自分の手で書く調査:自記式調査

自分の手で書く調査:自記式調査

介護を学びたい

先生、「自記式調査」って、どういう意味ですか? 介護と介助の言葉の中で出てきました。

介護の研究家

そうだね。「自記式調査」とは、例えば、介護が必要かどうかを調べる時、自分で質問票に書き込んで答える調査のことだよ。福祉サービスの必要度を自分で判断して記入するんだ。

介護を学びたい

なるほど。自分で書く調査ですね。それに対して、誰かに書いてもらう調査方法もあるんですか?

介護の研究家

その通り!他の人に書いてもらう調査方法もあって、それは「他記式調査」と言うよ。調査員が質問して、その答えを代わりに書いていくんだ。

自記式調査とは。

「介護」と「介助」といった言葉に関する『自分で書く調査』(福祉サービスの必要かどうかを判断するための紙に、対象となる人が自分で書き込んで答える調査方法のことです。反対に、調査する人が対象となる人に面と向かって質問し、その答えを調査用紙に書き込む調査方法は、他の人に書いてもらう調査と言います。)について

自記式調査とは

自記式調査とは

自記式調査とは、調査を受ける人が自ら質問票に記入して回答する調査方法です。文字通り、自分で記録する形式の調査のことです。この方法は、特に介護や福祉の分野で、サービスの必要性を判断するために活用されています。

例えば、要介護認定を申請する場合を考えてみましょう。申請を行うと、日常生活でどの程度の援助が必要なのか、食事や着替え、移動といった動作をどの程度自分で行えるのかなどを問う質問票が送られてきます。この質問票に自分で記入して返送する行為が、まさに自記式調査にあたります。

自記式調査には、いくつかの利点があります。まず、自分の状況を一番よく理解しているのは本人です。そのため、他の人に説明するよりも、より正確な情報を提供できる可能性が高くなります。また、他の人に聞かれることなく、自分のペースでじっくり考えながら回答できるため、プライバシーに配慮した調査方法と言えます。落ち着いて考えられる環境で、正直に回答しやすいというメリットもあります。さらに、調査員を派遣する必要がないため、調査にかかる費用や時間を抑えることもできます。多くの調査対象者に同時に調査を実施できるため、効率的な調査方法として広く用いられています。

一方で、文字が読めない人や、認知機能の低下により質問を理解するのが難しい人には、自記式調査は適していません。このような場合には、家族や支援者などが代わりに回答する代行回答、あるいは調査員が直接質問して回答を得る面接式調査などが用いられます。状況に応じて適切な調査方法を選択することが大切です。

項目 内容
定義 調査を受ける人が自ら質問票に記入して回答する調査方法
活用分野 介護や福祉の分野 (例: 要介護認定の申請)
利点
  • 正確な情報の提供が可能
  • 自分のペースで回答可能(プライバシー配慮)
  • 低費用・時間短縮
  • 効率的(多人数同時調査可能)
欠点/注意点
  • 文字が読めない人、認知機能低下のある人には不向き
  • 代行回答や面接式調査が必要な場合あり

他記式調査との違い

他記式調査との違い

自分で書く方法とは異なり、質問する人と答える人がいる聞き取り調査というものがあります。これは、質問する人が質問を読み上げ、答える人の回答を紙に書き込む方法です。この方法には、いくつかの良い点があります。まず、質問の意味が分からない場合でも、その場で質問する人に聞くことができるので、勘違いなく答えることができます。また、字を書くのが難しい人や、物事を思い出すのが難しくなった人でも、質問する人が助けてくれるので、順調に調査を進めることができます。

しかし、聞き取り調査には、お金がかかるという問題があります。質問する人の人件費や交通費が必要になるため、自分で書く方法よりも費用がかさんでしまうことが多いです。また、質問する人がいることで、答えにくい質問もあるかもしれません。例えば、人に知られたくない個人的な事柄や、繊細な内容については、正直に答えにくいと感じる人もいるでしょう。さらに、質問する人の態度や質問の仕方によって、特定の答えに誘導されてしまう可能性も無視できません。例えば、質問する人が特定の答えを期待しているような雰囲気を出すと、答える人はその答えに合わせてしまうかもしれません。また、質問の順番や言葉遣いによっても、答える人の考え方が変わってしまう可能性があります。

このように、聞き取り調査にはメリットとデメリットの両方があります。調査の内容や対象者、予算などを考慮して、どちらの方法が適しているかを選ぶ必要があります。それぞれの特性を理解した上で、適切な調査方法を選択することが重要です。

項目 内容
メリット
  • 質問の意味が分からない場合、質問者に確認できる
  • 字を書くのが難しい、記憶が困難な人も、質問者のサポートで回答しやすい
デメリット
  • 人件費、交通費など費用がかかる
  • 質問者への抵抗感から、正直に答えにくい場合がある
  • 質問者の態度、質問の仕方により特定の回答に誘導される可能性がある

自記式調査の活用例

自記式調査の活用例

自記式調査は、その手軽さや費用対効果の高さから、様々な場面で活用されています。介護の現場では、利用者の状態や変化を把握するために、心身の状況や生活の質に関するアンケートを実施することがあります。

医療分野においては、健康診断の問診票が自記式調査の代表的な例と言えるでしょう。現在の体の状態や過去の病歴、生活習慣などを問診票に記入してもらうことで、医師は診察をスムーズに進めることができます。また、企業では、顧客満足度や従業員満足度を測るための調査に自記式調査が用いられています。商品やサービスに対する意見や要望、職場環境への評価などを収集することで、企業は改善点を見つけ、より良いサービス提供や働きやすい環境づくりに繋げることができます。

従来の紙媒体による調査に加えて、近年はインターネットを利用したオンライン調査も普及しています。パソコンや携帯電話から回答できるため、場所を選ばずに参加しやすくなりました。また、オンライン調査は集計作業の自動化が可能であり、従来、人手で行っていた集計作業にかかる時間と手間を大幅に削減できるという大きな利点があります。さらに、回答データを電子的に保存することで、データベース化も容易になります。蓄積されたデータを統計的に分析したり、報告書などの資料作成に活用したりすることで、より深い考察や効果的な活用が可能となります。

このように、自記式調査は様々な分野で活用され、多くの情報を効率的に集めるための有効な手段となっています。今後、技術の進歩とともに、さらに多様な方法で自記式調査が活用されていくことが期待されます。

分野 活用例 目的 利点
介護 心身の状況や生活の質に関するアンケート 利用者の状態や変化の把握 手軽、費用対効果が高い
医療 健康診断の問診票 診察の円滑化、患者情報の把握 手軽、費用対効果が高い
企業 顧客満足度調査、従業員満足度調査 サービス改善、働きやすい環境づくり 手軽、費用対効果が高い
全般 オンライン調査 データ収集、分析、活用 場所を選ばない、集計の自動化、データの保存と活用

自記式調査の注意点

自記式調査の注意点

自分の力で回答を書いてもらう調査は、いくつか注意が必要です。まず、質問の意味が分かりやすく、書きやすい形式になっているかを前もって確かめることが大切です。質問が難しかったり、書き込む場所が狭すぎたりすると、正しい回答が得られないことがあります。

たとえば、専門用語をたくさん使った質問だと、一般の人には理解できない可能性があります。ですから、誰でも分かる言葉を使うように心がけましょう。また、書き込むスペースも、回答の分量に応じて適切な大きさを確保する必要があります。特に高齢者や障害のある方が対象の場合は、文字の大きさや行間にも気を配り、読みやすく書きやすいように工夫することが重要です。

さらに、質問の順番や言い回しにも注意が必要です。質問の順番によって、回答が変わってしまうことがあるので、質問の順番は慎重に考える必要があります。たとえば、ある事柄に対する意見を聞いた後に、関連する別の質問をすると、最初の質問の影響を受けてしまう可能性があります。ですから、質問の順番を工夫したり、質問の言い回しを変えたりすることで、より正確な回答を得られるように努めましょう。

そして、個人の秘密を守ることも忘れてはいけません。個人の情報を扱う時は、安全に管理するための対策をきちんと行う必要があります。回答データの保管方法や削除方法などをはっきりとしたルールで決めて、個人の情報が漏れないように厳重に管理しなければなりません。たとえば、回答用紙を施錠できる場所に保管したり、データの入ったパソコンにパスワードを設定したりするなど、具体的な対策を講じることが重要です。これらの点に注意して、自記式調査を適切に実施することで、信頼できるデータを集めることができます。

自記式調査の注意点

まとめ

まとめ

自分の状況を自分で記録するアンケート調査は、介護や福祉のサービスをどのくらい必要としているかを判断する上で、大切な役割を担っています。このような方法は、サービスを受ける本人が直接自分の状態を伝えることができるため、より詳しい情報を得られるという良さがあります。例えば、体の痛みや心のつらさなど、他の人にはなかなか気づかれないような細かな変化も、本人が記録することで、支援者に正確に伝えることができます。

しかし、このようなアンケート調査にはいくつか注意すべき点もあります。まず、質問の内容が分かりにくかったり、専門的な言葉が使われていたりすると、回答する人が戸惑ってしまい、正確な回答を得ることが難しくなります。また、文字を書くことが苦手な人や、視力が弱い人にとっては、アンケートに答えること自体が大きな負担になってしまう可能性もあります。さらに、認知症の症状がある人などは、自分の状況を正確に理解したり、表現したりすることが難しい場合もあります。

そのため、アンケート調査を行う際は、回答する人の状況を十分に配慮することが大切です。例えば、質問は簡単な言葉で書き、イラストや図表などを活用して分かりやすく説明する必要があります。また、文字を書くのが難しい人には、口頭で回答してもらったり、代筆を依頼したりするなどの工夫も必要です。さらに、プライバシーに関する情報を取り扱うため、回答内容の管理には細心の注意を払い、情報を適切に扱うための対策をしっかりと行う必要があります。

このように、自分の状況を自分で記録するアンケート調査と、家族や支援者が代わりに記録するアンケート調査は、それぞれに良さや課題があります。それぞれの方法の特徴をしっかりと理解し、状況に応じて適切な方法を選ぶことで、より正確で信頼できる情報を集めることができるでしょう。そして、集めた情報を基に、一人ひとりに合った適切な介護や福祉のサービスを提供していくことが重要です。

調査方法 メリット デメリット 対策
自己記録アンケート
  • 詳細な情報を得られる
  • 他の人には気づかれない変化を把握できる
  • 質問内容の理解不足
  • 文字を書くのが困難な場合がある
  • 認知症の方は正確な回答が難しい
  • 簡単な言葉で質問する
  • イラストや図表を使う
  • 口頭での回答、代筆
  • プライバシーへの配慮
家族・支援者記録アンケート 本文に記述なし 本文に記述なし 本文に記述なし