物忘れ外来:認知症の早期発見
介護を学びたい
先生、「物忘れ外来」ってよく聞くんですけど、何をするところかよく分かりません。教えてください。
介護の研究家
良い質問だね。「物忘れ外来」は、簡単に言うと、物忘れがひどくなったかどうかの検査をして、もし病気なら早く見つけて治療を始めるための外来だよ。検査では、体の状態だけでなく、心の状態も調べ、何が原因で物忘れが起きているのかを探るんだ。
介護を学びたい
体の状態や心の状態を調べるって、具体的にはどんなことをするんですか?
介護の研究家
例えば、血液検査や脳の検査をしたり、色々な質問に答えたり、簡単な問題を解いたりするんだよ。そうすることで、物忘れの原因が病気なのか、それとも年のせいなのかなどを判断することができるんだ。
物忘れ外来とは。
『もの忘れ外来』とは、年を取ってからのもの忘れの症状を早期に見つけて治療するために、病院などで行われる検査のことです。もの忘れがひどくなる病気(痴呆症など)の早期発見・治療を目的としています。 通常の脳神経の診察に加えて、患者さんとそのご家族から詳しくお話を伺ったり、色々な検査を行います。例えば、色々な課題を行って記憶力や判断力を測る検査や、もの忘れの原因を探るための血液検査、脳波検査、脳のMRI検査などです。
物忘れ外来とは
年を重ねると、誰でも経験する物忘れ。例えば、買い物に行ったのに何を買おうとしていたか忘れてしまったり、人の名前が思い出せなかったりといったことです。しかし、このような普通の物忘れと、認知症による物忘れは大きく異なります。認知症は、脳の病気によって引き起こされる物忘れであり、日常生活に支障をきたすほど進行していく可能性があります。
物忘れ外来とは、このような認知症の早期発見と適切な対応を専門に行う医療機関です。加齢に伴う物忘れなのか、それとも認知症の初期症状なのかを、専門の医師が丁寧に診察し、診断を行います。検査には、問診や認知機能検査、画像検査などが用いられます。これらの検査結果をもとに、認知症の種類や進行度合いを判断し、患者さん一人ひとりに合わせた治療方針を立てます。
物忘れ外来の大切な役割は、早期発見・早期治療です。認知症は早期に発見し、適切な治療や支援を開始することで、症状の進行を遅らせ、より長く自立した生活を送ることができる可能性が高まります。また、認知症と診断された場合でも、薬物療法や非薬物療法など、様々な治療法があります。物忘れ外来では、患者さんの状態に合わせた最適な治療を提供し、症状の改善や進行抑制を目指します。
物忘れは、本人だけでなく、家族にとっても大きな負担となることがあります。物忘れ外来では、患者さん本人への治療だけでなく、ご家族への相談支援も行っています。介護方法や日常生活での注意点、利用できる社会資源などの情報を提供することで、ご家族の不安や負担を軽減するサポート体制を整えています。
少しでも物忘れが気になり始めたら、早めに物忘れ外来を受診しましょう。早期発見・早期治療は、認知症と向き合う上で非常に重要です。専門医による適切な診断とケアを受けることで、患者さん本人だけでなく、ご家族の生活の質も守ることができます。
物忘れ外来とは | 役割 | 対象 | 対応 |
---|---|---|---|
認知症の早期発見と適切な対応を専門に行う医療機関 | 早期発見・早期治療 | 物忘れが気になる本人、家族 |
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受診の目安
年を重ねるにつれて、誰でも記憶が薄れることはあります。しかし、単なる年齢によるもの忘れと、病気によるもの忘れは区別する必要があります。もの忘れの頻度や程度が増えてきた、以前は難なくできていたことができなくなった、といった変化に気づいたら、もの忘れ専門外来を受診する時期かもしれません。
特に、日常生活に支障が出ている場合は、一刻も早く受診することが大切です。例えば、料理の手順が分からなくなったり、買い物で同じものを何度も買ってしまう、あるいは、通帳や現金の管理が難しくなってきた、といった症状が現れたら、すぐに専門の医師に相談しましょう。また、時間や場所が分からなくなることが度々ある場合も、受診の目安となります。毎日同じ道を通っているのに迷ってしまう、約束の日時を忘れてしまうなど、生活に影響が出始めている場合は、放置せずに専門医の診察を受けることを強くお勧めします。
ご自身ではなかなか気づきにくいもの忘れもあります。だからこそ、周囲の人からの指摘は重要な手がかりとなります。家族や友人からもの忘れを指摘された場合、素直に受け止め、受診を検討しましょう。自分では気づかないうちに症状が進んでしまっている可能性も否定できません。身近な人の助言は、早期発見・早期治療に繋がる貴重な情報源です。周りの人の心配を軽く受け流さずに、一度専門機関で診てもらうことで、不安の解消にも繋がります。
もの忘れは、年齢を重ねれば誰にでも起こりうることとして片付けてしまわず、適切な医療機関を受診することで、早期発見・早期治療に繋がる可能性があります。少しでも気になることがあれば、ためらわずに専門医に相談しましょう。早期発見は、その後の生活の質を大きく左右する重要な鍵となります。
受診を検討すべきもの忘れの特徴 | 具体的な例 |
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頻度や程度の増加 | 以前は難なくできていたことができなくなった |
日常生活への支障 | 料理の手順が分からなくなる、買い物で同じものを何度も買ってしまう、通帳や現金の管理が難しくなる、時間や場所が分からなくなる |
周囲からの指摘 | 家族や友人からもの忘れを指摘された |
具体的な検査内容
もの忘れ相談室では、様々な角度からの検査を通して、もの忘れの原因を探っていきます。まず、ご本人だけでなく、ご家族からも詳しくお話を伺います。ご家族からお話を聞くのは、ご本人が気づいていない様子や、症状の変化を把握する上で大変重要です。ご本人がもの忘れに気づいていない場合や、症状を軽く考えている場合もあるため、ご家族からの情報は診断の手がかりとして大きな役割を果たします。
次に、神経心理検査を行います。これは、記憶力や判断力、注意力を測る検査です。例えば、見せられた図形を記憶して後で同じように描いたり、読み上げられた言葉を繰り返したりといった課題を通して、認知機能の状態を詳しく調べます。これらの課題は、一見簡単そうに見えても、認知機能の低下があると難しくなるように工夫されています。
さらに、脳の状態を直接確認するために画像検査を行います。検査には、磁気を使った検査やエックス線を使った検査などがあり、脳の縮みの程度や、脳の血管が詰まる病気など、様々な異常がないかを調べます。これらの検査は、体に負担が少ない方法で行われますのでご安心ください。
最後に、血液検査を行います。血液検査では、もの忘れの原因となる病気が隠れていないかを調べます。例えば、甲状腺の病気やビタミン不足などは、もの忘れのような症状を引き起こすことがあるため、血液検査でこれらの病気がないかを確認します。
このように、問診、神経心理検査、画像検査、血液検査といった様々な検査結果を総合的に判断することで、もの忘れの原因を特定し、適切な治療方針を決定します。
検査項目 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
問診 | ご本人およびご家族から詳しく話を聞く | ご本人が気づいていない様子や症状の変化を把握するため。診断の手がかりとして大きな役割を果たす。 |
神経心理検査 | 記憶力、判断力、注意力を測る検査(図形を記憶して描いたり、言葉を復唱したりする) | 認知機能の状態を詳しく調べる。 |
画像検査 | 磁気、エックス線を使った検査で脳の状態を確認 | 脳の縮みの程度、脳血管の詰まり等の異常の有無を調べる。 |
血液検査 | 血液検査で、もの忘れの原因となる病気が隠れていないかを調べる。 | 甲状腺の病気やビタミン不足など、もの忘れのような症状を引き起こす病気がないかを確認する。 |
診断後の流れ
認知症と診断された後は、病状の程度や進行状況に合わせて、治療が始まります。治療には大きく分けて、薬を使う方法と薬を使わない方法の二種類があります。
薬を使う方法では、脳の働きを助ける薬や、気持ちの落ち込みや不安、幻覚などを和らげる薬などが処方されます。これらの薬は、症状を軽くしたり、進行を遅らせたりする効果が期待できます。
薬を使わない方法では、脳の働きを保つための訓練や、規則正しい生活を送るための助言などが行われます。例えば、計算問題や記憶ゲームなどで頭を働かせたり、バランスの良い食事や適度な運動を心がけたりすることで、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
また、認知症と診断された方は、介護サービスを利用することもできます。介護サービスには、自宅での生活を支援する訪問介護や、日帰りで施設に通うデイサービスなど、様々な種類があります。ご自身の状況や希望に合わせて、必要なサービスを選ぶことができます。ケアマネージャーと呼ばれる専門家が、サービスの利用に関する相談に乗ってくれますので、一人で悩まずに気軽に相談してみましょう。
認知症は少しずつ進行していく病気なので、継続的な治療とケアがとても大切です。定期的に専門の医師の診察を受け、病状の変化に合わせて治療方針を見直すことで、症状の進行を遅らせ、より良い生活を送ることが期待できます。医師やケアマネージャーとよく相談し、自分に合った治療やケアを見つけていきましょう。
認知症の治療とケア |
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診断後:病状の程度や進行状況に合わせた治療開始
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介護サービスの利用
ケアマネージャーによる相談支援 |
継続的な治療とケアの重要性
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費用と受診方法
もの忘れ外来の受診費用は、健康保険の適用対象となるため、窓口での支払いは一部負担金のみとなります。費用は医療機関によって差がありますが、初診料、検査費用、処方箋料などを合計しても、数千円程度が目安です。
受診を希望する際は、事前に医療機関へ連絡し、予約を取るようにしてください。地域によっては予約が取りにくい場合もありますので、早めの連絡をお勧めします。また、医療機関によっては紹介状が必要となる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。かかりつけの医師がいる場合は、相談の上で紹介状を書いてもらうと、受診がスムーズになります。
受診時には、健康保険証を必ず持参してください。加えて、現在服用している薬がある場合は、お薬手帳を持参することで、医師が薬の重複や相互作用などを確認しやすくなり、より適切な診療を受けることができます。お薬手帳がない場合は、服用中の薬の名前が分かるものを持参しましょう。
もの忘れは、早期発見と早期治療が何よりも大切です。少しでも不安を感じたら、一人で悩まずに、気軽にもの忘れ外来を受診してみましょう。もの忘れの原因が特定されれば、適切な治療やケアを受けることができます。早期に対処することで、症状の進行を遅らせたり、改善したりできる可能性があります。また、もの忘れの原因が病気でない場合でも、専門家からアドバイスや支援を受けることで、不安を軽減し、安心して生活を送ることができるようになります。
項目 | 内容 |
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費用 | 健康保険適用で数千円程度(医療機関により異なる) |
受診予約 | 事前連絡・予約必須(地域によっては予約困難な場合も)、医療機関によっては紹介状が必要 |
紹介状 | かかりつけ医がいる場合は相談の上、紹介状を書いてもらうとスムーズ |
持参物 | 健康保険証、お薬手帳(または服用中の薬が分かるもの) |
その他 | 少しでも不安を感じたら気軽に受診 |