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前頭側頭型認知症:知っておきたい特徴と対応
前頭側頭型認知症は、脳の額側前方の前頭葉と耳側の側頭葉が縮んでしまうことで起こる認知症の一種です。もの忘れが主な症状であるアルツハイマー型認知症とは異なり、前頭側頭型認知症は、行動や人格の変化、言葉の理解や発語といった言語能力の低下が初期症状として現れることが特徴です。例えば、以前は温厚だった人が急に怒りっぽくなったり、周りの人に無関心になったり、同じ言葉を繰り返したり、言葉の意味が理解できなくなったりすることがあります。これらの変化は、社会生活に大きな支障をきたし、家族や友人との関係を難しくする可能性があります。例えば、社会的なマナーやルールを守れなくなったり、衝動的な行動が増えたり、周囲の状況を理解することが難しくなるため、日常生活を送る上で様々な困難が生じます。また、感情のコントロールが難しくなり、急に泣き出したり、笑ったりするなど、感情の起伏が激しくなる場合もあります。前頭側頭型認知症の進行速度は人によって大きく異なります。ゆっくりと症状が進む人もいれば、急速に悪化する人もいます。病状の進行に伴い、徐々に日常生活動作にも支障が現れ、食事や着替え、入浴などの介助が必要になることもあります。また、徘徊や妄想、幻覚などの症状が現れる場合もあります。早期に診断を受け、適切な対応をすることが重要です。現在のところ、前頭側頭型認知症を根本的に治す治療法はありませんが、症状を和らげる薬物療法や、日常生活を支援するための非薬物療法があります。周囲の理解と適切なサポートがあれば、より良い生活を送ることが可能になります。