心の病:内因性精神障害とは?
介護を学びたい
先生、「内因性精神障害」って、具体的にどんなものですか?なんか難しそうです…
介護の研究家
そうだね、少し難しいかもしれないね。簡単に言うと、脳の中の神経の働きに問題があって起こる精神障害のことだよ。例えば、脳の中でメッセージを伝える物質の量が少なかったり、多すぎたりすることが原因と考えられているんだ。遺伝的な影響もあると言われているけど、まだはっきりとした原因は分かっていないんだ。
介護を学びたい
なるほど。つまり、脳の仕組み自体に問題があるってことですね。風邪をひくみたいに、外から原因が入ってくるのとは違うんですね。
介護の研究家
その通り!よく理解できたね。風邪のように外からの原因で起こる精神障害は「外因性精神障害」と言うし、強いストレスや心理的な原因で起こるものは「心因性精神障害」と言うんだよ。内因性、外因性、心因性、この3つで精神障害は大きく分けられるんだ。
内因性精神障害とは。
「介護」と「介助」の違いについて説明します。合わせて、原因がはっきりとは分かっていないものの、脳の中の情報伝達物質の分泌の異常や遺伝などが関係していると考えられている『内因性精神障害』についても説明します。精神の病気には、この内因性の他に、外からの原因によるものと、心の原因によるものがあります。
原因の解明
心の病、特に内側から生まれる心の病は、その原因を特定することが難しいものです。脳の働きを支える、いわば脳の伝令役である神経伝達物質のバランスが崩れることが、一つの大きな原因と考えられています。この伝令役のおかげで、脳の中で様々な情報が行き交っているのですが、このバランスが崩れると、私たちの思考や感情、行動に乱れが生じ、心の病の症状として現れてくるのです。
また、親から子へと受け継がれる遺伝的な要因も無視できません。家族に心の病を持つ人がいると、その病気を発症する可能性が高くなるという研究結果も報告されています。これは、生まれ持った体質が心の病の発症に影響していることを示唆しています。しかし、遺伝だけで全てが決まるわけではありません。
実は、心の病の本当の原因は、まだ完全には解明されていません。神経伝達物質の乱れや遺伝的な要因以外にも、様々な要素が複雑に絡み合って発症すると考えられています。例えば、育ってきた環境や、人生で経験する様々な出来事、人間関係のストレスなども、心の病を引き起こす要因となり得ます。
これらの要因がどのように影響し合い、心の病につながるのかを明らかにするには、もっと多くの研究が必要です。脳の仕組みや遺伝子の働き、そして人の心と体の関係性など、様々な角度からの研究を進めることで、心の病の予防や治療に役立つ新しい発見が期待されています。心の病は、決して特別なものではなく、誰もがなりうる可能性のある病気です。原因の解明に向けて、地道な研究が続けられています。
心の病の原因 | 詳細 |
---|---|
神経伝達物質のバランスの乱れ | 脳内伝達物質のバランスが崩れることで、思考・感情・行動に乱れが生じ、心の病の症状として現れる。 |
遺伝的要因 | 親から子へと受け継がれる遺伝的な要因も影響する。家族に心の病を持つ人がいると、発症する可能性が高くなる。 |
その他の要因 | 育った環境、人生経験、人間関係のストレスなども要因となり得る。 |
未解明な点 | 様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられており、本当の原因はまだ完全には解明されていない。 |
他の精神疾患との違い
心の病は大きく分けて、生まれつきの体質が影響するもの、体への病気や薬の影響で起こるもの、心の負担や過去のつらい出来事が原因となるものの三種類に分けられます。生まれつきの体質が影響する心の病は、脳の働き方の違いが主な原因と考えられています。具体的には、統合失調症などがこのタイプに含まれます。脳の神経伝達物質のバランスが崩れることで、幻覚や妄想などの症状が現れると言われています。
次に、体への病気や薬の影響で起こる心の病は、脳の腫瘍や感染症、薬物の使い過ぎなど、体に直接的な原因がある場合に起こります。例えば、甲状腺の病気が原因で気分が不安定になったり、高熱によって一時的に幻覚を見たりすることがあります。また、特定の薬の副作用として、精神症状が現れる場合もあります。
三つ目の、心の負担や過去のつらい出来事が原因となる心の病は、強い心のストレスや、心に傷を負うような経験が引き金となって発症します。性格や育った環境も発症に関係していると考えられています。例えば、うつ病や不安障害などがこのタイプに分類されます。つらい出来事を経験した後に、気分が落ち込んだり、強い不安を感じたりすることが主な症状です。
この三つの分類は、必ずしもはっきりと区別できるものではありません。複数の原因が複雑に絡み合って、心の病を発症する場合も多くあります。例えば、生まれつき心の病になりやすい体質の人が、強いストレスに長くさらされると、体質とストレスの両方が原因となって病気を発症する可能性が高くなります。このように、心の病の原因は一つとは限らず、様々な要因が影響し合っていることを理解することが大切です。
分類 | 原因 | 具体例 | 症状例 |
---|---|---|---|
生まれつきの体質が影響するもの | 脳の働き方の違い(神経伝達物質のバランスの崩れ) | 統合失調症 | 幻覚、妄想 |
体への病気や薬の影響で起こるもの | 脳の腫瘍、感染症、薬物の使い過ぎなど | 甲状腺疾患による気分不安定、高熱による幻覚、薬の副作用による精神症状 | 気分不安定、幻覚、精神症状 |
心の負担や過去のつらい出来事が原因となるもの | 強い心のストレス、心に傷を負うような経験 | うつ病、不安障害 | 気分の落ち込み、強い不安 |
症状の現れ方
心の病は、その現れ方が実に様々で、一人として同じ症状を示す人はいません。まるで万華鏡のように、症状の種類や組み合わせ、そしてその強さも人それぞれです。代表的な症状としては、気分の浮き沈みが激しくなる、現実にはないものが見える・聞こえるといった感覚の異常、考えがまとまらなくなる、物事への意欲が低下するといったことが挙げられます。
これらの症状は、日々の生活に影を落とすだけでなく、社会との繋がりを難しくすることもあります。たとえば、気分の落ち込みが続くことで、仕事や家事が手につかなくなったり、人との関わりを避けるようになってしまうかもしれません。また、考えが混乱することで、周囲の言葉が理解しづらくなったり、自分の気持ちをうまく伝えられなくなることもあります。
症状の現れ方には個人差が大きいため、同じ病気であっても、全く異なる症状を示す場合もあります。ある人は気分の落ち込みが強く、別の人は幻覚や妄想が中心となるなど、まさに十人十色です。そのため、自分の症状だけで判断するのは難しく、専門家による正しい診断と治療が必要です。
早期発見と早期治療は、回復への近道です。少しでも気になる症状があれば、「気のせいかな」と放置せずに、ためらわずに医療機関を訪ねることが大切です。専門家は、様々な角度から症状を丁寧に調べ、それぞれの状況に合った適切な治療法を提案してくれます。心の不調を感じたら、一人で抱え込まず、まずは相談してみましょう。周りの人に話すことも、心の負担を軽くする上で大切な一歩です。
心の病の症状 | 症状の影響 | 診断と治療 |
---|---|---|
気分の浮き沈み、幻覚・妄想、思考の混乱、意欲低下など ※症状の種類、組み合わせ、強さは人それぞれ |
日常生活への支障(仕事、家事など) 社会との繋がりの困難(人との関わりを避けるなど) コミュニケーションの困難(言葉の理解、意思疎通など) |
個人差が大きいため、専門家による診断と治療が必要 早期発見・早期治療が重要 医療機関への相談 周囲への相談 |
治療の進め方
心の中のもやもやを晴らすための道のりは、お薬を使う治療と、心と向き合う治療を組み合わせるのが今のところ良いとされています。
お薬を使う治療では、「抗精神病薬」や「抗うつ薬」、「気分安定薬」といった種類のお薬を使って、つらい気持ちや不安な気持ちを和らげたり、また同じような気持ちにならないようにしていきます。
心と向き合う治療では、「認知行動療法」や「対人関係療法」といった方法を使って、ものの見方や考え方、そして人との関わり方を見つめ直し、日々の暮らしの中で感じる、いろいろな出来事への対応力を高めていくことを目指します。
このような治療は長い期間かかることが多く、その人の状態に合わせて、お薬の種類や量、心と向き合う治療の内容を調整していくことが大切です。
また、家族や周りの人の理解と協力は、治療を進めていく上で大きな力となります。周りの人が温かく見守り、困っている時に手を差し伸べてくれることは、安心して治療に集中できる環境を作る上でとても大切です。そうした環境があってこそ、心のもやもやが晴れ、穏やかな気持ちを取り戻せることに繋がっていくと言えるでしょう。
治療の種類 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
薬物療法 | 抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬 | つらい気持ちや不安な気持ちを和らげ、再発を予防 |
心理療法 | 認知行動療法、対人関係療法 | ものの見方、考え方、人との関わり方を見つめ直し、対応力を高める |
その他:
治療期間は長く、状態に合わせて薬の種類、量、心理療法の内容を調整
家族や周囲の理解と協力が重要
社会との関わり
心の病気を抱える人にとって、社会とのつながりは、時に大きな壁となることがあります。病気の症状そのものや、周囲の誤解や偏見によって、地域社会への参加が難しくなる場合も少なくありません。仕事に行きたくても行けない、近所の人と話すのが怖い、外出するのがおっくうになるなど、社会生活を送る上で様々な困難に直面することがあります。しかし、社会とのつながりを保ち続けることは、病からの回復を目指す上で、大きな支えとなるのです。
地域社会の温かい理解と積極的な支援が、心の病気を抱える人たちにとってどれほど大切か、改めて認識する必要があります。就労の機会を提供するための支援や、地域活動への参加を促すための取り組みなど、様々な支援策が必要です。また、心の病気について正しい知識を広める活動も重要です。心の病気に偏見を持つことなく、誰もが安心して暮らせる社会を作るためには、私たち一人ひとりが自分には何ができるのかを考える必要があります。
心の病気を抱える人が社会生活を送るためには、周囲の理解と適切な支援が不可欠です。症状や困りごとは人それぞれです。必要な支援も、病状や状況によって異なります。そのため、本人の気持ちを尊重し、その人に合った支援を行うことが大切です。例えば、仕事をする上でどのような配慮が必要なのか、地域活動にどのように参加できるのかなど、本人の希望や状況に合わせた丁寧な対応が求められます。
温かい目で見守り、困っている時には手を差し伸べる。そんな支え合いの心があれば、多くの心の病気を抱える人が社会生活を送ることができ、自分らしい人生を歩むことができるはずです。誰もが暮らしやすい社会を築くために、共に支え合い、共に歩んでいくことが大切です。
課題 | 解決策 | その他 |
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病気の症状、周囲の誤解や偏見によって社会参加が困難 | 就労支援、地域活動参加の促進、正しい知識の普及、個々に合った支援 | 社会とのつながりが回復の支え |
仕事に行けない、近所の人と話すのが怖い、外出がおっくう | 本人の気持ちを尊重、希望や状況に合わせた丁寧な対応 | 温かい目で見守り、困っている時に手を差し伸べる |