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タッピング:呼吸を楽にする介助
「叩打法」とも呼ばれるタッピングは、手のひらを軽くカップ状にして、背部や胸部をリズミカルに叩く技術です。まるで太鼓を叩くときのように、手首のスナップをきかせながらリズミカルに行うことがポイントです。この振動によって、肺や気管支に溜まった痰や分泌物をゆるめ、排出を促す効果が期待できます。
呼吸器の病気などで、痰や分泌物の排出がうまくいかない場合、呼吸が浅くなったり、ゼイゼイと息苦しそうな様子が見られたりすることがあります。このような場合にタッピングを行うことで、呼吸を楽にする手助けとなることがあります。例えば、肺炎や気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった病気を持つ方にとって、タッピングは呼吸ケアの一環として重要な役割を果たすことがあります。
タッピングは医療現場だけでなく、在宅介護の場面でも広く活用されています。家族や介護者が、日常のケアの中でタッピングを行うことで、利用者の呼吸状態を良くし、生活の質を高めることに繋がります。痰が絡んで苦しそうな咳をしている時や、呼吸が浅く、息苦しそうな様子が見られる時に、背中や胸を優しく叩くことで、痰の排出を促し、呼吸を楽にする効果が期待できます。
ただし、タッピングはあくまでも補助的な方法であり、医療行為ではありません。正しく行わないと、逆に苦しさを増したり、痛みを与えてしまう可能性もあります。そのため、始める前には必ず医師や看護師、理学療法士など専門家の指導を受けることが大切です。叩く強さやリズム、位置などを適切に学ぶことで、より効果的に、そして安全にタッピングを行うことができます。自己流で行うのではなく、専門家の指導の下、適切な方法で行うようにしましょう。