食事療法

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医療

糖尿病と上手につきあうために

糖尿病とは、血液中の糖分、すなわちブドウ糖の濃度が高い状態が続く病気です。このブドウ糖は、私たちが活動するための大切なエネルギー源です。普段は、インスリンというホルモンのはたらきによって、血液中のブドウ糖は全身の細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。このインスリンのおかげで、血液中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値は適切に保たれています。 しかし、糖尿病になると、インスリンの分泌量が不足したり、インスリンのはたらきが十分に発揮されなくなったりします。その結果、ブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなり、血液中に過剰に溜まってしまうのです。この状態が続くと、血管が傷つき、網膜症、腎症、神経障害といった様々な合併症を引き起こす危険性が高まります。かつては、尿に糖が混じることから「糖尿病」と名付けられましたが、今では血糖値を基準に診断されます。 糖尿病は大きく分けて、1型糖尿病と2型糖尿病に分類されます。その他にも、原因や症状によっていくつかの種類があります。1型糖尿病は、主に自分の免疫システムの異常によって、インスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊されることで発症します。子供の頃に発症することが多く、インスリン注射による治療が不可欠です。一方、2型糖尿病は、遺伝的な要因に加えて、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣が大きく影響します。中高年に多くみられますが、近年では若い世代にも増えており、食生活の見直しや運動療法といった生活習慣の改善が重要です。また、妊娠中に血糖値が高くなる妊娠糖尿病も存在します。妊娠糖尿病は、お産後に治ることが多いですが、将来、2型糖尿病になる危険性が高いため、注意が必要です。このように糖尿病には様々な種類があり、それぞれ適切な治療と管理が必要となります。
医療

骨粗鬆症と上手につきあう

骨粗鬆症は、骨の内部の構造がスカスカになり、もろくなってしまう病気です。例えるなら、健康な骨はぎっしりと詰まったスポンジのような構造ですが、骨粗鬆症になるとスポンジにたくさんの穴があいたような状態になります。そのため、少しの力でも簡単に折れてしまうのです。骨の量は若い頃は徐々に増え、30歳前後でピークを迎えます。その後は加齢とともに徐々に減少していきます。骨粗鬆症は、この減少が著しくなり、骨がもろくなることで起こります。 骨粗鬆症の怖いところは、自覚症状がほとんどないまま進行していくことです。そのため、骨折するまで骨が弱くなっていることに気づかない場合が少なくありません。骨折しやすい場所は、背骨、手首、そして太ももの付け根(大腿骨近位部)です。高齢になると、ちょっとした段差につまずいたり、バランスを崩したりして転倒しやすくなります。このような場合、骨粗鬆症があると骨折のリスクが非常に高くなります。特に大腿骨近位部骨折は、寝たきりの原因となることが多く、要介護状態になるリスクも高まります。また、背骨の骨折を繰り返すと、背中が曲がったり、身長が縮んだりすることもあります。 骨粗鬆症の早期発見のためには、定期的な健康診断と骨密度測定が重要です。骨密度測定は、骨の強さを測る検査で、骨粗鬆症の診断に役立ちます。また、日頃から骨を強くするために、生活習慣の見直しも大切です。食事では、カルシウムとビタミンDを積極的に摂りましょう。カルシウムは牛乳や乳製品、小魚などに多く含まれています。ビタミンDは、日光浴によっても体内で作られますが、食事からも摂取できます。魚やきのこ類などに多く含まれています。適度な運動も、骨を強くする効果があります。ウォーキングや軽い体操など、無理なく続けられる運動を選びましょう。 骨粗鬆症は、適切な治療と生活習慣の改善によって進行を遅らせることができます。早期に発見し、治療を開始することで、骨折のリスクを減らし、健康寿命を延ばすことができます。高齢になっても自分の足で元気に歩くために、今からできることを始めましょう。
健康の維持

高血圧を知ろう!

高血圧とは、安静にしている時でも血圧が高い状態が続くことを指します。血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す際に血管にかかる圧力のことで、心臓が収縮して血液を送り出す時の圧力を上血圧(収縮期血圧)、心臓が拡張して血液を受け入れる時の圧力を下血圧(拡張期血圧)と言います。この二つの数値で血圧を表します。 一般的に、上血圧が140mmHg以上、または下血圧が90mmHg以上の場合は高血圧と診断されます。ただし、一度の測定だけで判断するのではなく、複数回測定して高い値が続く場合に高血圧と確定されます。これは、血圧は時間帯や日によって変動するもので、一時的に高くなることもよくあるからです。朝の起床時や、緊張している時、運動した後などは血圧が上昇しやすいため、安静時の血圧を測ることが重要です。 家庭用の血圧計を使って毎日朝晩同じ時間に血圧を測ったり、定期的に健康診断を受けることで、高血圧の早期発見につながります。また、高血圧は自覚症状がない場合が多いので、健康診断での血圧測定は非常に重要です。高血圧を放置すると、動脈硬化につながり、心臓病や脳卒中などの深刻な病気を引き起こす危険性が高まります。ですから、日頃から血圧を意識し、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスをためない生活を心がけることが大切です。塩分の摂り過ぎにも注意が必要です。高血圧と診断された場合は、医師の指示に従って生活習慣の改善や薬物療法を行うことで、血圧を適切な範囲にコントロールし、合併症の予防に努めることが重要です。
医療

お酒が引き起こす認知症:アルコール性認知症

お酒をたくさん飲むことが、もの忘れがひどくなる病気である認知症につながることをご存知でしょうか。長年にわたってたくさんお酒を飲むと、脳が傷ついてしまい、アルコール性の認知症という病気を引き起こすことがあります。 この病気は、お酒に含まれるアルコールが脳の細胞を壊してしまうことが原因です。思い出したり、考えたり、判断したりといった脳の働きが、お酒のせいでうまくいかなくなってしまうのです。症状は人によって様々ですが、もの忘れがひどくなるというのはよくある症状の一つです。例えば、さっき聞いた話をすぐに忘れてしまったり、約束を忘れてしまったりすることが多くなります。また、自分が今どこにいるのか、今日は何日なのかが分からなくなることもあります。さらに、新しいことを覚えにくくなったり、感情が不安定になって、急に怒り出したり、泣き出したりすることもあります。 これらの症状は、毎日の生活に困りごとが増えるだけでなく、社会の中で人と関わったり、仕事をするのが難しくなることもあります。しかし、早く気づいてきちんと治療を受ければ、症状が進むのを遅らせて、今まで通りの生活を続けることができる可能性が高まります。ですから、少しでも気になることがあれば、早めに専門のお医者さんに相談することが大切です。 また、アルコール性の認知症は、本人だけでなく、家族や周りの人の理解と協力がとても大切です。お酒の問題を抱えている人がいたら、病気のことを正しく理解し、温かく見守りながら、適切な治療を受けられるように支えてあげましょう。家族や周りの人の支えが、回復への大きな力となります。
医療

ラコール:経腸栄養の基礎知識

「ラコール」とは、口から十分な量の食事を摂ることが難しい方々のために、必要な栄養を補うための医療用食品です。たとえば、病気や加齢によって、噛む力や飲み込む力が弱くなった方、食欲が落ちて食事量が減ってしまった方、手術後などで消化機能が低下している方などが利用しています。 ラコールは、私たちが健康に生きていくために欠かせない五大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)をはじめ、体に必要な栄養素をバランスよく配合しています。そのため、通常の食事から十分な栄養を摂れない場合でも、ラコールを補助的に利用することで、栄養状態を維持・改善することができます。 ラコールには、飲むタイプの液状のものと、チューブを使って胃や腸に直接注入するタイプのものがあります。飲むタイプは、味が調整されているものもあり、比較的簡単に栄養補給ができます。一方、チューブを使うタイプは、意識がはっきりしない方や、飲み込むことが困難な方でも栄養を補給することができます。 ラコールを点滴と比較した場合、ラコールは消化管を使うため、より自然な形で栄養を吸収できるという利点があります。また、消化管を使うことで、消化管の機能低下を防ぐ効果も期待できます。点滴は、血管に直接栄養を注入する方法ですが、緊急時や消化管を使えない場合などに用いられます。 ラコールは医師の指示のもとで、個々の状態に合わせて適切な種類と量が選択されます。自己判断で使用せず、医師や栄養士などの専門家と相談しながら、安全かつ効果的に利用することが大切です。
医療

病態食:健康への食事

病態食とは、病気の症状や体質に合わせて作られた特別な食事のことです。普段私たちが口にする食事とは異なり、摂取する栄養の量や種類が調整されています。これは、病気を抱える人が健康を維持し、より良い生活を送るための大切な治療法の一つです。いわゆる「食事療法」や「食餌療法」とも呼ばれるものです。 例えば、糖尿病の場合、糖質の量を制限した食事が必要になります。糖質を摂りすぎると血糖値が急上昇し、合併症を引き起こすリスクが高まるからです。そのため、ご飯やパン、麺類などの主食の量を調整し、代わりに野菜やきのこ、海藻などを多く摂るように指導されます。 また、腎臓病の場合、腎臓の働きが低下しているため、タンパク質やカリウム、リンなどの摂取を制限する必要があります。これらの栄養素は、健康な腎臓であれば問題なく処理できますが、腎臓に負担がかかると体に蓄積され、様々な症状を引き起こす可能性があります。そのため、肉や魚、乳製品などのタンパク質を多く含む食品や、果物や野菜などのカリウムを多く含む食品の摂取量を調整する必要があります。 さらに、脂質異常症の場合、コレステロールや中性脂肪の値を下げるために、脂肪の摂取量を制限することが重要です。揚げ物や脂身の多い肉、バターやマーガリンなどの動物性脂肪を控え、魚や植物油などの良質な脂肪を摂るように心がける必要があります。 このように、病態食はそれぞれの病気の特徴に合わせて様々な種類があり、患者さんの状態に合わせて細かく調整されます。食事は健康の基本であり、病気を抱える人にとっては治療の一部として重要な役割を果たします。毎日の食事を管理することで、病気の進行を抑えたり、症状を改善したり、合併症を予防したりする効果が期待できます。だからこそ、病態食はただお腹を満たすためだけの食事ではなく、健康を維持し、より良い生活を送るための大切な治療法と言えるのです。
医療

知っておきたい2型糖尿病

2型糖尿病は、生活習慣病の代表的な病気の一つです。食べ過ぎや運動不足、肥満といった生活習慣が積み重なることで、すい臓から出るインスリンというホルモンの働きが悪くなったり、量が足りなくなったりすることで発症します。インスリンは、血液中のブドウ糖を体の細胞に取り込んで、エネルギーとして使えるようにする大切な役割を担っています。2型糖尿病になると、このインスリンの働きがうまくいかなくなるため、血液中にブドウ糖が過剰に溜まってしまうのです。主な原因としては、食べ過ぎによるカロリーの過剰摂取、運動不足によるエネルギー消費の減少、肥満によるインスリン抵抗性の増大などが挙げられます。また、精神的な負担や家系に2型糖尿病の方がいる場合も、発症リスクが高まると言われています。特に40歳を過ぎたあたりから発症する人が多く見られますが、近年では食生活の変化や運動不足の影響で、若い世代での発症も増加傾向にあるため、注意が必要です。2型糖尿病の怖いところは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことです。そのため、気づかないうちに病気が進行し、放置すると網膜症や腎臓病、神経障害、動脈硬化といった深刻な合併症を引き起こす危険性があります。合併症によって、視力の低下や体のしびれ、足の壊疽といった症状が現れ、生活の質を大きく低下させてしまう可能性もあるのです。こうした事態を防ぐためには、定期的な健康診断を受け、血液検査で血糖値を測ることが非常に重要です。早期に発見し、適切な治療を開始することで、合併症のリスクを減らし、健康な生活を長く続けることができるのです。食生活の改善や適度な運動といった生活習慣の見直し、必要に応じて薬物療法などを組み合わせることで、血糖値をコントロールし、健康を維持していくことが大切です。