腹部膨隆

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イレウスの基礎知識

イレウスとは、食べた物が口から肛門まで移動する過程で、何らかの理由で腸の中をスムーズに通れなくなる状態を指します。詰まりが生じているイメージを持つ方もいるかもしれませんが、必ずしも物理的に腸が塞がっているとは限りません。腸の動きが悪くなって内容物が運ばれなくなってしまう場合もイレウスと呼ばれます。 日本語で「腸閉塞」と呼ばれることもありますが、この二つの言葉は完全に一致するわけではありません。腸閉塞は、腫瘍や癒着などによって腸管が物理的に狭くなったり、完全に閉じてしまったりしている状態を指します。一方イレウスは、腸閉塞に加えて、腸の動きが弱まり内容物が停滞する機能的な閉塞も含む、より広い概念です。例えば、お腹の手術後などに腸の動きが一時的に低下し、食べた物が腸内をスムーズに通過できない状態もイレウスに含まれます。 イレウスの原因は様々です。腸閉塞を引き起こす原因となる腫瘍や腸の癒着の他に、腸管がねじれる腸捻転、腸の一部が腹壁の隙間に入り込んでしまうヘルニアなどもイレウスの原因となります。また、腸の手術後や、腹膜炎、あるいは特定の薬の副作用によって腸の動きが低下し、イレウスを引き起こす場合もあります。 イレウスになると、腹痛、吐き気、嘔吐、便秘などの症状が現れます。腸が完全に閉塞している場合には、ガスや便が出なくなることもあります。イレウスは放置すると腸管が壊死したり、腹膜炎を起こしたりするなど、命に関わる危険な状態に進行することもあります。そのため、疑わしい症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
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イレウスと腸閉塞の違いとは?

イレウスとは、食べ物が口から入って肛門から出るまでの消化管のどこかで、内容物がうまく流れなくなる状態です。食べ物がスムーズに腸を通過できない状態をイメージすると分かりやすいでしょう。よく「腸閉塞」と同じ意味で使われますが、イレウスの方がより広い意味を持っています。 イレウスは大きく分けて二つの種類に分けられます。一つは「機械的イレウス」で、これは文字通り、腸管が物理的に塞がれてしまうことで起こります。例えば、がんによって腸管内が狭くなったり、腸がねじれたり、腸の一部が腸の中に入り込んでしまう(腸重積)などが原因で、食べ物が物理的に通れなくなります。この「機械的イレウス」は、一般的に「腸閉塞」と呼ばれる状態とほぼ同じです。 もう一つは「機能的イレウス」で、こちらは腸管自体が塞がれているわけではないものの、腸の動きが悪くなることで内容物がうまく運ばれなくなる状態です。腸の動きが悪くなる原因は様々で、開腹手術後や腹膜炎などの炎症、特定の薬の副作用、あるいは加齢による腸の機能低下などが考えられます。また、腹部のけがや腎臓結石、肺炎といった一見腸とは関係のない病気でも、自律神経のバランスが崩れることで機能的イレウスが引き起こされることがあります。 イレウスになると、腹痛や吐き気、嘔吐、便秘といった症状が現れます。重症化すると、脱水症状や腸管の壊死などを引き起こし、命に関わることもあります。そのため、少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。早期発見と適切な治療によって、重症化を防ぐことができます。