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後期高齢者の現状と課題
後期高齢者とは、満75歳以上の高齢者を指す言葉です。65歳から74歳までの高齢者は前期高齢者と呼ばれ、この区分は、公的な医療保険制度である前期高齢者医療制度と後期高齢者医療制度とによって明確に分けられています。
高齢者を年齢によって区分する背景には、歳を重ねるにつれて必要となる医療や介護の程度が変化するという現実があります。人は歳を重ねるごとに、身体機能や認知機能が低下しやすくなります。そのため、生活の中で介助が必要となるケースが増え、転倒や骨折などによる入院のリスクも高まります。また、複数の病気を抱えることも多くなり、医療費も高額になる傾向があります。
特に75歳以上になると、要介護認定を受ける人の割合が大きく増加し、医療や介護にかかる費用が社会全体の負担として大きくなります。65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と区分することで、それぞれの年齢層に適した医療や介護サービスを提供することが可能になります。後期高齢者には、介護が必要な状態になった場合に備え、より手厚いサービスを受けられるような支援体制が求められます。
このような制度は、高齢者の健康状態や生活の質を維持し、安心して暮らせる社会を実現するために欠かせない社会保障制度の重要な柱となっています。高齢化が急速に進む日本では、後期高齢者への支援はますます重要性を増しており、社会全体で支えていく仕組みづくりが求められています。