HIV

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医療

エイズについて理解を深めよう

後天性免疫不全症候群。これは、よく耳にする「エイズ」の正式名称です。エイズは、ヒト免疫不全ウイルス、つまりHIVに感染することで発症する病気です。HIVは、私たちの体を守る免疫システムの要となるリンパ球という細胞に侵入し、破壊することで、免疫の働きを弱めてしまいます。 私たちの体は、常に様々な病原体、つまり病気の原因となるものに触れています。健康な免疫システムは、これらの病原体から体を守ってくれています。しかし、HIVによって免疫力が低下すると、通常では問題にならないような病原体にも感染しやすくなり、日和見感染症と呼ばれる様々な感染症を引き起こします。風邪のような軽い症状から、肺炎やがんなど、命に関わる深刻な病気まで、多岐にわたります。これらの日和見感染症のいくつかを発症した状態が、エイズと診断される状態です。 HIV感染からエイズ発症までは、数年から十数年の期間がかかる場合もあります。ただし、これは治療を受けない場合の話です。現在では、適切な薬物療法を受けることで、HIVの増殖を抑え、免疫力の低下を防ぎ、エイズの発症を予防することができます。HIVに感染しても、健康な生活を送ることは十分可能です。 残念ながら、現在の医療ではHIVを体から完全に取り除くことはできません。一度感染すると、ウイルスは体内に潜伏し続けます。そのため、HIVに感染しないための予防策を正しく理解し、感染のリスクを避けることが非常に重要です。また、HIV感染者に対する偏見や差別をなくし、感染者が安心して医療や支援を受けられる社会を作っていくことも、私たち一人ひとりの大切な役割です。