記憶

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中核症状:認知症の基礎知識

中核症状とは、認知症の中心となる症状です。もの忘れのように、表面に見える症状だけではありません。脳の萎縮や損傷によって、さまざまな認知機能の衰えが生じ、日常生活に大きな影響を及ぼす状態を指します。 代表的な症状の一つとして、記憶障害が挙げられます。昨日の夕食を思い出せない、新しく覚えた人の名前をすぐに忘れてしまう、といった短期記憶の障害がよく見られます。また、昔の出来事を思い出せないといった長期記憶の障害も現れることがあります。 理解力の低下も、中核症状の特徴です。周りの人が話す内容が理解できなかったり、状況を把握することが難しくなったりします。例えば、テレビのニュースの内容が理解できない、会話についていけない、といったことが起こります。 さらに、判断力の低下も深刻な問題です。適切な判断ができなくなるため、一人で買い物に行ったり、お金の管理をしたりすることが難しくなります。状況に応じて適切な行動をとることができなくなり、日常生活でのさまざまな場面で支援が必要になります。 これらの認知機能の低下は、脳の神経細胞の損傷が原因です。神経細胞の情報伝達がうまくいかなくなることで、記憶や理解、判断といった機能が正しく働かなくなります。中核症状は、病気の進行とともに悪化していく傾向があります。早期に適切な診断を受け、必要なケアを受けることが進行を遅らせ、より良い生活を送るために重要です。 中核症状への対応は、ご本人にとって大きな負担となります。周囲の理解と適切な支援が不可欠です。焦らせたり、叱ったりするのではなく、穏やかに接し、ご本人のペースに合わせた支援を心がけましょう。
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まだらな記憶:まだら呆けを知る

まだら呆け、またはまだら認知症とは、認知機能の衰えが部分的に、まるでまだら模様のように現れる状態を指します。 すべての認知機能が均等に低下していくのではなく、ある機能は比較的保たれている一方で、別の機能は大きく低下しているというアンバランスな状態が見られます。例えば、計算問題を難なく解けるにもかかわらず、とっさに言葉が出てこなかったり、少し前に会話をした人の名前が思い出せなくなったりといったことが起こります。 このまだら呆けの大きな特徴は、認知機能の低下の程度が一定ではないことです。日によって、あるいは時間によって、できることとできないことの差が大きく変動します。昨日できていた家事が今日はできなくなっていたり、少し前まで理解できていた話が急にわからなくなったりするなど、認知機能の状態が不安定です。このような日々の変化は、まだら呆けの本人にとって大きな負担となるだけでなく、周囲で支える家族や友人にとっても大きな戸惑いを招きます。 なぜこのようなまだら模様の認知機能低下が起こるのでしょうか。それは、脳の特定の場所が損傷を受けることが原因と考えられています。脳のすべての領域が均等に影響を受けるわけではないため、損傷を受けた場所に対応する機能だけが低下し、他の機能は保たれるのです。 よく知られている認知症であるアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症とは異なり、まだら呆けは特定の認知機能のみに障害が現れるという点で大きく異なります。そのため、まだら呆けの症状を理解し、適切な対応をすることが重要になります。
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記憶障害:思い出せない、覚えられない

記憶障害とは、脳の働きに何らかの異常が生じることで、記憶に関わるさまざまな問題が起こる状態を指します。私たちは日々、過去の出来事を思い出したり、新しい知識を習得したり、覚えたことを後で思い出したりしていますが、こうした記憶の働きは、実はいくつもの複雑な過程を経て成り立っています。記憶障害では、これらの過程のいずれか、あるいはいくつもの過程に不具合が生じることで、日常生活に支障が出てきます。 記憶には、数秒から数分といった短い時間だけ情報を保持する短期記憶と、数時間から数日、数ヶ月、あるいは一生にわたって情報を保存する長期記憶があります。短期記憶に問題があれば、例えば、相手の言った言葉をすぐに忘れてしまったり、電話番号を覚えられなくなったりします。長期記憶に問題があれば、昔の出来事を思い出せなかったり、新しく覚えたことを次の日に忘れてしまったりします。 記憶障害は、それ自体が一つの病気として現れることもありますが、他の病気の一つの症状として現れることもあります。認知症の中には、記憶障害を主な症状とするものがあります。また、脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷といった脳への損傷によっても記憶障害が起こることがあります。その他、強いストレスや精神的なショック、薬の副作用、ビタミン不足といった原因で記憶障害が現れることもあります。 記憶障害の程度や症状は、原因や脳の損傷を受けた場所、個々の状況によって大きく異なります。軽度の場合は、日常生活にそれほど大きな影響がないこともありますが、重度の場合は、自分の名前や家族の顔さえも忘れてしまうことがあります。記憶障害の種類もさまざまで、特定の期間の記憶だけが失われる場合や、新しい記憶を作ることができなくなる場合などがあります。 記憶に不安を感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが大切です。