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溶血性貧血:知っておきたい基礎知識
溶血性貧血とは、体の中の赤血球が通常よりも早く壊れてしまうことで起きる貧血です。赤血球は、肺から体全体の組織へ酸素を運ぶ大切な役割を担っています。この赤血球が壊れることを溶血といい、溶血が進むと体中に酸素が十分に届かなくなり、様々な症状が現れます。
健康な人の赤血球の寿命は約120日ですが、溶血性貧血になるとこの寿命が数日~数週間と極端に短くなります。通常、古くなった赤血球は主に脾臓で処理されますが、溶血性貧血では赤血球が壊れるスピードが速すぎるため、脾臓での処理が追いつかなくなります。すると、壊れた赤血球からビリルビンという黄色い色素が増え、血液中に溜まって皮膚や白目が黄色くなる黄疸が出たり、尿の色が濃くなるといった症状が現れます。
溶血性貧血の原因は大きく分けて生まれつき持っている体質による先天性と、後から何らかの原因で発症する後天性の2種類があります。先天性溶血性貧血は、遺伝子の異常により赤血球の形が異常になったり、赤血球を作るのに必要な酵素が不足していたりするなどの理由で赤血球が壊れやすくなっています。後天性溶血性貧血は、自分の免疫系が誤って自分の赤血球を攻撃してしまう自己免疫性溶血性貧血や、特定の薬剤や感染症などが原因で赤血球が壊れることがあります。
溶血性貧血の症状は、貧血の程度や原因によって様々です。軽い場合は自覚症状が全くないこともありますが、疲れやすい、動悸、息切れ、顔色が悪いなどの症状が現れることがあります。重症になると黄疸、発熱、腹痛などを伴い、最悪の場合は命に関わることもあります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。