胃瘻造設:内視鏡を用いた方法
介護を学びたい
先生、「内視鏡的胃瘻造設術」って、口から食べられない人に栄養を送るためにお腹に穴を開ける方法ですよね?
介護の研究家
はい、そうです。口から食べることが難しい場合に、直接胃に栄養を送るための方法の一つです。内視鏡を使って行うので「内視鏡的胃瘻造設術」と言います。略してPEGとも呼ばれますね。
介護を学びたい
PEG…覚えておきます。でも、お腹に穴を開けるなんて、なんだか怖いですね。何か危険なことはありますか?
介護の研究家
もちろん、どんな手術にもリスクはあります。PEGの場合、出血したり、お腹の中が炎症を起こしたり(腹膜炎)、肺炎になることもあります。しかし、最近は技術も進歩していて、医師の指示をよく守れば、それほど心配する必要はありません。
内視鏡的胃瘻造設術とは。
「介護」と「介助」について説明します。その中で、お腹に小さな穴を開けて、管を通して直接胃に栄養を送る方法である『内視鏡的胃瘻造設術』(略してペグ)という用語が出てきます。これは、内視鏡というカメラのついた管を使って、胃に穴を開ける方法です。この方法を行うことで、出血、お腹の中にある膜の炎症、肺炎といった合併症が起こる場合があります。
はじめに
口から十分な食事をとることが難しい方にとって、栄養を補給するために胃に直接栄養を送る胃瘻は、健康を維持する上でとても大切な方法です。胃瘻にはいくつか種類がありますが、近年ではお腹を大きく切らずに、内視鏡を使って胃に小さな穴を開け、チューブを通して栄養を送る経皮内視鏡的胃瘻造設術(略してペグ)が広く行われています。これは、従来のお腹を切る手術に比べて、体に負担が少なく、回復までの期間も短いという大きな利点があります。
ペグは、全身麻酔ではなく、のどや鼻に麻酔をして行うため、体の負担が少ないのが特徴です。また、入院期間も短く、多くの場合、手術後数日から一週間程度で退院することができます。これは、患者さんの生活の質を維持する上で重要な点です。さらに、ペグの手術費用は健康保険が適用されるため、経済的な負担も軽減されます。
しかし、ペグにもデメリットや合併症のリスクは存在します。例えば、手術後、胃瘻の周囲が赤く腫れたり、痛みを感じたりする場合があります。また、チューブが詰まったり、抜けてしまうといったトラブルも起こる可能性があります。このような合併症を防ぐためには、正しい管理と適切なケアが不可欠です。
日々の介護では、清潔な状態を保つことが最も重要です。胃瘻の周囲の皮膚は清潔に保ち、定期的に消毒を行い、感染症を防ぎましょう。また、栄養剤の注入速度や量、温度にも注意が必要です。栄養剤は適切な温度に保ち、ゆっくりと注入することで、吐き気や下痢などの消化器症状を予防することができます。
介助する際は、患者さんの気持ちを尊重し、プライバシーに配慮することが大切です。また、患者さんの状態を常に観察し、異変があればすぐに医療機関に相談しましょう。栄養状態の管理だけでなく、心のケアも忘れずに行うことが、患者さんの生活の質を高めることに繋がります。
項目 | 内容 |
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定義 | 口から十分な食事をとることが難しい方の栄養補給法。近年は経皮内視鏡的胃瘻造設術(ペグ)が主流。 |
ペグの特徴 | お腹を切らずに内視鏡で胃に小さな穴を開けチューブで栄養を送る方法。体に負担が少なく回復が早い。 |
メリット |
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デメリット・合併症 |
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介護 |
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介助 |
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経皮内視鏡的胃瘻造設術とは
経皮内視鏡的胃瘻造設術(ピーイー--ジー)は、お腹を大きく切らずに、胃に栄養を送るための小さな管を作る方法です。口から食べることが難しい方にとって、必要な栄養を直接胃に届けることができる大切な手段です。
この方法は、内視鏡と呼ばれる、先端にカメラの付いた細い管を使います。内視鏡をお口から食道、胃へと進め、胃の中を直接見ながら、安全な場所に小さな穴を開けます。その穴を通して、胃瘻と呼ばれる管を皮膚の外まで通し、固定します。この管を通じて、栄養剤などを注入することで、口から食べられない方でも必要な栄養を補給できるのです。
従来の外科手術のようにお腹を大きく切る必要がないため、体への負担が少なく、回復も早いという利点があります。入院期間も短く、多くの場合、数日から一週間程度で退院できます。高齢の方や他の病気を抱えている方でも、比較的安全に受けることができます。
内視鏡で胃の中を確認しながら行うため、管を入れる位置の確認も正確で、合併症のリスクも抑えられます。処置時間は通常30分から1時間程度で、局所麻酔で行うことが一般的です。そのため、全身麻酔に伴うリスクも軽減されます。
経皮内視鏡的胃瘻造設術は、口から食事を摂ることが難しい方にとって、栄養状態を維持し、生活の質を向上させるための有効な方法と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
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正式名称 | 経皮内視鏡的胃瘻造設術(ピーイー--ジー) |
目的 | 口から食べることが難しい方に、胃に栄養を送るための小さな管を作る |
方法 | 先端にカメラの付いた細い管(内視鏡)を口から挿入し、胃に小さな穴を開け、そこから胃瘻と呼ばれる管を皮膚の外まで通す。 |
メリット | – 必要な栄養を直接胃に届けられる – 体への負担が少ない – 回復が早い – 入院期間が短い – 合併症のリスクが低い – 全身麻酔のリスクがない |
対象 | 口から食事を摂ることが難しい方(高齢者や他の病気を抱えている方も含む) |
処置時間 | 30分~1時間程度 |
麻酔 | 局所麻酔 |
利点と欠点
胃ろう造設、つまりお腹から直接胃に栄養を送る経皮内視鏡的胃ろう造設術には、口から食べることが難しい方にとって多くの利点があります。まず、体に負担が少ない方法で栄養を補給できるため、体力の回復を助けます。口から食べられないことで体力が落ちてしまうことを防ぎ、より早く健康な状態を取り戻す助けとなるでしょう。また、病院だけでなく自宅でも比較的簡単に管理できるため、住み慣れた環境で過ごすことができます。家族や介護をする人も、特別な技術を習得しなくても管理できる場合が多いので安心です。口から食事を摂ることができなくても、胃に直接栄養を送ることで、必要な栄養をしっかりと補給し、栄養状態を改善することができます。意識がはっきりしない方や、食べ物をうまく飲み込めない方でも、胃ろうを通して栄養を届けることができるため、健康維持に役立ちます。
一方で、胃ろう造設にはいくつか注意すべき点もあります。合併症として、出血やお腹の中を覆う膜の炎症である腹膜炎、誤って食べ物などが気管に入り込んでしまうことによる肺炎などが起こる可能性があります。これらの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談することが大切です。また、胃ろう造設後はチューブの管理に注意が必要です。定期的にチューブを交換したり、清潔に保つために洗浄したりする必要があります。皮膚に炎症が起きたり、感染症にかかったりする危険性もあるため、常に清潔な状態を保つよう心がけなければなりません。医師や看護師の指示に従い、適切なケアを行うことが重要です。家族や介護をする人が、正しい管理方法を理解し、適切な処置を行うことで、合併症を防ぎ、安全に胃ろうを使用することができます。
メリット | デメリット |
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起こりうる合併症
胃ろう造設術、いわゆるPEGは、口から食事を摂ることが困難な方にとって、栄養を確保するための大切な手段です。しかし、体に小さな管を通すこの処置には、いくつかの合併症が起こる可能性があることを理解しておく必要があります。
まず、処置を行う際に、胃の壁が傷つき出血することがあります。少量の出血であれば自然に止まることも多いですが、大量に出血した場合は、輸血が必要となるケースもあります。また、胃の内容物が腹腔内に漏れ出てしまうことで、腹膜炎を起こす可能性もあります。腹膜炎になると、激しい腹痛や高熱といった症状が現れます。迅速な対応が必要となるため、異変を感じたらすぐに医療機関に連絡することが大切です。
さらに、PEGに関連した合併症として肺炎も挙げられます。これは、胃ろうから食べ物などと一緒に空気が入り込み、それが肺に入ってしまうことで起こります。咳や痰、発熱といった症状が現れたら、肺炎のサインかもしれません。特に、ご高齢の方や免疫力が低下している方は注意が必要です。
また、胃ろうの管が詰まったり、漏れが生じたりするといったトラブルも起こりえます。管が詰まると栄養を適切に送ることができず、漏れが生じると皮膚が炎症を起こす可能性があります。日頃から管の状態をよく観察し、清潔を保つことが大切です。定期的な交換も必要です。
これらの合併症を予防するためには、医師や看護師の指示に従い、適切な管理を行うことが重要です。清潔な環境を維持し、栄養剤の注入方法や速度、管の管理方法などを正しく理解しましょう。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関に相談してください。PEGは命を繋ぐ大切な処置ですが、合併症のリスクもあることを理解し、慎重な管理を心がける必要があります。
合併症 | 症状 | 予防策 |
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出血 | – | 医師や看護師の指示に従う |
腹膜炎 | 激しい腹痛、高熱 | 医師や看護師の指示に従う、異変を感じたらすぐに医療機関に連絡 |
肺炎 | 咳、痰、発熱 | 医師や看護師の指示に従う、特に高齢者や免疫力が低下している方は注意 |
胃ろうの管の詰まり | 栄養を適切に送ることができない | 日頃から管の状態をよく観察、清潔を保つ、定期的な交換 |
胃ろうの管の漏れ | 皮膚の炎症 | 日頃から管の状態をよく観察、清潔を保つ、定期的な交換 |
介護と介助での注意点
胃ろう(PEG)造設後のお世話は、いくつかの大切な点に注意が必要です。まず、栄養剤の注入についてですが、医師の指示に従い、決められた量と速度を守ることが非常に重要です。速すぎると吐き気や腹痛を起こす可能性があり、逆に遅すぎると必要な栄養が十分に摂れなくなってしまいます。次に、チューブの管理について。チューブは清潔に保つことが大切で、定期的な交換が必要です。交換時期は医師の指示に従ってください。また、チューブ周辺の皮膚は汚れやすく、炎症を起こしやすい部分です。こまめに優しく洗い、清潔なガーゼなどで拭いて清潔に保ちましょう。乾燥を防ぐため、保湿剤を塗ることも大切です。
胃ろう造設後は、食べ物や飲み物が誤って気管に入り込むこと(誤嚥)による肺炎のリスクが高まります。これを防ぐために、食事の姿勢と体位には特に注意が必要です。食事中は上体を起こした姿勢を保ち、食後もしばらくは座ったままでいるようにしましょう。横になる場合は、頭を高くすると誤嚥のリスクを軽減できます。もし、食事中にむせたり、咳き込んだりするなど、誤嚥の兆候が見られた場合は、すぐに医師に連絡してください。迅速な対応が、重症化を防ぐ鍵となります。
その他、日々の観察も重要です。皮膚の状態やチューブの挿入部、栄養剤が漏れていないかなどを毎日確認し、異変があればすぐに医師や看護師に相談しましょう。家族だけで抱え込まず、専門家のサポートを受けることで、安心して在宅での生活を送ることができます。
項目 | 注意点 |
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栄養剤の注入 | 医師の指示に従い、決められた量と速度を守る。速すぎると吐き気や腹痛、遅すぎると栄養不足になる。 |
チューブの管理 | 清潔に保ち、定期的に交換。交換時期は医師の指示に従う。チューブ周辺の皮膚はこまめに優しく洗い、清潔なガーゼなどで拭いて清潔に保つ。乾燥を防ぐため、保湿剤を塗る。 |
誤嚥の予防 | 食事中は上体を起こした姿勢を保ち、食後もしばらくは座ったままでいる。横になる場合は頭を高くする。むせたり、咳き込んだりするなど、誤嚥の兆候が見られた場合はすぐに医師に連絡する。 |
日々の観察 | 皮膚の状態やチューブの挿入部、栄養剤が漏れていないかなどを毎日確認し、異変があればすぐに医師や看護師に相談する。 |
まとめ
経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は、口から食べ物を摂取することが難しい方にとって、栄養を補給するための大切な方法です。口から食べられない理由は様々ですが、例えば脳卒中やがんなどでうまく飲み込めなかったり、意識がなかったりする状態の方が対象となります。PEGは、お腹に小さな穴を開けて、胃に直接チューブを通すことで、栄養剤を注入できるようにする手術です。体に負担が少ない手術であり、多くの場合、手術後も比較的早く回復できるという利点があります。
しかし、PEGにも合併症のリスクはあります。例えば、チューブの挿入部分が感染したり、出血したりすることがあります。また、誤ってチューブが抜けてしまうこともあります。さらに、栄養剤が誤って肺に入ってしまうことで肺炎を引き起こす可能性も稀にあります。そのため、合併症を防ぐためには、正しい管理が欠かせません。医師や看護師の指示に従って、チューブの固定や清潔を保つためのケアを丁寧に行う必要があります。
PEGを設置した後の生活では、栄養剤の注入方法やチューブの管理方法、皮膚のケアなど、注意すべき点がいくつかあります。栄養剤は、医師の指示に従って適切な量と速度で注入する必要があります。また、チューブが詰まったり、抜けてしまったりしないように、定期的に点検し、清潔に保つ必要があります。皮膚のケアも重要です。チューブの挿入部分周辺の皮膚は汚れやすく、炎症を起こしやすい状態です。清潔に保ち、必要に応じて薬を塗るなどして、皮膚のトラブルを防ぎましょう。
家族や介護をする人は、医師や看護師としっかりと連携し、正しい知識と技術を身につけることが大切です。患者さんの状態を注意深く観察し、少しでも異変に気付いたら、すぐに医療機関に相談しましょう。適切なケアを行うことで、患者さんの栄養状態を維持し、より良い生活を送れるように支えることができます。PEGについて疑問や不安なことがある場合は、ためらわずに医療機関に相談しましょう。専門家が丁寧に説明し、適切なアドバイスをしてくれます。
メリット | デメリット・リスク | 注意点 | その他 |
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口から食べられない場合の栄養補給が可能 体に負担が少ない手術 術後比較的早く回復できる |
感染、出血 チューブ抜け 栄養剤の誤嚥による肺炎 |
栄養剤の注入(適切な量と速度) チューブ管理(定期点検、清潔保持) 皮膚ケア(清潔保持、薬の使用) |
家族、介護者の連携、知識、技術習得 患者状態の観察 異変時の医療機関への相談 |