精神症状

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介護施設

認知症療養病棟:安心できる居場所

認知症療養病棟とは、介護療養型医療施設の一つで、在宅での暮らしや他の施設での療養が難しい認知症の高齢者を受け入れるための特別な施設です。身体的には寝たきりではないものの、徘徊や暴力、妄想といった精神症状や問題行動が見られる方が入所対象となります。 認知症療養病棟では、医療的な世話はもちろんのこと、精神的な世話にも力を入れています。認知症の方は、環境の変化やストレスによって症状が悪化することがあります。そのため、落ち着いた雰囲気の中で、一人ひとりの状態に合わせた丁寧なケアを提供することが重要です。具体的には、日常生活の援助として、食事や入浴、排泄の介助のほか、着替えや移動のサポートなどを行います。また、認知症の症状緩和のためのケアとして、音楽療法やレクリエーション、作業療法などを通して、心身機能の維持向上を図ります。さらに、精神症状や問題行動への対応として、薬物療法や行動療法などを用いて、症状の悪化を防ぎ、穏やかな生活を送れるように支援します。 認知症療養病棟には、医師や看護師、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士など、様々な専門職が配置されています。彼らは、それぞれの専門知識や技術を活かし、連携を取りながら、利用者の方々にとってより良いケアを提供できるように努めています。 認知症療養病棟は、認知症の高齢者が安心して暮らせる場所です。専門スタッフによる温かいケアと、充実した設備の中で、穏やかで質の高い生活を送ることができます。家族にとっても、安心して大切な人を預けることができる場所と言えるでしょう。
医療

知っておきたいウィルソン病

ウィルソン病は、生まれつき体のなかの銅という金属の処理がうまくいかないために、さまざまな臓器に障害が出てしまう病気です。ふつう、私たちが食べ物からとった銅は、肝臓という臓器で処理され、いらない分は便と一緒に体の外に出されます。しかし、ウィルソン病の人の場合は、この銅を体の外に出すしくみがうまく働かず、銅が体にたまってしまいます。 銅は私たちの体にとって大切な栄養素のひとつですが、多すぎると体に毒になります。ウィルソン病では、余分な銅が肝臓だけでなく、脳や腎臓、目の角膜など、さまざまな場所にたまってしまい、それぞれの臓器の働きを悪くしてしまいます。 肝臓では、炎症を起こしたり、硬くなってしまったりします。これは肝硬変と呼ばれる状態で、そのままにしておくと命にかかわることもあります。脳に銅がたまると、手足がふるえたり、うまく歩けなくなったり、言葉がうまく話せなくなったりします。また、精神的な症状が出ることもあり、性格が変わったり、うつ状態になったりすることもあります。腎臓に銅がたまると、腎臓の働きが悪くなり、体に老廃物がたまってしまいます。目の角膜に銅がたまると、カイザー・フライシャー環と呼ばれる茶色い輪っかができ、視力に影響が出ることもあります。 ウィルソン病は、世界的に見ると約3万人に1人の割合で発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。しかし、症状が出始める時期や症状の種類は人によってさまざまなので、診断が難しい場合もあります。早期に発見してきちんと治療すれば、症状の進行を抑え、日常生活を送ることは十分に可能です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することが大切です。
医療

妄想への理解と対応

思い込みが現実から離れてしまうこと、それが妄想です。 事実とは異なる内容を、揺るぎない真実として信じ込んでしまう状態を指します。 周りの人がどんなに丁寧に説明したり、証拠を見せたりしても、本人は自分の考えが正しいと信じ続け、考えを変えることができません。 妄想の内容は実に様々です。たとえば、実際には誰も見ていないのに「ずっと見張られている」と感じたり、何の根拠もないのに「陰で悪口を言われている」と思い込んだりするといった、自分が被害を受けていると感じる被害妄想がよく見られます。また、自分は特別な力を持っていると信じ込んだり、有名人と特別な関係があると思い込んだりするなど、実際とはかけ離れた誇大な内容の妄想を抱く人もいます。さらに、宗教的な内容の妄想を抱くケースもあります。 妄想を抱いている人は、その内容に基づいて行動することがあります。「見張られている」という妄想を抱いている人は、常にカーテンを閉め切ったり、外出することを極端に恐れたりするかもしれません。「悪口を言われている」という妄想を抱いている人は、周囲の人を疑いの目で見て、攻撃的な態度を取ったり、関係を断とうとしたりするかもしれません。 妄想は、心の病、特に統合失調症の症状の一つとして現れることがよく知られています。しかし、強い不安や悩み、疲れ、睡眠不足、あるいは薬の副作用などによって一時的に妄想が生じることもあります。 日常生活に大きな影響が出ている場合、あるいは妄想によって自分や他人を傷つける危険性がある場合は、すぐに専門家に相談することが大切です。 適切な助言や治療を受けることで、症状の改善が期待できます。一人で抱え込まず、周りの人に助けを求めることも忘れないでください。