腎臓

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人工透析:生命を支える技術

腎臓は、私たちの体にとって重要な役割を担っています。血液をろ過し、老廃物や余分な水分、塩分などを尿として体外に排出する働きをしています。この働きのおかげで、私たちの体は健康な状態を保つことができるのです。しかし、様々な病気により腎臓の働きが悪くなると、老廃物や余分な水分が体に溜まり、体に様々な不調が現れます。これが腎不全と呼ばれる状態で、腎不全が進行すると生命に関わることもあります。このような状態になった際に、腎臓の働きを人工的に代替する治療法が透析です。 透析には、大きく分けて二つの種類があります。一つは血液透析です。血液透析は、腕などに作った専用の管を通して血液を体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる人工腎臓で血液をきれいにした後、再び体内に戻す治療法です。通常、週に3回程度、数時間かけて行われます。もう一つは腹膜透析です。腹膜透析は、お腹の中にカテーテルと呼ばれる細い管を埋め込み、そこから透析液を注入し、腹膜を通して老廃物や余分な水分を体外に排出する治療法です。腹膜透析は自宅で行うことができ、患者さん自身の生活スタイルに合わせて行うことができます。 血液透析と腹膜透析は、それぞれに利点と欠点があります。医師とよく相談し、自分の生活スタイルや体の状態に合った方法を選択することが大切です。どちらの方法であっても、透析は腎臓の働きを完全に代替できるわけではありません。食事療法や水分制限など、日常生活での管理も非常に重要です。近年では、技術の進歩により、在宅での透析も可能になり、患者さんの生活の質の向上に繋がっています。透析治療は患者さんにとって負担の大きい治療ではありますが、医療の進歩とともに、より快適で効果的な治療法の開発が期待されています。
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痛風とその治療について

痛風は、体の中に尿酸というものが多くなりすぎることで起こる病気です。尿酸は、私たちの体の中で毎日作られる老廃物の一つで、通常は腎臓を通って尿として体の外に出されます。しかし、尿酸が作られすぎる、尿としてうまく排出されないなどの理由で体の中に尿酸が溜まりすぎると、血液中の尿酸の濃度が高くなります。これを高尿酸血症と言います。 高尿酸血症の状態が続くと、余分な尿酸は針のような形をした結晶になり、関節の中に溜まっていきます。そして、ある日突然、足の親指の付け根などの関節に激しい痛みや腫れ、熱を起こします。これが痛風発作です。風が吹いただけでも激痛が走るようなことから、「痛風」という名前が付けられました。 痛風発作は、初めての場合は足の親指の付け根に起こることが最も多いです。しかし、発作を繰り返すうちに、足首、膝、肘、手首など、体の他の関節にも発作が起こるようになります。また、発作を繰り返すと、関節の形が変わってしまったり、皮膚の下に尿酸の結晶の塊(痛風結節)ができたりすることもあります。 さらに、尿酸が高い状態が続くと腎臓にも負担がかかり、腎臓の働きが悪くなる腎機能障害や、尿の通り道に石ができる尿路結石といった病気を引き起こす可能性も高くなります。ですから、痛風は放っておかずに、きちんと治療と管理をすることが大切です。
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溶血性尿毒症症候群:知っておきたい基礎知識

溶血性尿毒症症候群は、主に腸管出血性大腸菌の感染によって起こる深刻な病気です。この病気は、赤血球の破壊、腎臓の働きの低下、血小板の減少という三つの大きな特徴があります。これらの症状は互いに関連し合い、重くなると命に関わることもあります。 まず、お腹がひどく痛くなり、水のような下痢が起こります。場合によっては、血が混じった便が出ることもあります。こうした初期症状の後、数日から数週間かけて、赤血球の破壊による顔色の悪さや疲れやすさが現れます。腎臓の働きが低下すると、尿の量が減ったり、むくみが生じたりします。さらに、血小板が減ることで、出血しやすくなります。 特に、腎臓の働きの低下は深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、適切な治療が必要です。乳幼児や高齢者の方はこの病気が重症化しやすいため、特に注意が必要です。 溶血性尿毒症症候群は感染症なので、衛生管理をしっかり行い、早期の診断と治療が重要です。そのため、疑わしい症状が現れたら、すぐに医療機関を受診するようにしてください。早期発見と適切な治療によって、重症化を防ぎ、健康な状態を取り戻すことができる可能性が高まります。また、家族や周囲の人への感染を防ぐためにも、速やかな対応が大切です。
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腹膜透析:その仕組みと利点

腹膜透析とは、腎臓の働きが弱くなった時に、血液中の不要な物や余分な水分を取り除く治療法です。健康な人の腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体の外に出す働きをしています。しかし、腎臓の働きが弱くなると、これらの老廃物や水分が体内に溜まってしまい、様々な症状を引き起こします。腹膜透析は、腎臓の働きを代行する治療法の一つです。 私たちの腹部には、腹膜と呼ばれる薄い膜があります。この膜は、お腹の中にある臓器を包み込むように存在し、たくさんの血管が通っています。腹膜は、まるで細かい網目状のふるいのように、血液中の物質を選別して通過させることができます。この性質を利用するのが腹膜透析です。 腹膜透析では、まずお腹に小さな管(カテーテル)を埋め込みます。そして、このカテーテルを通して透析液と呼ばれる特別な液体を腹腔内に入れます。透析液は、体の中できれいな水のように働き、血液中の老廃物や余分な水分を腹膜を通して吸収します。一定時間後、老廃物や水分を吸収した透析液はカテーテルを通して体の外に排出されます。この一連の作業を繰り返すことで、血液をきれいに保つことができるのです。 腹膜透析は、自宅で行うことができる在宅医療です。毎日、決まった時間に透析液を交換する必要がありますが、病院に通う必要がないため、自分のペースで生活を送ることができます。また、心臓への負担が少ないことも大きな利点です。腎臓の働きが弱くなった方の生活の質を維持するために、腹膜透析は有効な治療法の一つと言えるでしょう。 腎不全の治療には、腹膜透析の他に血液透析もあります。血液透析は、病院で週に数回、数時間かけて行う治療法です。それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあるので、医師とよく相談して自分に合った治療法を選択することが大切です。
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ネフローゼ症候群:むくみの陰に潜む疾患

ネフローゼ症候群は、腎臓の機能に異常が生じ、血液中の大切な栄養素であるタンパク質、特にアルブミンが尿の中に大量に出て行ってしまう病気です。健康な状態では、腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿として排出しながら、体に必要なタンパク質は血液中に保持する働きをしています。しかし、ネフローゼ症候群になると、このろ過機能がうまく働かなくなります。 腎臓には糸球体と呼ばれる、毛細血管が球状に集まった小さな器官があります。この糸球体は、血液をろ過するフィルターのような役割を果たしています。通常は、タンパク質のような大きな分子は糸球体を通過できませんが、ネフローゼ症候群では、この糸球体が損傷を受け、タンパク質が尿中に漏れ出てしまうのです。 血液中のタンパク質、特にアルブミンは、血液の水分を保つ重要な役割を担っています。アルブミンが尿中に漏れ出てしまうと、血液中のタンパク質濃度が低下し、水分が血管から組織に漏れ出し、むくみが現れます。これがネフローゼ症候群の主な症状の一つです。 ネフローゼ症候群は、子供から大人まで、どの年代でも発症する可能性があります。その原因はさまざまで、感染症や他の病気が引き金となる場合もあれば、原因不明の場合もあります。また、特定の薬剤が原因となることもあります。ネフローゼ症候群は、早期に発見し、適切な治療を行うことが大切です。放置すると、様々な合併症を引き起こす可能性があります。症状に気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。