能力開発

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介護職

力を育む介護:エンパワメント

「力を与える」という意味を持つエンパワメントは、その人自身の中にある潜在能力を認識し、それを発揮できるよう支援する考え方です。特に、介護の現場では、この考え方が重要になります。 介護を受ける人にとって、エンパワメントとは、日常生活でできることを一つずつ増やし、自分で出来る喜びを感じることから始まります。たとえば、食事や着替え、トイレといった日常の動作を、介助に頼りきりになるのではなく、自分の力で出来る範囲で行うことで、自信を取り戻し、生活の質を高めることにつながります。そして、「自分でできた」という成功体験は、更なる意欲を生み出し、次の目標へとつながっていくのです。自分の力で何かを成し遂げる経験を通して、人は、主体性や責任感といった大切なものを育み、より豊かな人生を送ることができるようになります。 一方、介護を提供する人にとってもエンパワメントは重要です。介護の仕事は、肉体的にも精神的にも負担が大きい仕事です。しかし、常に学び続け、自分の知識や技術を高める努力をすることで、提供できる介護の質を高めることができます。質の高いケアを提供することで、介護を受ける人からの感謝の言葉や、状態が良くなっていく様子を目の当たりにすることができ、それが大きなやりがいにつながります。また、介護の専門職としての自覚や責任感が強まり、仕事に対する誇りを持つことにもつながります。つまり、介護を提供する側も、エンパワメントを通して、仕事への意欲を高め、より良い介護サービスを提供できるようになるのです。 このように、エンパワメントは、介護を受ける人と提供する人、双方にとって良い影響を与える、大切な考え方です。お互いを尊重し合い、協力し合うことで、より良い介護の環境を作り、誰もが生き生きと暮らせる社会を実現していくことができるでしょう。