大切にしたい、自分で決める力

大切にしたい、自分で決める力

介護を学びたい

先生、「自己決定権」って、どんな権利のことですか?介護と介助でどう変わるんですか?

介護の研究家

良い質問だね。簡単に言うと、自分のことは自分で決める権利のことだよ。例えば、どんな風に介護や介助を受けたいか、どんな暮らしをしたいかなどを自分で決めることができるんだ。介護と介助で変わるというより、どんな状況でも、その人自身が自分で決める権利を持っている、ということだね。

介護を学びたい

でも、もし自分で決められない状態だったらどうするんですか?

介護の研究家

そうだね、認知症などで判断が難しい場合は、本人が以前話していたことや、大切にしていることなどを周りの人がよく考えて、その人が望んでいたであろうことを尊重して決めることが大切なんだ。もちろん、周りの人が勝手に決めてしまうのではなく、本人の意思を最大限尊重することが重要だよ。

自己決定権とは。

「介護」と「介助」について説明します。特に「自分で決める権利」について考えます。これは、自分の行動は自分で責任を持つということです。例えば、もの忘れがひどくなったお年寄りや体の不自由な方の場合は、もしちゃんと考えられるなら、どんな世話をしてもらいたいかを大切にします。そして、周りの人から見ても、納得できるような支援をすることが大切です。

自分で決める権利とは

自分で決める権利とは

人は誰でも、生まれたときから、自分の人生をどう生きるか、どんな風に日々を過ごすか、自分で決める権利を持っています。この権利は「自己決定権」と呼ばれ、私たちが人間らしく生きるための大切な土台となっています。毎朝、何を食べるか、どんな服を着るかといった日常のささいなことから、結婚するかどうか、どんな仕事に就くか、どこに住むかといった人生の大きな転換期まで、私たちは常に様々な選択を迫られています。そして、その一つ一つを自分の意思で決めていくことができます。

朝、温かい味噌汁を飲むか、それともパンを食べるか。白いシャツを着るか、色鮮やかな服を選ぶか。こうした日常の小さな選択も、積み重なれば私たちの人生を形作っていく大切な要素です。さらに、人生のパートナーを選ぶ、自分の能力を生かせる仕事を見つける、落ち着いた場所で暮らす、あるいは刺激的な都会で生活するなど、人生における大きな選択は、その後の人生を大きく左右します。これらの選択は、時に周囲の人々からの助言や影響を受けることもありますが、最終的に決めるのは自分自身です。そして、その選択によって得られる結果についても、自分自身が責任を負うことになります。

周囲の人々が望むような生き方ではなく、自分自身が心から納得できる選択をすることで、私たちはより大きな満足感や幸福感を得ることができるでしょう。たとえその選択が、家族や友人にとって理解しがたいものであったとしても、自分自身の人生なのですから、自分の意思を尊重することが大切です。周りの意見に流されて自分の望まない選択をしてしまうと、後で後悔することになりかねません。自分の選択に責任を持ち、自分らしい人生を築いていくことこそが、私たちにとって真の幸せにつながる道なのです。

テーマ 説明
自己決定権 人が自分の人生や日々の過ごし方を決める権利
日常の選択 何を食べるか、何を着るかなど、日々の小さな選択の積み重ねが人生を形作る
人生の選択 結婚、仕事、住居など、人生の大きな転換期における選択
選択の主体 最終的に決めるのは自分自身
選択の責任 選択によって得られる結果の責任は自分自身が負う
納得できる選択 周囲の意見ではなく、自分が心から納得できる選択をすることが大切
自己尊重 たとえ周囲に理解されなくても、自分の意思を尊重する
責任と幸せ 自分の選択に責任を持ち、自分らしい人生を築くことが真の幸せ

介護と自分で決める権利

介護と自分で決める権利

人は誰でも、自分の人生をどのように送るか、どんな風に日々を過ごしたいか、自分で決める権利を持っています。これは、人が人として尊厳を持って生きる上で、とても大切な権利です。そして、体が弱ったり、年を重ねて介護が必要になったとしても、この自分で決める権利は変わることはありません。

どのような手助けを受けたいのか、どんな風に暮らしたいのかは、本人が自ら決めるべきです。例えば、毎日の食事の内容やお風呂に入る時間、何を着るのか、どんな趣味の時間を持ちたいのかなど、出来る限り本人の気持ちを汲み取り、尊重しながら、その人らしい生活を支えることが大切です。

介護を担う家族や専門職の人たちは、本人が選んだことを尊重し、その選択を実現できるよう、様々な形で支える必要があります。例えば、着替えを手伝う、食事の介助をする、趣味の活動を一緒に楽しむといったことです。

しかし、時には本人の希望が、安全面や健康面で心配な場合もあるでしょう。例えば、一人暮らしを続けたいと希望する高齢の方が、転倒の危険性が高い場合などです。このような時は、家族や専門職だけで判断するのではなく、まずは本人の気持ちを丁寧に聞き、なぜそう望むのかを理解しようと努めることが大切です。

そして、他の方法を提案したり、一緒に解決方法を探したりすることで、本人の自分で決める権利を最大限に尊重しながら、より良い方法を見つけることができるはずです。例えば、自宅に手すりを取り付ける、定期的に訪問介護サービスを利用するなど、安全性を高めながら、住み慣れた自宅での生活を続ける方法を一緒に考えることができます。

介護と自分で決める権利

判断能力が低下したとき

判断能力が低下したとき

年を重ねるにつれ、あるいは病気などによって、ものごとを考えたり判断したりする力が弱まることがあります。これは誰にでも起こりうることで、そうなったとき、自分自身で決断を下すのが難しくなる場合があります。このような状況に置かれたとしても、その人の意思を何よりも大切にすることが重要です。

これまでどのように暮らしてきたか、どんなことを大切にしてきたか、どんなことを楽しんできたか。周りの人は、こうした日ごろの様子や会話、習慣をよく覚えておくことが大切です。そして、もしも自分で決められなくなったとき、どんな風に暮らしたいと思っているかを想像し、その人が望むような生活を実現できるよう、支えていく必要があります。たとえば、日記や手紙、写真などから、過去の意思表示や行動を読み取れることもあります。家族や周りの人々は、こうした記録を残しておくことで、判断する力が弱まった後でも、その人の気持ちに寄り添った選択をすることができるでしょう。

また、信頼できる人に自分の意思を託しておくことも、有効な方法です。判断する力が弱まる前に、将来の介護や医療について、どのようなことを望むのかを伝えておき、自分の代わりに決めてくれる人を決めておきましょう。誰に何を託すのかを前もって決めておくことで、将来への不安を軽くし、安心して過ごすことができるでしょう。

ただし、代理で決める人は、その人の意思を尊重し、実現するために力を尽くす必要があります。自分の考えを押し付けたり、その人のためにならないような決断をしてしまってはいけません。代理人は、その人の利益を第一に考え、最善の選択をする責任があります。

状況 課題 解決策 代理人の役割
加齢や病気により判断力が弱まる 自分で決断を下すのが難しくなる
  • 本人の意思を尊重
  • 日ごろの様子や会話、習慣をよく覚えておく
  • 日記や手紙、写真などから過去の意思表示や行動を読み取る
  • 信頼できる人に意思を託す
  • 本人の意思を尊重し、実現に尽力
  • 自分の考えを押し付けない
  • 本人の利益を第一に考え、最善の選択をする

みんなが納得できる決定

みんなが納得できる決定

判断能力が下がった方のために、ものごとを決める際には、周りの人たちが客観的に見守ることが大切です。ご本人が望んでいることでも、安全や健康に問題はないか、周りの人の迷惑になっていないかなどを、しっかりと確かめる必要があります。

そのため、家族だけでなく、介護や医療に関わる人たち皆で協力し、お互いに情報を伝え合いながら、一番良い方法を探していくことが重要です。時には、考え方がぶつかることもあるでしょう。しかし、何よりも大切なのは、ご本人のためになることを一番に考えて、みんなが納得できる結論を出すことです。

そのためには、それぞれの立場や意見を尊重し、丁寧に話し合いを重ねることが欠かせません。例えば、ご本人が住み慣れた家で暮らしたいと希望している場合、ご家族だけで判断するのではなく、介護福祉士やケアマネジャー、医師など専門家の意見も聞きながら、自宅での生活を続けるために必要な支援やサービスについて検討します。具体的には、訪問介護サービスの利用や、住宅改修の相談、福祉用具の導入などを検討する必要があるかもしれません。

また、金銭管理や医療に関する決定など、重要な決定を行う際には、成年後見制度の活用も検討する必要があります。成年後見制度とは、判断能力が不十分な方を保護し、支援するための制度です。家庭裁判所に申し立てを行い、後見人等を選任してもらうことで、ご本人の権利を守りながら、必要な支援を受けることができます。

時間をかけて話し合い、お互いを理解し合うことで、より良い方法を見つけることができるはずです。焦らず、じっくりと話し合いを進めていくことが、みんなが納得できる決定へと繋がります。

判断能力低下時の意思決定における注意点 具体的な行動
客観的に見守る 安全や健康への影響、周囲への迷惑などを確認
関係者間の連携 家族、介護・医療関係者間の情報共有と協力
本人の利益を最優先 立場や意見を尊重し、納得できる結論を目指す
専門家への相談 介護福祉士、ケアマネジャー、医師等への相談
訪問介護、住宅改修、福祉用具などを検討
成年後見制度の活用 金銭管理や医療に関する決定時に検討
時間をかけて話し合う 焦らず、じっくりと話し合い、理解し合う

尊厳ある暮らしのために

尊厳ある暮らしのために

人は誰でも、自分の人生をどのように送るかを決める権利を持っています。これを自己決定権と言います。歳を重ね、体が弱って介護が必要になったとしても、この権利は変わりません。どんな支援が必要か、どこでどのように暮らしたいか、どんな風に日々を過ごしたいか、これらはすべて、本人が決めるべき大切な事柄です。

介護を受ける人が、まるで自分の意思とは関係なく、周りの都合で物事を決められてしまうと、どうなるでしょうか? 言いたいことも言えず、望まない生活を強いられることは、大きな苦痛と絶望を生み出します。これは、その人の尊厳を深く傷つけることに繋がります。人生の最期まで、自分らしく、穏やかに過ごすためには、周りの人が本人の意思を尊重し、その人らしい生活を支えることが何よりも重要です。

例えば、食事のメニュー一つとっても、本人の好みや体調を考慮し、選べるようにする。着替えも、自分でできることは自分で行い、できない部分だけを手伝う。 些細な事柄かもしれませんが、こうした日々の積み重ねが、その人の尊厳を守り、生きる喜びを支えるのです。

介護をする人はもちろん、家族や地域社会全体で、この自己決定権を尊重する意識を持つことが大切です。高齢化が進む中で、誰もがいつかは介護が必要になるかもしれません。周りの人が温かく見守り、支え合うことで、誰もが安心して歳を重ね、自分らしい人生を全うできる社会を築いていきたいものです。そのためにも、「介護」や「介助」といった支援が必要な状況にある人たちが、自分の意思を表明しやすい環境を作っていく必要があります。これは、私たち皆で協力して取り組むべき、重要な課題です。

尊厳ある暮らしのために