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高齢者の肺炎:介護における注意点
肺炎は、肺の中の肺胞という小さな空気の袋に炎症が起こる病気です。肺胞は、呼吸によって体内に取り込まれた酸素を血液に送り込み、体内で発生した二酸化炭素を体外に排出する大切な役割を担っています。この肺胞に炎症が起こると、呼吸機能が低下し、息苦しさや咳などの症状が現れます。
肺炎は、細菌やウイルスなどの微生物が肺に入り込むことで発症します。健康な人であれば、体内の免疫機能によってこれらの微生物が排除され、肺炎になることは稀です。しかし、高齢者や持病のある人は免疫力が低下していることが多く、肺炎にかかりやすくなります。また、体力や抵抗力の低下も肺炎の重症化リスクを高める要因となります。高齢者の場合、肺炎は命に関わることもある深刻な病気であり、日本では高齢者の死亡原因の上位に位置付けられています。
高齢者の肺炎は、若い人の肺炎とは異なる特徴が見られることがあります。高齢者は症状が分かりにくく、咳や発熱といった典型的な症状が現れない場合もあります。代わりに、食欲不振や全身倦怠感、意識障害など、一見肺炎とは関係ないように思える症状が現れることがあります。そのため、高齢者の肺炎は見過ごされやすく、早期発見が難しくなる場合もあります。また、高齢者は免疫力の低下に加え、飲み込む力が弱くなっている場合があり、誤嚥性肺炎のリスクも高くなります。誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液などが誤って気管に入り、肺に炎症を起こす肺炎です。
介護の現場では、高齢者の肺炎の特徴を理解し、日頃から健康状態の変化に気を配ることが重要です。少しでも異変に気付いたら、速やかに医療機関を受診する必要があります。早期発見、早期治療によって重症化を防ぎ、健康寿命を延ばすことに繋がります。