
薬が効かない?薬剤抵抗性を知ろう
薬の効き目が弱くなることを薬剤抵抗性、または薬剤耐性といいます。以前はよく効いていた薬が、飲んでも期待するほど効果が出なくなる現象です。これは、病気の原因となっているもの、例えば細菌やがん細胞などが、薬に対して抵抗力を持つようになることで起こります。例えば、風邪などで細菌に感染したときに抗生物質を飲むと、ほとんどの細菌は死滅しますが、ごく一部の細菌は、たまたま抗生物質に耐えられる性質を持っていることがあります。これらの抵抗力を持った細菌は生き残り、増殖していきます。すると、抗生物質が効かなくなった細菌ばかりが増えてしまい、感染症の治療が難しくなるのです。この薬剤抵抗性は、様々な病気の治療において大きな問題となっています。薬の効果が薄れるだけでなく、治療に時間がかかったり、医療費が高くなったりして、患者さんの負担を増やしてしまいます。また、薬剤抵抗性を持つ細菌やがん細胞が増えると、新しい薬を開発しなければならなくなり、これは社会全体の医療費の増加にもつながります。薬剤抵抗性がどのようにして発生するのか、その仕組みを理解し、適切な対策を講じることはとても大切です。そうすることで、薬の効果を維持し、患者さんが健康な生活を送れるようになります。例えば、医師の指示通りに薬を飲み切ること、むやみに抗生物質を要求しないことなどが、薬剤抵抗性の発生を防ぐために私たちができることです。