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介護報酬の返戻:その原因と対策
介護報酬の返戻とは、介護サービスを提供した事業所が請求した費用が、審査の結果、支払われずに差し戻されることを言います。介護事業所は、提供したサービス内容を介護給付費明細書(一般的にレセプトと呼ばれます)に記録し、毎月、国保連合会に提出することで報酬を請求します。このレセプトの内容に誤りや不備があると、国保連合会による審査で問題が発見され、請求は認められず、レセプトが事業所に戻されます。これが返戻です。
返戻は介護事業所にとって大きな損失につながります。まず、支払われるはずの報酬が受け取れなくなり、事業運営に必要な資金繰りに影響が出かねません。資金不足は事業の継続を危うくする深刻な事態になり得ます。また、返戻されたレセプトを修正して再提出するには、職員が改めて内容を確認し、訂正作業を行う必要があります。この修正作業は本来業務ではないため、職員の負担を増やし、他の業務に支障が出る可能性も考えられます。さらに、返戻が頻発すると、事業所の信頼性にも傷がつく恐れがあります。
返戻の原因は様々ですが、例えば、サービス内容の記載漏れや誤り、利用者情報の不備、必要書類の不足などが挙げられます。こうしたミスは、担当職員の不注意や知識不足、あるいは業務の多忙さから発生することがあります。
返戻を減らすためには、レセプト作成時の確認作業を徹底することが重要です。サービス内容を正しく記録し、必要書類を漏れなく添付するだけでなく、利用者情報も正確に入力する必要があります。また、職員への研修を充実させ、レセプト作成に関する知識や技能の向上を図ることも大切です。返戻は事務的なミスに思われがちですが、事業所の経営を圧迫する可能性のある重大な問題です。日頃から返戻の原因を理解し、未然に防ぐための対策をしっかりと行う必要があります。