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写真の濃さを知る:光学濃度
光学濃度とは、写真フィルムや印画紙などの感光材料が、光をどれだけ通しにくいか、あるいは反射しにくいかを数値で表したものです。簡単に言うと、どれくらい光を遮るかを示す尺度と言えます。この数値が高いほど、材料は光を通しにくく、濃く見えます。逆に数値が低いほど、光をよく通し、薄く見えます。
具体的には、光学濃度は透過率の逆数の常用対数で表されます。透過率とは、材料に光を当てた時に、どれだけの量の光が通過するかを示す割合です。例えば、光学濃度0の場合、透過率は100%、つまり全ての光が材料を透過し、完全に透明な状態です。光学濃度が1になると、透過率は10%に低下します。これは、光の量の10分の1だけが材料を透過し、残りの10分の9は材料に吸収されたり、散乱されたりするということです。さらに光学濃度が2になると、透過率は1%になり、100分の1の光しか透過しません。
このように、光学濃度は対数スケールを用いて表されます。そのため、数値が1増えるごとに、透過する光の量は10分の1に減少します。光学濃度が3であれば透過率は0.1%、光学濃度4であれば透過率は0.01%と、数値が大きくなるにつれて透過する光の量は急激に減少していくのです。この特性のため、わずかな数値の変化が写真の濃淡に大きな影響を与えることになります。例えば、光学濃度が0.1変化するだけで、写真の明るさや暗さがはっきりと変わることを意味します。写真現像の技術において、光学濃度を理解し、調整することは、写真の仕上がりを左右する重要な要素となります。