ティルト型車いす:その機能と利点

ティルト型車いす:その機能と利点

介護を学びたい

先生、「ティルト型車いす」って、普通の車いすと何が違うんですか?

介護の研究家

良い質問ですね。ティルト型車いすは、座面と背もたれが一緒に傾くところが普通の車いすとは違います。座ったまま、傾けることができるんです。

介護を学びたい

へえー。でも、傾けることでどんなメリットがあるんですか?

介護の研究家

体を支える面積が広くなるので、圧力が分散されて床ずれしにくくなるんですよ。座っている姿勢を楽に保つことができるので、長い時間座っていられる方にも良いですね。ただし、定期的に体位を変えることは必要ですよ。

ティルト型車いすとは。

『傾く車いす』について説明します。この車いすは、座面と背もたれが一緒に傾けられるようになっています。普通の車いすでは座っていられない人や、体が硬くなってしまっている人によく使われます。座る部分が広く傾くことで、体の重さが一点に集中せず、床ずれを防ぐ効果があります。しかし、傾く車いすを使っていても、長時間同じ姿勢だと床ずれになる可能性があるので、定期的に姿勢を変えたり、圧力を分散させることが大切です。買うとなると、種類によってはとても高額になります。また、体の状態が変わって使えなくなることもあるので、介護保険を使って借りる方がお金の負担は軽くなるでしょう。

ティルト型車いすとは

ティルト型車いすとは

ティルト型車いすとは、座面と背もたれが一体となって傾斜する特殊な車いすです。まるでゆりかごのように、座ったままの状態で傾けることができるため、通常の車いすでは長時間座っていることが難しい方にとって、大きな助けとなります。

この車いすは、特に座位の保持が困難な方にとって大変有用です。例えば、重度の身体の麻痺や筋力の低下により、姿勢を自分で維持することが難しい方の場合、ティルト機能によって楽な姿勢を保つことができます。また、関節が硬くなって動きにくくなる拘縮の症状が強い方にも適しています。座面を傾けることで、圧力が分散され、特定の部位に負担が集中することを防ぐことができるからです。

ティルト型車いすを使うことで得られる利点は様々です。まず、床ずれ(褥瘡)の予防に効果的です。同じ姿勢を長時間続けると、体重で圧迫された部分の血行が悪くなり、皮膚が損傷する恐れがあります。ティルト機能を使って定期的に姿勢を変えることで、圧迫を軽減し、床ずれの発生リスクを低減できます。また、呼吸機能の改善にもつながります。傾斜した姿勢は、横隔膜の動きをスムーズにし、呼吸をしやすくする効果が期待できます。さらに、食事の際にも、傾斜によって食べ物を飲み込みやすくする効果があります。

介護をする側の視点からも、ティルト型車いすは多くのメリットがあります。姿勢の調整や移乗介助の負担を軽減できるため、介護者の身体的な負担を軽くすることができます。また、利用者の快適性を高めることで、介護者と利用者の間の良好な関係を築くことにも役立ちます。

特徴 メリット 対象者
座面と背もたれが一体となって傾斜
  • 床ずれ(褥瘡)の予防
  • 呼吸機能の改善
  • 食事の際の飲み込みやすさの向上
  • 姿勢の調整や移乗介助の負担軽減
  • 座位の保持が困難な方
  • 重度の身体の麻痺や筋力の低下により、姿勢を自分で維持することが難しい方
  • 関節が硬くなって動きにくくなる拘縮の症状が強い方

体圧分散と褥瘡予防

体圧分散と褥瘡予防

体圧分散と褥瘡予防は、車いす利用者にとって非常に重要な課題です。座った姿勢を長時間続けると、体重が特定の部位に集中し、血行が悪くなることで皮膚やその下の組織が損傷を受け、褥瘡(床ずれ)が発生する危険性が高まります。ティルト型の車いすは、この褥瘡の予防に大きな効果を発揮します。

一般的な車いすでは、体重の大部分が臀部と背中に集中しやすいため、これらの部分に褥瘡ができやすい傾向があります。しかし、ティルト型車いすは座面を傾けることができるため、体重のかかる部分を分散させることが可能です。座面を傾けることで、背中や臀部だけでなく、太ももやふくらはぎなど、より広い範囲で体重を支えることができます。これにより、特定の部位への圧迫が軽減され、血行の悪化を防ぐことができます。その結果、褥瘡の発生を予防したり、既に発生してしまった褥瘡の進行を遅らせる効果が期待できます。

ティルト機能は、利用者の姿勢を定期的に変えることにも役立ちます。同じ姿勢を長時間続けると、血行が悪くなり褥瘡のリスクが高まります。座面を傾けることで、座ったままでも体位を変えることができるため、同じ姿勢を続けることによる負担を軽減できます。しかし、ティルト機能だけで褥瘡を完全に防げるわけではありません。定期的な体位変換や、クッションなどを用いた除圧も併せて行うことが重要です。褥瘡の予防には、体圧分散、体位変換、除圧の3つが重要であり、これらを組み合わせて行うことで、より効果的に褥瘡を防ぐことができます。

呼吸機能と食事への影響

呼吸機能と食事への影響

息をすることと食べることは、生きていく上で欠かせない大切なことです。これらの機能が弱ってしまうと、生活の質が大きく下がってしまうだけでなく、健康にも深刻な影響を及ぼします。そこで、ティルト型車いすが、呼吸と食事の両面から、その支えとなる力を持っていることをご紹介します。

まず、呼吸機能についてです。ティルト型車いすは、座面を傾けることができます。この傾きが、呼吸を楽にする秘密です。座面が傾くことで、胸郭と呼ばれる胸部の骨格が広がりやすくなります。すると、肺により多くの空気が入るため、深い呼吸がしやすくなるのです。特に、呼吸器の病気をお持ちの方や、お腹の筋肉が弱っている方にとっては、この効果は大きく、呼吸が楽になることで、毎日の生活がぐっと快適になります。

次に、食事への影響についてです。ティルト型車いすは、食事のときにも力を発揮します。座面を適切な角度に傾けることで、食べ物が食道へとスムーズに流れ込みやすくなるため、誤嚥、つまり食べ物が気管に入ってしまうことを防ぐのに役立ちます。誤嚥は、肺炎などの病気の原因となることもあるため、それを予防することは健康を守る上でとても重要です。また、ティルト機能は、介助をする方にもメリットがあります。傾斜をつけることで、食事の介助がしやすくなり、肉体的な負担を減らすことができるのです。このように、ティルト型車いすは、使う方だけでなく、介助をする方の負担軽減にも貢献する、まさに二人三脚の頼もしい存在と言えるでしょう。

機能 ティルト型車いすの効果 対象者 メリット
呼吸機能 座面を傾けることで胸郭が広がり、深い呼吸がしやすくなる 呼吸器の病気をお持ちの方、お腹の筋肉が弱っている方 呼吸が楽になる、生活が快適になる
食事 座面を傾けることで食べ物が食道へスムーズに流れ込み、誤嚥を予防する 誤嚥しやすい方 誤嚥予防、介助者の肉体的負担軽減

介護者の負担軽減

介護者の負担軽減

介護をする方の負担を軽くすることは、介護を続ける上でとても大切なことです。その負担を軽くするのに役立つのが、傾斜機能付き車いすです。この車いすは、座面を傾けることができるため、介護される方の姿勢を楽に変えることができます。

姿勢を変える時や、ベッドから車いすへ、車いすからベッドへ移動する時など、介護する方は、抱え上げるような動作が必要になることが少なくありません。傾斜機能付き車いすを使うと、このような動作が楽になり、腰や肩への負担を減らすことができます。また、座面を傾けることで、介護される方の姿勢が安定するため、介護する方は、より安全に移動の介助などを行うことができます。

さらに、この車いすは、介護される方の快適さにも繋がります。座面の傾きを調整することで、体の圧迫感を減らし、血行の悪化を防ぐことができます。楽な姿勢を保つことができるため、長時間座っていても疲れにくく、床ずれの予防にもなります。介護される方が快適に過ごせるようになれば、介護する方の精神的な負担も軽くなるでしょう。

このように、傾斜機能付き車いすは、介護される方にとってだけでなく、介護する方にとっても多くのメリットがあります。肉体的な負担を軽くするだけでなく、精神的な負担も軽減する効果が期待できるため、介護する方の生活の質の向上にも繋がると言えるでしょう。

傾斜機能付き車椅子のメリット 介護される方 介護する方
姿勢変更・移乗 楽な姿勢変更 抱え上げる動作が軽減、腰・肩への負担軽減、安全な介助
座面の傾斜調整 圧迫感軽減、血行悪化防止、疲れ軽減、床ずれ予防、快適な座位保持 精神的な負担軽減
全体的な効果 肉体的負担軽減、精神的負担軽減、生活の質向上

費用と入手方法

費用と入手方法

傾斜機能付き車いすは、普通の車いすよりも価格が高いことが多く、購入するには費用面の負担が大きくなります。さらに、体の状態が変わって使えなくなることも考えられるため、費用を抑えるためには介護保険を使った貸し出しという方法が良いでしょう。貸し出しであれば、必要に応じて車いすの種類や機能を変えることも簡単にできます。

傾斜機能付き車いすの費用は、その機能や種類によって大きく異なります。手動で傾斜させるものから電動で操作するものまで様々な種類があり、電動タイプは手動タイプに比べて高額になります。また、クッションやベルトなどの付属品によっても費用は変わってきます。購入の場合、これらの費用に加えて、定期的なメンテナンス費用も必要です。

一方、介護保険を利用した貸し出しの場合は、月々の費用負担が抑えられます。費用の負担割合は、要介護度や所得によって異なりますが、多くの場合、費用の1割~2割程度の負担で購入した時と同じ車いすを使うことができます。また、状態の変化に合わせて車いすを交換する場合も、手続きが比較的簡単です。

最適な傾斜機能付き車いすを選ぶためには、担当のケアマネージャーや福祉用具の専門家に相談することが大切です。専門家は利用者の体の状態や生活環境、そして希望に合った車いすを提案してくれます。費用のことだけでなく、使いやすさや安全性についてもアドバイスをもらえるので、安心して車いすを選ぶことができます。専門家への相談は無料で行えるので、気軽に相談してみましょう。

項目 購入 介護保険レンタル
費用 高額(種類や機能、付属品による)
メンテナンス費用も必要
月額費用は抑えられる(費用の1~2割負担)
費用以外のメリット・デメリット 体の状態が変わると使えなくなる可能性がある 必要に応じて種類や機能の変更が可能
状態変化への対応も容易
その他 ケアマネージャーや専門家への相談が推奨