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誤嚥性肺炎を防ぐために
誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物、唾液などが本来入るべき食道ではなく、誤って気管に入り込んでしまうことで起こる肺炎です。通常、私たちは食べ物を口にすると、舌や喉の筋肉が協調して、食べ物を食道へと送り込みます。同時に、気管の入り口には喉頭蓋と呼ばれる蓋が閉まり、食べ物が気管に入らないように守ってくれています。しかし、加齢や病気などによって飲み込む機能が低下すると、この巧妙な仕組みがうまく働かなくなり、食べ物や唾液が気管に入り込んでしまうことがあります。これが誤嚥と呼ばれる現象です。
誤嚥自体は誰にでも起こりうるものですが、健康な人であれば、咳をすることで異物を排出することができます。しかし、ご高齢の方や病気で体力が弱っている方の場合、咳をする力も弱まっていることが多く、誤嚥した物をうまく排出できないことがあります。さらに、誤嚥した食べ物や唾液に細菌が含まれていると、気管や肺で炎症を引き起こし、肺炎に至ることがあります。これが誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎は、特にご高齢の方にとって命に関わる危険な病気の一つです。高齢者は免疫力が低下していることが多く、肺炎にかかりやすいうえに、重症化しやすい傾向があります。また、肺炎によって体力がさらに低下し、寝たきりになってしまうリスクも高まります。そのため、誤嚥性肺炎を予防するための対策や早期発見、適切な治療が非常に重要になります。日頃から、食事の姿勢に気をつけたり、ゆっくりとよく噛んで食べるなど、誤嚥を防ぐための工夫を心がけることが大切です。