観察

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訪問による介護

自然観察法:高齢者支援の新たな視点

お年寄りの方を支えるとき、一人ひとりに合わせたやり方がとても大切です。同じような年頃の方でも、これまでの暮らしや性格、今の状態はそれぞれ違います。そのため、型通りのやり方では本当の困りごとに対応できないことがあります。そこで役に立つのが、普段の様子をじっくりと見ることです。これを自然観察法と言います。 自然観察法とは、お年寄りの方が毎日どのように過ごしているのか、どんなことで困っているのかを注意深く観察することで、その方に合った一番良い支え方を見つける方法です。あらかじめ決まった手順や評価の基準にとらわれず、ありのままの姿を見ることで、隠れた困りごとや、まだ発揮されていない力に気づくことができるかもしれません。 例えば、食事の時に箸を持つ手がぎこちない様子を見れば、手の力の衰えに気づくことができます。そして、食事をもっと楽にするための道具を提案できるでしょう。また、居室への移動に時間がかかっている様子から、足の筋力が弱っていることに気づき、歩行訓練を提案できるかもしれません。あるいは、趣味の会に参加している時だけ表情が生き生きとしていることに気づけば、その方の生活に楽しみや喜びを増やすための方策を考えるきっかけになります。 このように、些細な変化も見逃さないように注意深く観察することで、その方が本当に必要としている支援が見えてきます。そして、その方に合ったより良い支援に繋がるのです。自然観察法は、お年寄りの方の生活の質を高めるためのかけがえのない第一歩と言えるでしょう。
介護職

寄り添う観察:参加観察法の理解

参加観察法は、介護の現場でより良い支援を行うために欠かせない手法です。この方法は、支援が必要な高齢者の方々の生活の中に、まるで家族や友人であるかのように寄り添い、共に時間を過ごす中で、きめ細やかな観察を行うことを大切にします。 具体的には、高齢者の方々の日常の様子を注意深く観察します。例えば、食事や入浴、着替えといった生活動作はどの程度行えているのか、表情は明るいのか、それとも何かを訴えているのか、発する言葉にはどのような意味が込められているのか、一つ一つ丁寧に見ていきます。また、高齢者の方々が何に興味を示し、何に喜びを感じ、何に不安を抱いているのかといった感情の動きにも気を配ります。まるで高齢者の方々の生活の中に溶け込むように、五感をフル活用して情報を集めるのです。 参加観察法は、単に傍観するだけでなく、高齢者の方々と積極的にコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことも重要です。日々の会話や共同作業を通して、心を通わせることで、言葉にならない思いや、表面的には見えないニーズを汲み取ることができます。例えば、表情は穏やかでも、どこか元気がないように感じられるといった場合、じっくりと話を聞き、その方の心に寄り添うことで、真のニーズが見えてくることがあります。 このように、参加観察法は、高齢者の方々にとって本当に必要な支援を見極め、その人らしい生活を支えるために、なくてはならない情報収集方法と言えるでしょう。