりに注力してしまうと、どうしても「できないこと」ばかりが意識され、自信を失ってしまうことがあります。反対に、得意なことを行うことで、喜びや達成感を感じ、自信を取り戻すことができます。そして、その自信が、日常生活の様々な場面で前向きな気持ちを生み出し、より豊かな生活に繋がっていくのです。
例えば、料理が得意な方であれば、食事の準備を手伝っていただくのはどうでしょうか。包丁を使うのが難しい方でも、野菜の皮むきや盛り付けなど、できる範囲で役割を担っていただくことで、生きがいを感じてもらえるかもしれません。絵を描くのが好きな方であれば、作品を飾る場所を設けたり、地域のお祭りで展示する機会を作ることで、自己表現の場を提供し、社会との繋がりを築くサポートをすることができます。また、植物を育てるのが好きな方であれば、ベランダや庭で一緒に植物の世話をしたり、近所の方と育てた花を交換するなど、地域との交流のきっかけを作ることもできます。
このように、強みに焦点を当てることは、その人の可能性を広げ、生活の質を高める上で非常に重要です。そして、それは、介護を受ける方だけでなく、介護をする側の喜びにも繋がるはずです。