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見当識:自分と今の状況を理解する力
見当識とは、自分が置かれている状況を正しく把握する力のことです。これは、時間、場所、人という三つの要素から成り立っています。時間の見当識とは、日付、曜日、時刻などを正しく認識できることです。例えば、「今日は何月何日で何曜日か」「今は何時頃か」といったことを理解している状態です。これは、約束を守ったり、予定を立てたりする上で非常に大切です。場所の見当識とは、自分が今どこにいるのかを正しく認識できることです。例えば、「ここは自宅である」「ここは病院である」といったことを理解している状態です。これは、迷子にならずに目的地までたどり着いたり、安全に生活したりする上で欠かせません。人の見当識とは、周囲の人々が誰なのかを正しく認識できることです。例えば、「この人は家族である」「この人は医師である」といったことを理解している状態です。これは、良好な人間関係を築いたり、適切なコミュニケーションを取ったりする上でとても重要です。
これらの見当識がすべて保たれていることで、私たちは安心して日常生活を送ることができます。しかし、病気や怪我、加齢などによって、見当識が低下することがあります。例えば、認知症の症状の一つとして、見当識障害がよく見られます。見当識が低下すると、日常生活にさまざまな支障が出てきます。時間の見当識が低下すると、約束の時間に間に合わなくなったり、予定を管理することができなくなったりします。場所の見当識が低下すると、迷子になったり、自宅に帰れなくなったりします。人の見当識が低下すると、家族を認識できなくなったり、周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなったりします。このように、見当識は私たちの生活の土台となる重要な能力であり、見当識を保つことは、自立した生活を送る上で欠かせないと言えるでしょう。