ストーマ:人工排泄口の基礎知識

ストーマ:人工排泄口の基礎知識

介護を学びたい

先生、ストーマって人工肛門や人工膀胱のことですよね?種類がたくさんあってよくわからないのですが、違いを教えていただけますか?

介護の研究家

そうだね、ストーマは人工肛門や人工膀胱といった、お腹に作った排泄口のことだよ。大きく分けて消化器ストーマと尿路ストーマの2種類があって、それぞれに種類があるんだ。消化器ストーマには閉鎖型、開放型、キャップ型があり、尿路ストーマにはコック式とキャップ式があるんだよ。

介護を学びたい

なるほど。では、消化器ストーマの3種類の違いは何でしょうか?

介護の研究家

閉鎖型は便が固形で自分で排泄できる場合、開放型は水様便の場合、キャップ型はガスや少量の排泄物が出る場合に使うんだよ。それぞれ便の状態に合わせて使い分けるんだね。尿路ストーマのコック式とキャップ式も、尿の量や状態、本人の状況によって使い分けるんだよ。

ストーマとは。

お年寄りのお世話やお手伝いをする際に知っておくべき言葉として、「人工排泄口」というものがあります。これは、お腹や尿の通り道に人工的に作った排泄口のことで、お腹の場合は人工肛門、尿の通り道の場合は人工膀胱と言います。この排泄口には袋を付けて排泄物をためるようになっており、お腹の人工排泄口の場合、袋のタイプは閉じているもの、開いているもの、蓋が付いているものの3種類があります。尿の通り道の人工排泄口の場合、蛇口のようなものと蓋が付いているものの2種類があり、使う人の状態に合わせて袋の種類を変えることができます。このような人工排泄口を作った人のことをオストメイトと呼びます。

ストーマとは何か

ストーマとは何か

ストーマとは、手術によってお腹に人工的に作られた排泄口のことです。本来、尿や便などの排泄物は尿道や肛門から体外へ排出されます。しかし、癌や炎症性腸疾患、外傷などによって、これらの器官が損傷を受けたり、正常に機能しなくなったりした場合、ストーマ造設が必要となることがあります。

ストーマは、お腹の表面に腸や尿管の一部を導き出して作られます。腸を腹部表面に導出して作られたストーマを人工肛門、尿管を腹部表面に導出して作られたストーマを人工膀胱と呼びます。尿や便は、これらのストーマから排出されるようになります。ストーマの形状や大きさは、人によって異なり、手術の方法や部位、個々の体格などによって決定されます。

ストーマ造設は、身体機能に大きな変化をもたらすため、患者さんにとって身体的にも精神的にも負担がかかる場合があります。排泄のタイミングや方法を自分でコントロールできないことへの不安や、ストーマパウチ(ストーマから排出される排泄物をためる袋)の交換、皮膚の炎症といったストーマの管理に対する戸惑いを感じる方も少なくありません。しかし、適切なケアとサポートによって、ストーマのある生活を送ることは十分可能です。

ストーマ造設が必要となる病気や怪我の種類、手術の方法、ストーマの種類などによって、ストーマは一時的なものと永続的なものがあります。一時的なストーマの場合、一定期間が経過した後、再手術によって元の状態に戻されることもあります。しかし、多くの場合、ストーマ造設は永続的な生活の変化となります。ストーマのある生活に適応するためには、ストーマの管理方法や日常生活における注意点などをしっかりと理解することが重要です。

ストーマケアの専門家である皮膚・排泄ケア認定看護師やストーマ療法士は、ストーマの管理方法や日常生活における注意点、社会資源の活用方法などについて、きめ細やかな指導や相談に応じてくれます。また、同じようにストーマのある患者さんの自助グループや患者会も、精神的な支えを得たり、体験談や生活上の工夫を共有したりする上で貴重な存在です。安心して相談し、ストーマのある生活を前向きに送るための様々なサポート体制を活用しましょう。

項目 内容
ストーマとは 手術によってお腹に人工的に作られた排泄口
ストーマが必要な場合 癌、炎症性腸疾患、外傷などにより、尿道や肛門が損傷を受けたり、正常に機能しなくなったりした場合
ストーマの種類 人工肛門(腸を腹部表面に導出)、人工膀胱(尿管を腹部表面に導出)
ストーマの形状・大きさ 手術の方法や部位、個々の体格により異なる
ストーマ造設による影響 身体的・精神的負担(排泄コントロール不可、ストーマパウチ交換、皮膚の炎症など)
ストーマの期間 一時的なものと永続的なものがある
ストーマのある生活への適応 ストーマの管理方法や日常生活における注意点の理解、専門家によるサポート、自助グループ/患者会など
サポート体制 皮膚・排泄ケア認定看護師、ストーマ療法士、自助グループ、患者会

ストーマの種類

ストーマの種類

人工肛門や人工膀胱といった、お腹に造られた排泄口のことをストーマと言います。大きく分けて、消化管の一部を体外に出して便を排泄するための消化器ストーマと、尿管を体外に出して尿を排泄するための尿路ストーマの二種類があります。それぞれ体の状態や手術の方法によって様々な種類があり、使用するパウチ(排泄物をためる袋)も異なります。

まず、消化器ストーマについて説明します。消化器ストーマは、主に大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病といった病気の手術で造設されます。大きく分けて閉鎖型、開放型、キャップ型の三種類があります。閉鎖型ストーマは、便の状態が固形で、排便のタイミングをある程度コントロールできる場合に適しています。このタイプでは、便がたまったらパウチの中身を空にするため、定期的な管理が必要です。開放型ストーマは、便が水様便でコントロールが難しい場合に用いられます。便は常にパウチに流れ出るため、こまめな観察と管理が必要となります。キャップ型ストーマは、少量の便やガスのみが排出される場合に適しています。キャップをストーマに装着し、必要に応じて交換します。

次に、尿路ストーマについて説明します。尿路ストーマは、膀胱がんや尿管の損傷など、尿路系の病気の手術によって造設されます。コック式とキャップ式の二種類があります。コック式ストーマは、尿がある程度溜まってから排出したい場合に適しています。パウチにコックが付いており、定期的にコックを開けて尿を排出します。キャップ式ストーマは、少量の尿しか出ない場合に用いられます。ストーマにキャップを装着し、必要に応じて交換します。

ストーマの種類は、患者さんの体の状態や手術の内容、生活の状況などを考慮して決定されます。適切なパウチを選択することは、日常生活の快適さや活動性を高める上で非常に重要です。医師や看護師、ストーマケア専門看護師などの指導を受け、自分に合ったパウチを選び、正しい使用方法を理解しましょう。そして、ストーマに関する疑問や不安があれば、遠慮なく相談することが大切です。

ストーマの種類 詳細 適応 管理
消化器ストーマ
(大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病等)
閉鎖型 固形の便、排便コントロール可 定期的にパウチの中身を空にする
開放型 水様便、排便コントロール不可 こまめな観察と管理
キャップ型 少量の便やガス キャップの交換
尿路ストーマ
(膀胱がん、尿管の損傷等)
コック式 尿がある程度溜まってから排出 定期的にコックを開けて尿を排出
キャップ式 少量の尿 キャップの交換

パウチの役割

パウチの役割

人工肛門や人工膀胱といったストーマ造設手術を受けた後、体外に排出される排泄物を一時的に溜めておくための袋状の用具をパウチといいます。このパウチは、ストーマの種類や排泄物の状態、そして使う人の生活スタイルに合わせて様々な種類が用意されています。パウチの主な役割は、ストーマ周囲の皮膚を保護し清潔を保つことです。

パウチは大きく分けて二つの部分から構成されています。一つは面板と呼ばれる部分で、これはストーマの周囲の皮膚を保護する役割を担います。ストーマの大きさに合った面板を選ぶこと、そして皮膚に隙間なく密着させることが重要です。適切な面板を使用することで、排泄物が皮膚に漏れ出すことを防ぎ、かぶれやかゆみといった皮膚トラブルを予防することができます。もう一つは、排泄物を溜めておく袋の部分です。この袋の部分は、排泄物の量や性状に適したものを選ぶ必要があります。

パウチの素材や形も様々です。装着したときの違和感の少ないもの、動きやすいもの、衣服に響きにくいものなど、使用する人の生活スタイルや好みに合わせて選ぶことができます。また、透明なタイプと不透明なタイプがあり、排泄物の状態を確認しやすい透明なタイプを選ぶ人もいれば、目立たない不透明なタイプを好む人もいます。

清潔を保ち、皮膚の健康を守るためには、パウチを定期的に交換することが不可欠です。交換の頻度は、排泄物の量や状態、そして使用しているパウチの種類によって異なります。毎日交換する場合もあれば、数日に一度の交換で済む場合もあります。医師や看護師、ストーマケア専門看護師などの指導を仰ぎ、自分に合った適切な交換頻度や交換方法を理解することが大切です。自分自身の状態を把握し、快適に過ごせるように適切なパウチを選び、正しく使用しましょう。

項目 詳細
パウチの役割 ストーマ周囲の皮膚保護と清潔保持
面板 ストーマ周囲の皮膚を保護。ストーマの大きさに合ったものを隙間なく密着させる。
袋部分 排泄物を溜める。排泄物の量や性状に適したものを選ぶ。
種類 素材、形、透明・不透明など、生活スタイルや好みに合わせて選択可能。
交換頻度 排泄物の量、状態、パウチの種類による。医師や看護師、ストーマケア専門看護師等の指導を仰ぐ。

日常生活の注意点

日常生活の注意点

人工肛門や人工膀胱を造設した後は、日常生活を送る上でいくつか注意すべき点があります。その点を理解し、適切な対応をすることで、より快適に過ごすことができます。

まず、食事についてです。人工肛門の場合、消化のしやすさに配慮することが大切です。食物繊維が多い食品は、便の量を増やし、人工肛門に負担をかける可能性があります。また、ガスが発生しやすい食品も、お腹の張りや不快感につながるため、注意が必要です。反対に、消化の良い食品や、便を柔らかくする食品を積極的に摂るように心がけましょう。人工膀胱の場合は、水分の摂取量が重要です。水分が不足すると、尿路感染症のリスクが高まるため、こまめな水分補給を心がけましょう。刺激の強い飲み物は、膀胱を刺激する可能性があるため、控えることが望ましいです。

次に、服装についてです。人工肛門や人工膀胱のパウチを圧迫しない、ゆったりとした服装を選びましょう。締め付けの強い服は、パウチの破損や皮膚への負担につながる可能性があります。パウチを隠せるデザインの服であれば、外出時にも安心です。肌着は、通気性の良い素材を選び、清潔に保つようにしましょう。

入浴に関しては、基本的に普段通りで問題ありません。パウチを装着したまま入浴することも可能です。気になる場合は、防水タイプのカバーを使用することで、パウチが濡れるのを防ぎ、より安心して入浴できます。入浴後は、パウチや皮膚を清潔にして、しっかりと乾燥させることが大切です。

運動も、健康維持のために重要です。ただし、激しい運動や、お腹に負担がかかる運動は控えましょう。ウォーキングなどの軽い運動は、積極的に行うことが推奨されます。運動をする際は、パウチがずれたりしないよう、適切な補助具を使用するなど工夫しましょう。

これらの日常生活の注意点を守ることで、人工肛門や人工膀胱を持っていても、快適で充実した生活を送ることができます。もし、不安な点や疑問があれば、医師や看護師に相談することをお勧めします。

項目 人工肛門 人工膀胱
食事
  • 消化の良い食品を選ぶ
  • 食物繊維の多い食品、ガス発生しやすい食品は注意
  • 便を柔らかくする食品を摂る
  • こまめな水分補給
  • 刺激の強い飲み物は控える
服装
  • パウチを圧迫しないゆったりとした服装
  • 締め付けの強い服は避ける
  • パウチを隠せるデザイン
  • 通気性の良い肌着
  • パウチを圧迫しないゆったりとした服装
  • 締め付けの強い服は避ける
  • パウチを隠せるデザイン
  • 通気性の良い肌着
入浴
  • 普段通りで問題ない
  • パウチ装着のまま入浴可能
  • 防水カバーの使用も可能
  • 入浴後は清潔にし、乾燥させる
  • 普段通りで問題ない
  • パウチ装着のまま入浴可能
  • 防水カバーの使用も可能
  • 入浴後は清潔にし、乾燥させる
運動
  • 激しい運動、お腹に負担がかかる運動は控える
  • ウォーキングなどの軽い運動は推奨
  • パウチがずれないよう工夫
  • 激しい運動、お腹に負担がかかる運動は控える
  • ウォーキングなどの軽い運動は推奨
  • パウチがずれないよう工夫

オストメイトの支援

オストメイトの支援

人工肛門や人工膀胱を造設した方のことを、オストメイトと呼びます。オストメイトは、身体に大きな変化が生じるため、日常生活を送る上で様々な苦労や不安を抱えることになります。排泄の管理方法が変わることへの戸惑いや、装具の交換、漏れや臭いへの心配、周囲の視線など、身体的な負担だけでなく精神的な負担も大きいと言えます。

オストメイトが安心して生活を送るためには、周囲の理解と温かい支えが何よりも大切です。家族や友人、職場の人々は、オストメイトの状況を理解し、偏見を持つことなく接することが重要です。オストメイトが不安や悩みを打ち明けられるような、信頼関係を築くことが大切です。具体的には、オストメイトの話にじっくりと耳を傾け、気持ちを受け止め、共感する姿勢を持つことが重要です。

医療機関では、ストーマケアの専門看護師や医師が、オストメイトの日常生活をサポートしています。ストーマの管理方法や装具の選び方、皮膚のケア方法など、専門的な指導を受けることができます。また、日常生活で困っていることや不安に思っていることなどを相談することもできます。

さらに、オストメイトの自助グループや支援団体も、心強い支えとなっています。同じ経験を持つ仲間と交流することで、情報交換をしたり、悩みを共有したり、精神的な支えを得ることができます。また、地域によっては、行政の相談窓口福祉サービスなども利用できます。

インターネットや書籍、パンフレットなどで、ストーマに関する正しい知識を得ることも大切です。正しく理解することで、オストメイトへの偏見や差別をなくし温かい社会を作っていくことに繋がります。オストメイトが社会生活に問題なく参加できるよう、私たち一人ひとりが理解を深め、協力していくことが大切です。

対象 課題 支援内容
オストメイト
  • 排泄管理の変化への戸惑い
  • 装具の交換、漏れや臭いへの心配
  • 周囲の視線
  • 身体的・精神的負担
  • 周囲の理解と温かい支え
  • 偏見なく接する
  • 信頼関係を築く
  • 話に耳を傾け、共感する
医療機関
  • ストーマケアの専門看護師・医師によるサポート
  • ストーマ管理、装具、皮膚ケアの指導
  • 日常生活の相談
自助グループ・支援団体
  • 情報交換
  • 悩み共有
  • 精神的支え
行政・その他
  • 相談窓口
  • 福祉サービス
  • インターネット、書籍、パンフレット等による情報提供
社会全体 オストメイトへの偏見や差別
  • 正しい知識の普及
  • 温かい社会づくり
  • 社会参加支援
  • 理解と協力