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盲腸(虫垂炎)の基礎知識

虫垂炎は、大腸の一部である盲腸の先端に位置する、長さ数センチメートルほどの細長い器官「虫垂」に炎症が起こる病気です。この虫垂の役割については、まだ完全に解明されていませんが、腸内細菌のバランスを整えたり、体の免疫機能に関わっていると考えられています。 虫垂炎は、一般的に「盲腸」と呼ばれていますが、医学的には「虫垂炎」と呼ぶのが正しいです。盲腸は大腸の一部であり、その先端にある虫垂に炎症が起きている状態が虫垂炎です。ですから、「盲腸」は器官の名前であり、「虫垂炎」は病気の名前というわけです。 この虫垂炎は、虫垂の中に細菌が感染することで炎症を引き起こします。その他にも、便の塊や寄生虫、腫瘍などが虫垂の入り口を塞いでしまうことで炎症を起こすこともあります。 虫垂炎は、どの年代にも起こりうる病気ですが、特に子供や若い世代に多くみられます。主な症状としては、初期にはみぞおち付近の痛みや吐き気を感じ、その後、右下腹部に痛みが移動し、激しい痛みへと変化します。また、発熱や食欲不振、便秘や下痢といった症状が現れることもあります。 虫垂炎を放置すると、虫垂が破裂し、腹膜炎を引き起こす可能性があります。腹膜炎は命に関わる危険な状態となるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。虫垂炎の疑いがある場合は、すぐに病院を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。通常、虫垂炎の治療は、手術によって炎症を起こした虫垂を取り除く方法がとられます。近年では、腹腔鏡手術という体に小さな穴を数カ所開けて行う手術が広く行われており、傷口が小さく、術後の回復も早いという利点があります。
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病原性大腸菌Oとは?

大腸菌は、私たちの腸の中に普通に住んでいる細菌です。ほとんどの種類は体に悪い影響を与えませんが、食中毒の原因となる有害な大腸菌も存在します。これらを病原性大腸菌と呼び、様々な種類があります。 病原性大腸菌は、下痢や腹痛といった、お腹の調子が悪くなる症状を引き起こします。ひどい場合には、重い合併症になることもあります。代表的な病原性大腸菌には、腸管出血性大腸菌(O157など)、腸管侵入性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管凝集性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌などがあります。 これらの大腸菌は、それぞれ異なる方法で病気を引き起こし、症状も様々です。例えば、O157などの腸管出血性大腸菌は、ベロ毒素という毒を作り出し、出血を伴う腸炎や、溶血性尿毒症症候群といった重い病気を引き起こすことがあります。この病気は、腎臓の働きが悪くなるなど、命に関わることもあります。 一方、腸管毒素原性大腸菌は、コレラという病気と同じような毒素を作り出し、水のような下痢を引き起こします。このように、一口に病原性大腸菌といっても、その種類や特徴は様々です。 食中毒を防ぎ、安全な食生活を送るためには、これらの大腸菌について正しく理解し、適切な予防策を講じることが大切です。例えば、肉は中心部までしっかり加熱すること、生野菜は流水でよく洗うこと、トイレの後や食事の前には石鹸で丁寧に手を洗うことなどが重要です。また、特に抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などは、より注意が必要です。
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傷と膿の関係:正しく理解しよう

膿とは、傷口などから出てくる黄白色や黄緑色のどろっとした液体のことです。化膿した時に見られることが多く、見た目にはあまり良くない印象を受けますが、実は私たちの体が細菌や異物から身を守るために起こる反応の結果として生じるものです。 体の中に細菌などの異物が侵入してくると、私たちの体はそれらと戦うために白血球という細胞を送り出します。白血球は、体内に侵入してきた細菌や異物を食べて消化し、体を守ろうとします。この戦いの過程で、白血球自身も死んでしまいます。そして、この死んだ白血球や、白血球が消化した細菌、さらに細菌によって破壊された体の組織の破片などが混ざり合ったものが膿なのです。 膿の色は、含まれている成分によって変化します。一般的には黄白色ですが、緑色の膿が出ることもあります。これは、緑膿菌などの細菌が感染している場合に見られる色で、細菌が出す色素によるものです。また、膿の粘り気も様々で、サラサラとしたものから、どろっとして粘度の高いものまであります。 膿が出ると、傷口周辺が赤く腫れ上がり、熱を持ったり、痛みを感じたりすることがあります。これは炎症反応と呼ばれ、膿とともに体を守るための反応の一つです。炎症は、細菌の増殖を抑えたり、傷の治りを早めたりするのに役立ちます。 膿は決して汚いものと決めつけるのではなく、体が細菌や異物から身を守ろうと懸命に働いている証拠だと理解することが大切です。ただし、膿の量が多い場合や、発熱などの症状を伴う場合は、自然に治癒するのを待つだけでなく、医師の診察を受けるようにしましょう。