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やる気を引き出す介助の力
「やる気」とも呼ばれる意欲、すなわちモチベーションとは、行動を起こしたり、それを維持したりするための心の働きのことです。何かを始めようと思ったり、続けようと思ったりする原動力となるものです。食事をしたり、散歩に出かけたり、人と話をしたりといった日常の行動から、仕事や趣味、学習といった特別な活動まで、あらゆる行動はモチベーションによって支えられています。
介護や介助が必要な方の場合、加齢に伴う身体機能の衰えや、病気、障がいなどによって、以前は簡単にできていたことができなくなってしまうことがあります。このような状況は、自信喪失を招き、モチベーションの低下につながりやすいものです。慣れ親しんだ住まいを離れ、新しい環境に適応しなければならない場合も、同様のことが言えます。
日常生活を送る上で、モチベーションは大変重要です。意欲が低下すると、活動量が減り、身体を動かす機会が少なくなります。これは、筋力の低下や関節の柔軟性の低下を招き、身体機能の低下につながる可能性があります。また、人との交流が減ることで、認知機能の低下も懸念されます。さらに、意欲の低下は、精神的な健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
そのため、介護や介助を行う際には、対象となる方のモチベーションをどのように維持、向上させるかが、極めて重要な課題となります。それぞれの状況や気持ちに寄り添い、達成可能な目標を設定し、小さな成功体験を積み重ねられるよう支援することで、意欲を高め、生活の質の向上を目指します。具体的な方法としては、以前好きだった活動を取り入れてみたり、新しい趣味を見つけるお手伝いをしたり、人との交流を促したりなど、様々な工夫が考えられます。