リスク管理

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介護職

介護における目配りの重要性

目配りとは、周囲への気遣いを示す重要な行動で、特に介護の現場では欠かせない要素です。これは単に周囲を見渡すことではなく、利用者の状態や周囲の状況を常に把握し、変化に気づけるよう注意を払うことを意味します。 介護の現場では、利用者一人ひとりの状態は常に変化します。表情、行動、食欲、睡眠など、些細な変化も見逃さないよう、注意深く観察する必要があります。例えば、いつもは笑顔で過ごしている利用者が今日は元気がなく、表情が暗い、あるいは食欲がなく食事を残しているといった変化に気づけば、すぐに声をかけて様子を尋ね、体調の変化や困りごとがないか確認することが大切です。 また、目配りは事故やトラブルの防止にも繋がります。例えば、利用者がふらつきながら歩いていることに気づけば、転倒する前に支えたり、歩行器を使うよう促したりすることで、事故を防ぐことができます。あるいは、利用者同士の会話の中で、いつもと違う雰囲気や、小さな言い争いを感じ取った場合には、間に入って話を聞き、問題を未然に防ぐこともできます。 目配りは、経験を積むことでより鋭くなるでしょう。しかし、新人であっても、常に利用者のことを考え、注意深く観察することで、小さな変化にも気づくことができます。そして、気づいた変化を同僚に伝えたり、記録に残したりすることで、チーム全体で利用者の安全を守り、より良い介護を提供することに繋がります。このように、目配りは介護の質を高める上で、非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
介護職

ヒヤリハットで事故を防ごう

「ヒヤリハット」とは、介護の現場で起こる「ひやりとした」「はっとした」出来事のことです。これは、実際に事故にはならなかったものの、一歩間違えれば大きな事故につながっていたかもしれないという事例を指します。高齢者の生活を支える介護の現場では、様々な危険が潜んでおり、常に注意が必要です。 高齢者の身体機能の低下は、ヒヤリハットの大きな要因の一つです。例えば、立ち上がろうとした際にふらついて転びそうになる、歩行中につまずく、などが挙げられます。これらの動作は、普段私たちにとっては簡単に行えるものですが、加齢に伴い筋力が衰えたり、バランス感覚が鈍ったりすることで、高齢者にとっては大きな危険となります。また、視力の低下や反応速度の遅れも、ヒヤリハットにつながる可能性があります。 認知症も、ヒヤリハットの発生に大きく関わる要素です。認知症の高齢者は、判断力や記憶力が低下しているため、危険な行動をとってしまうことがあります。例えば、火のついたコンロを触ってしまう、熱い湯を浴びてしまう、徘徊して行方不明になってしまう、といった事例が考えられます。このような状況は、本人だけでなく、周りの人々にも大きな不安や負担を与えます。 食事に関わるヒヤリハットも少なくありません。噛む力や飲み込む力が弱くなっている高齢者は、食事中にむせたり、食べ物を詰まらせてしまったりする危険があります。誤嚥性肺炎は、高齢者の命に関わる重大な病気の一つであり、食事介助の際には細心の注意が必要です。 ヒヤリハットを記録し、分析することは、介護の質の向上に不可欠です。なぜその出来事が起こったのか、どうすれば防げたのかを検討することで、再発防止策を立てることができます。また、ヒヤリハットの情報を共有することで、他の職員も同じミスを繰り返さないように注意することができます。ヒヤリハットを「ただの偶然」で済ませず、真摯に受け止め、改善につなげる姿勢が、安全な介護環境を実現するために重要です。