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躁うつ病:気分の波を知ろう
双極性障害、かつては躁うつ病と呼ばれていたこの病気は、心の状態が大きく揺れ動く精神疾患です。気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「鬱状態」という正反対の状態を繰り返すことが特徴です。この心の波は、まるでジェットコースターのように激しく、生活に大きな影響を及ぼします。
躁状態では、気分が晴れやかに高ぶり、活動的になります。普段よりもエネルギッシュになり、自信に満ち溢れ、行動力も増します。しかし、同時に衝動的な行動や怒りっぽくなることもあります。一方、鬱状態では、気分が沈み込み、何事にも興味や喜びを感じられなくなります。体が重く感じられ、疲れやすく、集中力も低下します。食欲不振や不眠といった体の不調が現れることもあります。
これらの躁状態と鬱状態は、通常は症状のない落ち着いた期間を挟んで交互に現れます。しかし、必ずしも規則的に繰り返されるとは限らず、その周期は人それぞれです。数年単位で繰り返す人もいれば、数週間から数十年と大きな個人差があります。また、躁状態から次の状態へ、あるいは鬱状態から次の状態へ移行するまでの期間も様々です。
さらに、躁状態と鬱状態の症状が同時に現れる「混合状態」を経験する人もいます。これは、気分が高揚しているにもかかわらず、強い不安や焦燥感、イライラ感を抱えるなど、複雑な状態です。このような混合状態は、周囲の人にも理解されにくく、本人にとっても非常に辛いものです。双極性障害は、早期の診断と適切な治療によって症状をコントロールし、安定した生活を送ることが可能です。気になる症状がある場合は、早めに専門の医療機関に相談することが大切です。