
血中酸素飽和度:健康のバロメーター
血液中の酸素がどれくらい体に行き渡っているかを知るための大切な数値、それが酸素飽和度です。分かりやすく言うと、体中に酸素が十分に行き届いているかをパーセントで表したものです。私たちの体は、生きるために細胞ひとつひとつに酸素を送り届けなければなりません。この酸素を運ぶ役目を担っているのが、血液の中に含まれる赤血球です。赤血球の中には、ヘモグロビンというたんぱく質が含まれており、このヘモグロビンが酸素とくっつくことで、肺から取り込まれた酸素を体中の組織へ運ぶことができます。酸素飽和度は、このヘモグロビンがどれだけの酸素と結合しているかを示す数値で、例えば、酸素飽和度が98%であれば、ヘモグロビンの98%が酸素とくっついているという意味になります。
健康な人の場合、酸素飽和度は通常96%以上です。しかし、呼吸器の病気や心臓の病気など、様々な原因で酸素飽和度が低下することがあります。酸素飽和度が低くなると、体に取り込まれる酸素の量が減り、息苦しさやめまい、だるさなどの症状が現れることがあります。さらに、酸素飽和度が著しく低下すると、意識障害に陥る危険性もあります。酸素飽和度を測ることで、体の状態を把握し、適切な処置を行うことができます。例えば、肺炎などの病気の診断や治療効果の確認、在宅酸素療法が必要かどうかの判断などに役立ちます。酸素飽和度は、健康状態を判断するための重要な指標のひとつと言えるでしょう。
酸素飽和度は、指先や耳たぶなどに挟むタイプの装置で簡単に測ることができます。最近は、家庭でも手軽に使える装置が販売されているため、健康管理の一環として、定期的に酸素飽和度を測る習慣をつけるのも良いでしょう。特に、高齢者や呼吸器系の持病がある方は、日頃から酸素飽和度に気を配り、体調の変化に注意することが大切です。