髄膜炎検査:ルンバールについて

髄膜炎検査:ルンバールについて

介護を学びたい

先生、「介護」と「介助」の授業で「ルンバール」っていう用語が出てきたんですけど、よく分かりません。教えてもらえますか?

介護の研究家

そうだね。「ルンバール」は医療用語で、正式には「腰椎穿刺」と言うんだよ。簡単に言うと、背中の腰のあたりに針を刺して、脳と脊髄を包んでいる液体(髄液)を採取する検査のことだよ。

介護を学びたい

へえ、背中に針を刺すんですね。怖いですね。何のためにそんな検査をするんですか?

介護の研究家

髄液を調べることで、髄膜炎や脳炎など、命に関わるような病気かどうかを判断することができるんだ。頭痛や高熱が続く場合など、これらの病気が疑われる際に重要な検査となるんだよ。介護や介助の現場では、利用者さんがこのような症状を訴えた際に、ルンバールが必要となるケースもあることを覚えておくと良いね。

ルンバールとは。

「介護」と「介助」に関連した言葉として『ルンバール』というものがあります。これは、激しい頭痛や高熱が出て、髄膜炎など命に関わる病気が疑われる際に、とても大切な検査のことです。腰に針を刺して検査するため、『腰椎穿刺(ようついせんし)』とも呼ばれています。

検査の目的

検査の目的

腰椎穿刺という検査は、脳と脊髄を包む液体である髄液を採取するために行われます。この検査は一般的に「ルンバール」と呼ばれています。髄液は、脳と脊髄を保護するクッションのような役割を果たしており、その成分を調べることで、様々な病気の有無を判断することができます。

髄液検査が必要となるのは、主に頭痛、高い熱、意識がはっきりしないといった症状が見られる場合です。これらの症状は、髄膜炎や脳炎といった命に関わる可能性のある重大な病気を示唆していることがあります。髄膜炎は、脳と脊髄を覆う膜に炎症が起こる病気であり、脳炎は脳そのものに炎症が起こる病気です。どちらも早期の診断と治療が非常に重要です。

採取した髄液は、見た目(色や濁り具合)、細胞の数、含まれるたんぱく質や糖の量などを分析します。これらの分析結果から、髄膜炎や脳炎かどうかを判断するだけでなく、他の神経系の病気がないかどうかも調べることが可能です。例えば、ギラン・バレー症候群や多発性硬化症といった病気も、髄液検査によって診断の手がかりを得ることができます。

また、既に治療を受けている患者さんの場合、治療の効果がどれくらい出ているかを判断するためにも腰椎穿刺は有用です。治療前に採取した髄液と、治療後に採取した髄液を比較することで、治療の効果を客観的に評価することができます。さらに、抗菌薬など、直接髄液の中に薬を投与する必要がある場合にも、この腰椎穿刺を用います。

このように腰椎穿刺は、病気の診断、他の病気との区別、治療の効果判定、そして薬剤投与など、様々な目的で用いられる重要な検査です。適切な診断と治療に結びつけるために欠かせない検査と言えるでしょう。

検査名 腰椎穿刺(ルンバール)
目的 脳と脊髄を包む髄液を採取し、分析することで様々な病気を診断する
髄液の役割 脳と脊髄を保護するクッション
検査の必要性 頭痛、高熱、意識障害などの症状が見られる場合、髄膜炎、脳炎など重篤な病気を疑うため
髄液の分析項目 見た目(色、濁り)、細胞数、タンパク質量、糖の量
診断可能な病気 髄膜炎、脳炎、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症など
その他の用途 治療効果の判定、髄液への薬剤投与

検査の手順

検査の手順

この検査は、患者さんの体を横向きに寝かせ、膝を胸に引き寄せるような姿勢で行います。この姿勢は、胎児のような姿勢とも呼ばれ、背骨の間を広げる効果があります。背骨の間が広がることで、医師は穿刺針を挿入しやすくなります。検査が始まる前に、医師はまず、穿刺する部分の皮膚を丁寧に消毒します。これは、感染症を防ぐための重要な手順です。消毒後、穿刺部位に局所麻酔を施します。麻酔が効くことで、患者さんは針が刺さる際の痛みを感じにくくなります。麻酔が十分に効いたことを確認した後、医師は脊椎の腰椎と呼ばれる部分に、細い針を慎重に挿入します。腰椎は、腰の辺りに位置する脊椎の一部です。この細い針を通して、脳と脊髄を覆っている液体、すなわち髄液を採取します。検査に必要な髄液の量は少量で、通常は数ミリリットル程度です。採取が終わると、針はゆっくりと抜かれ、穿刺部位は清潔なガーゼなどで覆われます。検査自体は、数分から十数分程度で終了します。しかし、穿刺後、患者さんはしばらく安静にしていなければなりません。これは、穿刺によって起こる可能性のある頭痛やその他の合併症を防ぐためです。安静時間は、病院によって異なりますが、通常は数時間程度です。医師の指示に従って、安静を保つようにしてください。また、穿刺部位に痛みや腫れ、発熱などの症状が現れた場合は、すぐに医師に連絡することが大切です。

手順 説明
体位 患者を横向きに寝かせ、膝を胸に引き寄せる(胎児のような姿勢)。背骨の間を広げる効果があり、穿刺針の挿入を容易にする。
消毒 穿刺する部分の皮膚を丁寧に消毒し、感染症を予防する。
麻酔 穿刺部位に局所麻酔を施し、針が刺さる際の痛みを軽減する。
穿刺 麻酔後、脊椎の腰椎(腰の辺り)に細い針を挿入する。
髄液採取 針を通して、脳と脊髄を覆う液体(髄液)を少量(数ミリリットル程度)採取する。
穿刺後 針を抜去し、穿刺部位を清潔なガーゼで覆う。
安静 頭痛や合併症を防ぐため、数時間程度安静にする。
経過観察 痛み、腫れ、発熱などの症状が現れた場合は、すぐに医師に連絡する。
検査時間 数分から十数分程度

検査に伴うリスク

検査に伴うリスク

腰椎穿刺は、脳と脊髄を覆う脳脊髄液を採取するための検査で、比較的安全な検査とされています。しかしながら、どんな医療行為にも潜在的な危険性があるように、腰椎穿刺にもわずかながらリスクが伴います。

まず、穿刺部位、つまり針を刺した場所からの出血が起こる可能性があります。これは、針が皮膚や筋肉、血管を傷つけることで起こります。多くの場合、少量の出血にと留まりますが、まれに大きな血腫ができることもあります。また、穿刺部位から細菌が入り込み、感染症を引き起こす可能性もわずかながら存在します。

次に、穿刺後に頭痛が起こることがあります。これは、脳脊髄液が漏れることによって頭蓋内の圧力が低下し、頭痛を引き起こすと考えられています。この頭痛は、起き上がると悪化し、横になると軽くなるという特徴があります。多くの場合、数日以内に自然に治まりますが、痛みが強い場合や長引く場合は医師に相談する必要があります。また、頭痛以外にも、吐き気や嘔吐、めまいなどの症状が現れることもあります。

さらに、血液を固まりにくくする薬を服用している人や、穿刺する部位に皮膚感染症がある人は、合併症のリスクが高まる可能性があります。そのため、腰椎穿刺を受ける前に、現在服用している薬や既往歴、アレルギーなどを医師に伝えることが非常に重要です。医師は、患者さんの状態を総合的に判断し、検査の必要性とリスクを比較検討した上で、検査を行うかどうかを決定します。もし、検査後に体に異変を感じた場合は、すぐに医師に連絡し、適切な処置を受けるようにしてください。

リスク 詳細 症状 注意点
穿刺部位からの出血 針が皮膚、筋肉、血管を傷つけることによる出血 少量の出血、まれに大きな血腫
穿刺部位の感染症 穿刺部位から細菌が入り込む 感染症の症状
穿刺後頭痛 脳脊髄液の漏出による頭蓋内圧低下 起き上がると悪化し、横になると軽くなる頭痛、吐き気、嘔吐、めまい 数日以内に自然に治まることが多いが、強い痛みや長引く場合は医師に相談
合併症のリスク増加 血液凝固抑制剤服用者、穿刺部位に皮膚感染症のある人 様々な症状 服用している薬や既往歴、アレルギーなどを医師に伝える

検査結果の解釈

検査結果の解釈

採取した脳脊髄液は、様々な角度から詳しく調べられます。まず、見た目です。健康な人の脳脊髄液は、無色透明で水のように澄んでいますが、髄膜炎になると、白く濁って見えることがあります。これは、脳脊髄液の中に炎症を起こす細胞が増えているためです。

次に、顕微鏡を使って、脳脊髄液の中に含まれる細胞の数や種類を調べます。髄膜炎になると、炎症を起こす白血球などが異常に増えています。どの種類の細胞が増えているかによって、細菌性の髄膜炎かウイルス性の髄膜炎かなどを推測することができます。

さらに、脳脊髄液の中に含まれるタンパク質の量も重要な情報です。髄膜炎では、通常よりもタンパク質の量が増加していることが多いです。これは、炎症によって血管の透過性が高まり、血液中のタンパク質が脳脊髄液に漏れ出すためです。

また、糖の量も調べます。血液中の糖は通常、脳脊髄液にも一定量含まれていますが、細菌性の髄膜炎の場合、細菌が糖を栄養源として消費してしまうため、脳脊髄液中の糖の量が減少します。一方、ウイルス性髄膜炎では、糖の量は正常であることが多いです。このように、糖の量の増減は、髄膜炎の種類を見分けるための重要な手がかりとなります。

これらの検査結果は、単独で判断するのではなく、他の症状や検査結果と合わせて総合的に判断することで、より正確な診断につながります。検査結果についてご心配な点やご不明な点がございましたら、遠慮なく担当の医師にご相談ください。医師が、検査結果の内容や病気の状態について、分かりやすく丁寧に説明いたします。

検査項目 正常な脳脊髄液 髄膜炎の脳脊髄液 備考
見た目 無色透明 白く濁っている 炎症細胞の増加
細胞数 少ない 多い 白血球の増加
タンパク質量 少ない 多い 血管透過性亢進
糖の量 正常 減少(細菌性)/正常(ウイルス性) 細菌が糖を消費

検査後の注意点

検査後の注意点

検査を終えられた後は、穿刺した箇所の出血を防ぐために、数時間ほど安静にしていただくことが大切です。検査の種類によっては、安静にする時間の長さが異なる場合がありますので、担当の医療者からの指示をよく聞いて守ってください。具体的には、激しい運動や長時間の同じ姿勢、特に座ったままの姿勢は避けてください。横になって休むのが一番良いですが、どうしても必要な場合は、短時間であれば軽く歩く程度は問題ありません

水分は血液の循環を良くし、老廃物の排出を促すため、検査後も十分な量の水を飲むように心がけてください。お茶やジュースなども構いませんが、カフェインや糖分の多い飲み物は控えめにするのが望ましいです。また、アルコールは血液を薄める作用があるため、検査後しばらくは控えてください。飲酒がどうしても必要な場合は、担当の医療者に相談しましょう。

検査後、稀に頭痛やめまい、吐き気、あるいは発熱といった症状が現れる場合があります。これらの症状は一時的なものが多いですが、もし症状が続く場合や、ひどく辛い場合には、我慢せずにすぐに医療機関に連絡し、指示を仰いでください。速やかに適切な処置を受けることで、症状が悪化することを防ぐことができます。検査後の過ごし方についても、担当の医療者から具体的な指示がありますので、その指示をしっかりと守り、安全に回復できるように努めてください。不明な点や不安なことがあれば、遠慮なく医療者に尋ねてください。

検査後にすること 詳細
安静にする 穿刺箇所の出血を防ぐため、数時間安静にする。激しい運動、長時間の同じ姿勢(特に座ったまま)を避ける。横になるのが一番良いが、短時間の軽い歩行は可能。安静時間は検査の種類によって異なるため、医療者の指示に従う。
水分を摂る 血液循環改善、老廃物排出のため、十分な水分を摂る。水、お茶、ジュースなど。カフェイン、糖分の多い飲み物は控えめに。
アルコールを控える アルコールは血液を薄めるため、検査後しばらくは控える。飲酒が必要な場合は医療者に相談。
体調の変化に注意し、異常があれば連絡 頭痛、めまい、吐き気、発熱などが出現する可能性がある。一時的なものが多いが、症状が続く/ひどい場合は医療機関に連絡し指示を仰ぐ。
医療者の指示を守る 検査後の過ごし方について、医療者からの指示をしっかり守る。不明点や不安なことは遠慮なく質問する。

まとめ

まとめ

腰椎穿刺は、髄膜炎や脳炎といった脳や脊髄を覆う膜に炎症が起きる病気、くも膜下出血など、深刻な病気を診断する上で非常に重要な検査です。この検査では、細い針を腰の骨の間に刺して、脳と脊髄を覆う膜の中にある髄液という液体を採取します。この髄液を調べることで、病気の原因を特定し、適切な治療につなげることができます。

腰椎穿刺に伴うリスクは低いと考えられていますが、全く無いわけではありません。まれに、頭痛、出血、感染、神経損傷といった合併症が起こることがあります。頭痛は穿刺後に比較的よく見られる症状で、数時間から数日続くことがあります。安静にしていれば自然に治まることが多いですが、痛みが強い場合は医師に相談しましょう。出血は、針を刺した部位で起こることがあります。通常は少量で自然に止まりますが、血が止まりにくい持病がある方は、事前に医師に伝えることが重要です。感染は、滅菌操作が不十分な場合に起こる可能性があります。検査を行う医療機関では、感染予防のための対策を徹底しています。神経損傷は、非常にまれな合併症ですが、針が神経に触れてしまうことで起こることがあります。しびれや麻痺などの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。

腰椎穿刺を受ける際には、検査の手順や起こりうる合併症について、医師から十分な説明を受け、納得した上で検査を受けることが大切です。検査前に不安な点や疑問点があれば、遠慮なく医師に質問しましょう。検査中は、医師や看護師の指示に従って、体を動かさないようにすることが重要です。検査後には、しばらく安静にして、激しい運動や入浴は控えるようにしてください。検査結果についても、医師から丁寧に説明を受けることで、ご自身の病気の状態や治療方針について理解を深め、安心して治療に臨むことができます。腰椎穿刺は早期診断と適切な治療につながる、非常に有用な検査と言えるでしょう。

項目 内容
目的 髄膜炎、脳炎、くも膜下出血など、脳や脊髄の病気を診断するため
方法 腰の骨の間に細い針を刺し、髄液を採取
リスク・合併症 頭痛、出血、感染、神経損傷(稀)
リスクへの対応
  • 頭痛:安静、痛みが強い場合は医師に相談
  • 出血:通常は少量で自然に止まるが、持病がある場合は医師に相談
  • 感染:医療機関で感染予防対策を実施
  • 神経損傷:しびれや麻痺が出たらすぐに医師に相談
検査を受ける際の注意点
  • 医師から説明を受け、納得した上で検査を受ける
  • 検査前に不安な点や疑問点は医師に質問
  • 検査中は医師や看護師の指示に従い、体を動かさない
  • 検査後、しばらく安静にし、激しい運動や入浴は控える
  • 検査結果について医師から説明を受ける