視覚障害

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介護用品

点字器:文字を点で表す道具

点字器とは、目の見えない人が文字を読むための点字を打つための道具です。点字は、六つの点を組み合わせたもので、それぞれの組み合わせがひらがな、カタカナ、漢字などの文字や、句読点などの記号を表します。点字器を使うことで、目の見えない人も自由に文字を書くことができるようになります。 点字器にはいくつかの種類があります。代表的なものは、板状の点字盤に点筆という先の尖った棒で点を打ち込んでいくタイプです。点字盤には、六つの点の型があり、その型に点筆を押し込んで点を作っていきます。このタイプは、持ち運びやすく、比較的安価であるため、広く使われています。また、機械式の点字タイプライターのような点字器もあります。こちらは、キーボードのようにキーを叩くことで点字を打ち出すことができます。点字を早く打ちたい人に向いています。最近では、パソコンやスマートフォンと連携できる電子点字器も登場しています。点字ディスプレイに表示された点字を読むことができたり、音声で読み上げたりすることもできます。 点字器は、点字を学ぶ上で欠かせない道具です。点字の書き方を練習したり、点字で書かれた文章を作成したりする際に使います。また、日常生活においても、点字器はメモを取ったり、日記を書いたり、手紙を書いたりするなど、様々な場面で役立ちます。仕事で点字を使う人にとっては、点字器はなくてはならない存在です。点字を使って書類を作成したり、メールを送ったりする際に、点字器は必要不可欠です。 点字器の存在は、目の見えない人たちが社会に参加する上で大きな役割を果たしています。点字器によって、情報を得たり、他の人と連絡を取ったりすることが容易になり、教育や仕事の機会も広がります。点字器は単なる道具ではなく、目の見えない人たちの自立と社会参加を支える大切な道具です。
食事の介助

時計の文字盤で位置を伝える

目の見えない、あるいは見えにくい方々の生活は、私たちが想像する以上に多くの困難を伴います。例えば、目の前に置かれた机の上の状況を把握したり、食事の際に何の料理がどこに置かれているかを知ることさえ容易ではありません。このような視覚情報が得にくい状況の中で、周囲の人々がどのように支援できるかを考えることはとても大切です。 その支援方法の一つとして、「時計の位置」を応用した伝え方があります。これは「クロックポジション」と呼ばれ、時計の文字盤に見立てて物の位置を伝える方法です。例えば、コーヒーカップが3時の位置、パンが6時の位置にあると伝えれば、時計の針を思い浮かべるようにして、視覚に障害のある方は物の位置関係を理解することができます。まるで、時計の文字盤が目の前にあるかのように、周囲の状況を頭の中で描いていくのです。 この「時計の位置」を使った伝え方は、一見単純な方法ですが、視覚に障害のある方の自立と社会参加を大きく促す効果があります。なぜなら、周囲の状況を把握する助けとなるだけでなく、周りの人と円滑な意思疎通をするための手段ともなるからです。例えば、レストランで食事をする際、店員さんが料理の位置を「時計の位置」で説明することで、お客様はスムーズに食事を楽しむことができます。また、家庭内でも、家族が「時計の位置」を使って物の場所を伝えることで、視覚に障害のある方は、身の回りのことを自分で行いやすくなります。 目に見えない世界を理解し、その世界で生活する人々に寄り添うためには、まず「時計の位置」を使った伝え方を理解し、日常生活で積極的に使っていくことが重要です。この小さな工夫が、視覚に障害のある方々にとって、大きな支えとなるのです。
移動の介助

ガイドヘルパーの役割と重要性

ガイドヘルパーとは、一人で外出するのが難しい障害のある方を支え、安心して外に出られるように手助けする専門家のことです。正式には「移動介護従事者」と言い、目の見えない方、体が不自由な方、知的障害のある方など、様々な障害のある方の移動を支援します。 具体的には、行きたい場所まで一緒に移動したり、移動中の介助をしたり、電車やバスなどの乗り物を使うお手伝いをしたり、必要な手続きを代わりに行ったり、外出中の安全を見守ったりといった仕事を行います。ガイドヘルパーは、障害のある方が社会とつながり、自立した生活を送るために大切な役割を担っています。 ガイドヘルパーの仕事は、ただ移動のお手伝いをするだけではありません。利用する方の状況に合わせて、きめ細やかな配慮が必要です。例えば、目の見えない方には、周りの状況を言葉で詳しく伝えたり、白い杖の使い方を教えたりする必要があります。体が不自由な方には、車椅子の操作や乗り降りのお手伝い、段差や階段の移動の支援が必要です。また、知的障害のある方には、今日の予定を一緒に確認したり、今の状況を分かりやすく説明したり、安全のためにこまめに声をかけたりと、その方に合わせた適切な対応が必要です。 このように、ガイドヘルパーには、障害の種類や程度に応じた専門的な知識と技術が求められます。そして、利用する方の気持ちや希望に合わせて、臨機応変に対応していくことが大切です。単に目的地まで移動できれば良いのではなく、外出そのものを楽しめるように、心を配ることが重要です。例えば、買い物の付き添いでは、商品を選ぶお手伝いをしたり、一緒に商品を見比べたりすることで、利用者の方が自分で選んだという実感を得られるように支援します。また、散歩の付き添いでは、季節の草花や景色について話したり、利用者の方の思い出話を聞いたりすることで、心豊かな時間を過ごせるよう配慮します。このように、ガイドヘルパーは利用者の方の気持ちに寄り添い、きめ細やかなサービスを提供することで、外出をより楽しく、有意義なものにするのです。
医療

ロービジョン:見えにくい世界を理解する

ロービジョンとは、見えにくいけれど、全く見えないわけではない状態のことを指します。眼鏡やコンタクトレンズを使っても、視力が十分に上がらず、日常生活に支障が出てしまう状態です。世界保健機関(WHO)では、矯正視力が0.05以上0.3未満の場合をロービジョンと定めています。0.3の視力では、読書や歩行、人の顔を見分けることなど、普段の生活を送る上で、様々な困難が伴います。 ロービジョンを引き起こす目の病気は様々です。例えば、加齢黄斑変性は、網膜の中心部である黄斑に異常が生じ、視界の中心が暗く見えたり、歪んで見えたりします。また、緑内障は、視神経が障害される病気で、視野が狭くなったり、欠けたりします。さらに、糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として網膜の血管が傷つき、視力低下を引き起こします。これらの病気以外にも、生まれつきの原因や、けが、感染症などによってロービジョンになることもあります。 ロービジョンの方の見えにくさは、人によって様々です。視力低下の度合いも違えば、見え方の特徴も異なります。視野の中心が暗く見える人、視野の周辺が見えない人、物が歪んで見える人、光がまぶしく感じる人など、症状は多岐に渡ります。また、同じ病気であっても、見えにくさの種類や程度には個人差があります。そのため、ロービジョンの方一人ひとりの状態を理解し、それぞれの見え方に合わせた支援が必要となります。周囲の理解と適切なサポートが、ロービジョンの方々がより豊かな生活を送るために欠かせません。
移動の介助

盲導犬訓練士:人と犬を結ぶ架け橋

盲導犬訓練士は、目の不自由な方の暮らしを支える大切なパートナーである盲導犬を育てる仕事です。子犬の頃から、人と一緒に暮らすために必要な決まり事や行儀作法を教え込みます。例えば、決まった場所で用を足すこと、きちんと歩くこと、指示に従うことなど、基本的な訓練を行います。 さらに、音や障害物に気づく訓練や安全に歩くための高度な訓練も行います。これらの訓練を通して、盲導犬は目の不自由な方が安全に、そして快適に移動できるようサポートする力を身につけていきます。訓練には長い期間がかかり、根気強さと愛情、そして専門的な知識と技術が必要です。 盲導犬訓練士は、犬の健康管理や飼育場所の環境整備にも気を配り、常に犬の体の状態や心の状態に注意を払う必要があります。ただ犬を訓練するだけでなく、犬のパートナーとなる目の不自由な方とのやり取りも大切な仕事です。訓練の成果が十分に発揮されるように、犬と利用者の方の相性を見極めたり、利用者の方への犬の扱い方や注意点などの指導も行います。 盲導犬訓練士は、人と犬がより良い関係を築けるようにサポートする、大切な役割を担っているのです。盲導犬が安全に道案内をするためには、周りの人たちの理解と協力も必要不可欠です。信号の色を伝える、犬に触ったり話しかけたりしないなど、盲導犬が仕事に集中できる環境を作ることも、私たちにできる大切な協力です。
移動の介助

盲導犬:目の見えない人のパートナー

盲導犬とは、目の不自由な方のために特別な訓練を受けた犬です。視覚に障害のある方の安全な歩行をサポートし、日常生活での移動を助けるという大切な役割を担っています。まるで視覚障害者の「目」の役割を果たすかのように、周囲の状況を把握し、安全な道を案内します。 具体的には、電柱や段差といった障害物を避けたり、信号の色を判断して横断歩道を渡るタイミングを知らせたり、目的地まで安全な経路を案内します。また、バスや電車などの公共交通機関の利用もサポートします。盲導犬は、単なるペットとは異なり、視覚障害者にとって社会参加を支え、自立と自信を与えてくれるかけがえのないパートナーです。家から一歩外に出る時の不安を和らげ、行きたい場所に自由に行くことを可能にする、まさに「もう一つの目」であり、「もう一つの足」と言えるでしょう。 しかし、このような優れた盲導犬を育成するには、並大抵の努力では足りません。子犬の時期から約2年間、専門の訓練士による徹底した訓練を受けます。歩行訓練だけでなく、周囲の音や匂い、人混みなど、様々な状況に慣れさせる訓練も行います。さらに、盲導犬と視覚障害者との共同訓練も重要な要素です。互いの呼吸や歩調を合わせ、信頼関係を築き上げることで、初めて真のパートナーシップが生まれます。このように、盲導犬の育成には多大な時間と費用、そして専門的な知識と技術が必要です。そのため、盲導犬育成団体による地道な活動と、社会全体の理解と協力が不可欠です。盲導犬を受け入れる社会の温かい目、そして、盲導犬を連れている視覚障害者への配慮は、彼らが安心して社会生活を送る上で大きな支えとなります。
その他

盲ろうという生き方:理解と支援の道筋

盲ろうとは、視覚と聴覚の両方に障害がある状態を指します。目が見えにくい、あるいは全く見えない状態と、耳が聞こえにくい、あるいは全く聞こえない状態が重なっているということです。一見すると、周りの世界を知ることや人と関わりを持つことが難しいように思われますが、実際には残っている視覚や聴覚、あるいは触覚や嗅覚などを活用して、周りの世界を認識し、コミュニケーションをとっています。 例えば、わずかに光を感じる視力があれば、物の形や明るさの違いを認識することができますし、かすかな音を聞き取れる聴力があれば、周囲の音から周りの状況を把握することができます。また、触覚は、物の形や材質、温度などを知るために重要な役割を果たします。点字を読む、物に触れて形を認識する、相手の手に触れて意思疎通を図るなど、触覚は様々な場面で活用されます。さらに、嗅覚は、食事を楽しむ、危険を察知するなど、生活を豊かにする上で役立ちます。このように、盲ろうの方は、使える感覚を最大限に活用して生活しています。 盲ろうには、生まれたときから視覚と聴覚に障害がある先天性の盲ろうと、成長してから視覚と聴覚に障害が生じる後天性の盲ろうがあります。先天性の盲ろうの方は、言葉を覚える過程で視覚や聴覚からの情報を得ることができないため、独自のコミュニケーション方法を身につける必要があります。一方、後天性の盲ろうの方は、それまで目や耳で得ていた情報が得られなくなるため、大きな喪失感や精神的な負担を抱えることがあります。また、以前とは異なるコミュニケーション方法を習得する必要も出てきます。 このように、盲ろうは、単に視覚と聴覚の障害というだけでなく、生活のあらゆる場面に影響を及ぼす多様な側面を持つ状態です。そのため、盲ろうの方一人ひとりの状況を理解し、適切な支援を行うことが重要です。