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認知障害:理解と寄り添い
認知障害とは、脳のはたらきの衰えによって、記憶する、考える、理解する、判断する、学ぶといった、ものごとを認識する能力に問題が生じる状態のことです。歳を重ねるにつれて、記憶力などが少しずつ低下していくのは自然な流れですが、認知障害は、このような通常の老化の範囲を超えて、日常生活に支障をきたすほど認識する能力が低下した状態を指します。そして、日常生活に大きな影響が出ていると認められた場合は、認知症と診断されます。
認知障害は、特定の病気の名前ではなく、様々な原因で起こる様々な症状が組み合わさった状態のことを指します。よく知られている原因としては、アルツハイマー病、脳の血管が詰まったり破れたりする脳血管障害、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。これらの病気以外にも、歳をとることによる脳の変化や、脳卒中や頭を強く打つことなどによる脳への直接的な損傷、薬の副作用、甲状腺の機能が低下する病気などの体の病気、気分が落ち込むうつ病などの心の病気なども、認知障害の原因となることがあります。
認知障害の症状は実に様々です。もの忘れがひどくなる、新しく覚えたことをすぐ忘れてしまう、自分がどこにいるのか、今は何時なのかわからなくなる、適切な判断ができなくなる、性格が変わってしまうなど、人によって現れ方は異なります。これらの症状は、多くの場合ゆっくりと進んでいきます。そのため、早期に発見し、適切な対応をすることがとても大切です。周りの人が変化に気づき、早めに医療機関を受診するよう促すことも重要です。