脳損傷

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医療

失行:動作の理解と実行の難しさ

失行とは、手や足などの体の部分が麻痺しているわけでもなく、物の形や使い方などがわからなくなっているわけでもないのに、目的を持った行動をうまく行うことができなくなる状態を指します。これは、脳の働きに問題が生じることで起こります。つまり、筋肉や感覚器官に障害があるのではなく、脳が体の各部分に適切な指示を送ることができなくなることが原因です。 例えば、歯ブラシを渡されても、どのように歯を磨けばいいのかわからなくなり、磨く動作がうまくできなくなったり、服を着ようとしても、袖に腕を通すことができなくなったりします。また、はさみで紙を切ったり、包丁で野菜を切ったりといった、日常生活で必要な動作も難しくなります。このような状態は、単に動作がぎこちないというレベルではなく、動作の手順や方法そのものがわからなくなってしまう点が特徴です。 失行の人は、動作の方法がわからなくなっているだけで、動作をすることへの意欲は失っていません。また、周りの人が指示する内容も理解しています。しかし、脳から適切な指示が体に伝わらないため、意図したとおりに体を動かすことができないのです。このような状態は、周りの人から誤解されやすく、「怠けている」「やる気がない」などと見られてしまうこともあります。しかし、本人は一生懸命やろうとしているのにできないというつらい状況に置かれています。 そのため、失行を抱えている人に対しては、周りの人の理解と適切な支援が非常に大切です。焦らせたり、無理にやらせたりするのではなく、一つ一つ丁寧に動作を教えたり、補助具を使ったりするなど、その人に合った方法で支援していく必要があります。
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失語症について理解を深めよう

失語症とは、脳の言語をつかさどる部分が傷つくことで、話す、聞く、読む、書くといった言葉の働きに問題が生じる状態です。 脳卒中や頭のけがなどが原因で起こることが多く、言葉によるやり取りが難しくなるため、日々の暮らしに大きな影響を与えます。 失語症の症状は、脳のどこが、どれくらい傷ついたかによって様々です。 相手の言っていることが理解できない、伝えたい言葉がうまく見つからない、発音がはっきりしない、言葉がなめらかに出てこない、文字が読めないといった症状が現れます。 例えば、軽い場合は特定の言葉が思い出せない、言い間違いが増えるといった程度の場合もあります。しかし、重い場合は全く言葉を発することができなくなったり、相手の言葉が全く理解できなくなったりすることもあります。 症状の一つとして「話すことの障害」があります。 伝えたい言葉が出てこない、言い間違える、同じ言葉を繰り返してしまう、言葉がつっかえる、文法的に正しくない文章になってしまう、発音が不明瞭になるといった症状が現れます。 「聞くことの障害」では、 相手の話している言葉の意味が理解できない、複雑な指示が理解できない、長い会話についていけないといった症状が見られます。 「読むことの障害」としては、 文字が読めない、書かれている内容が理解できないといった症状が現れ、「書くことの障害」では、 字が書けない、文章が書けない、文法的に正しくない文章を書いてしまうといった症状が現れます。 このように、失語症は言葉に関する様々な問題を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたす病気です。 周囲の人の理解と適切な支えが、失語症を持つ人が社会生活を送る上でとても重要になります。