精神疾患

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医療

認知障害:理解と寄り添い

認知障害とは、脳のはたらきの衰えによって、記憶する、考える、理解する、判断する、学ぶといった、ものごとを認識する能力に問題が生じる状態のことです。歳を重ねるにつれて、記憶力などが少しずつ低下していくのは自然な流れですが、認知障害は、このような通常の老化の範囲を超えて、日常生活に支障をきたすほど認識する能力が低下した状態を指します。そして、日常生活に大きな影響が出ていると認められた場合は、認知症と診断されます。 認知障害は、特定の病気の名前ではなく、様々な原因で起こる様々な症状が組み合わさった状態のことを指します。よく知られている原因としては、アルツハイマー病、脳の血管が詰まったり破れたりする脳血管障害、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。これらの病気以外にも、歳をとることによる脳の変化や、脳卒中や頭を強く打つことなどによる脳への直接的な損傷、薬の副作用、甲状腺の機能が低下する病気などの体の病気、気分が落ち込むうつ病などの心の病気なども、認知障害の原因となることがあります。 認知障害の症状は実に様々です。もの忘れがひどくなる、新しく覚えたことをすぐ忘れてしまう、自分がどこにいるのか、今は何時なのかわからなくなる、適切な判断ができなくなる、性格が変わってしまうなど、人によって現れ方は異なります。これらの症状は、多くの場合ゆっくりと進んでいきます。そのため、早期に発見し、適切な対応をすることがとても大切です。周りの人が変化に気づき、早めに医療機関を受診するよう促すことも重要です。
介護保険

安心して暮らせる地域生活

この事業は、認知症、精神的な病気、体の不自由などによって、普段の生活を送る上で困りごとを抱えている方々が、住み慣れた地域で安心して暮らせるようにお手伝いすることを目的としています。 具体的には、お金の管理や書類の整理といった、日常生活における事務手続きの支援を行います。家賃や光熱費の支払い、年金や福祉サービスの申請など、複雑で負担のかかる手続きをサポートすることで、利用者の生活の安定と自立を後押しします。 こうした支援を通して、利用者の皆様には、生活の上での不安や負担を軽くし、より良い暮らしを送っていただきたいと考えています。毎日の生活の中で感じる小さな困りごとを解決することで、心穏やかに過ごせるようになり、生活の質の向上に繋がると信じています。 また、困りごとを抱え始めた早い段階で支援を始めることで、症状の悪化を防ぎ、入院や施設への入所が必要となるような状態になる危険性を減らす効果も期待できます。早期の介入は、利用者の自立した生活を長く維持する上で非常に重要です。 さらに、この事業は、利用者ご本人だけでなく、ご家族の負担軽減にも繋がります。介護や支援の負担が軽くなることで、ご家族は心にゆとりを持つことができ、より良い関係を築くことができるでしょう。ひいては、地域全体で互いに支え合う社会の実現に貢献すると考えています。
医療

躁うつ病:気分の波を知ろう

双極性障害、かつては躁うつ病と呼ばれていたこの病気は、心の状態が大きく揺れ動く精神疾患です。気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「鬱状態」という正反対の状態を繰り返すことが特徴です。この心の波は、まるでジェットコースターのように激しく、生活に大きな影響を及ぼします。 躁状態では、気分が晴れやかに高ぶり、活動的になります。普段よりもエネルギッシュになり、自信に満ち溢れ、行動力も増します。しかし、同時に衝動的な行動や怒りっぽくなることもあります。一方、鬱状態では、気分が沈み込み、何事にも興味や喜びを感じられなくなります。体が重く感じられ、疲れやすく、集中力も低下します。食欲不振や不眠といった体の不調が現れることもあります。 これらの躁状態と鬱状態は、通常は症状のない落ち着いた期間を挟んで交互に現れます。しかし、必ずしも規則的に繰り返されるとは限らず、その周期は人それぞれです。数年単位で繰り返す人もいれば、数週間から数十年と大きな個人差があります。また、躁状態から次の状態へ、あるいは鬱状態から次の状態へ移行するまでの期間も様々です。 さらに、躁状態と鬱状態の症状が同時に現れる「混合状態」を経験する人もいます。これは、気分が高揚しているにもかかわらず、強い不安や焦燥感、イライラ感を抱えるなど、複雑な状態です。このような混合状態は、周囲の人にも理解されにくく、本人にとっても非常に辛いものです。双極性障害は、早期の診断と適切な治療によって症状をコントロールし、安定した生活を送ることが可能です。気になる症状がある場合は、早めに専門の医療機関に相談することが大切です。
医療

心の病:内因性精神障害とは?

心の病、特に内側から生まれる心の病は、その原因を特定することが難しいものです。脳の働きを支える、いわば脳の伝令役である神経伝達物質のバランスが崩れることが、一つの大きな原因と考えられています。この伝令役のおかげで、脳の中で様々な情報が行き交っているのですが、このバランスが崩れると、私たちの思考や感情、行動に乱れが生じ、心の病の症状として現れてくるのです。 また、親から子へと受け継がれる遺伝的な要因も無視できません。家族に心の病を持つ人がいると、その病気を発症する可能性が高くなるという研究結果も報告されています。これは、生まれ持った体質が心の病の発症に影響していることを示唆しています。しかし、遺伝だけで全てが決まるわけではありません。 実は、心の病の本当の原因は、まだ完全には解明されていません。神経伝達物質の乱れや遺伝的な要因以外にも、様々な要素が複雑に絡み合って発症すると考えられています。例えば、育ってきた環境や、人生で経験する様々な出来事、人間関係のストレスなども、心の病を引き起こす要因となり得ます。 これらの要因がどのように影響し合い、心の病につながるのかを明らかにするには、もっと多くの研究が必要です。脳の仕組みや遺伝子の働き、そして人の心と体の関係性など、様々な角度からの研究を進めることで、心の病の予防や治療に役立つ新しい発見が期待されています。心の病は、決して特別なものではなく、誰もがなりうる可能性のある病気です。原因の解明に向けて、地道な研究が続けられています。
医療

高齢者のうつ病:知っておくべきこと

老年期うつ病とは、六十五歳以上の方がかかる心の病気、うつ病のことを指します。歳を重ねるにつれて誰でも気分が落ち込んだり、何をするにも億劫に感じたりすることはあります。しかし、老年期うつ病は、このような一時的な気分の落ち込みとは大きく異なります。まるで深い霧の中に迷い込んだように、長い間気分が沈み、喜びや楽しみを感じることができなくなるのです。 この病気は、高齢化が進む現代社会において深刻な問題となっています。家族や周りの方の理解と適切な支えが、回復への大きな力となります。老年期うつ病は、単に歳をとったから気分が沈んでいるのではありません。脳の働きの変化や体の病気、周りの環境の変化など、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。 歳を重ねるにつれて、体の機能が低下したり、長く続く病気を抱えたりすることが増え、日常生活を送るのが難しくなることがあります。また、配偶者や友人との別れ、社会での役割を失うなど、大切なものを失う経験も高齢期には多く、これらの出来事が老年期うつ病のきっかけとなることがあります。 老年期うつ病は、早く発見し、適切な治療を受ければ、症状が良くなる病気です。しかし、物忘れなどの症状が、認知症とよく似ていることがあり、見逃されてしまう場合も少なくありません。「歳だから」「いつものことだから」と安易に考えて放置せず、少しでも異変に気付いたら、早めに専門の医療機関を受診することが大切です。高齢者の心の状態に常に気を配り、温かく見守ることが、老年期うつ病の予防と早期発見につながります。
医療

統合失調症への理解を深める

統合失調症は、誰もがなりうる心の病気です。およそ100人に1人が発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。この病気は、私たちの考えや気持ち、行動に様々な影響を及ぼし、普段の生活を送る上でいくつもの困難をもたらします。 統合失調症の症状は大きく分けて陽性症状、陰性症状、認知機能障害の三つに分類されます。陽性症状とは、健康な人には見られない症状が出現することで、例えば、幻覚や妄想などが挙げられます。幻覚とは、実際にはないものが見えたり、聞こえたりする症状で、妄想とは、間違った考えに固執してしまう症状です。陰性症状とは、健康な人にはある機能が低下した状態を指し、感情の表出が乏しくなったり、意欲が低下したり、人と話すことが少なくなったりといった症状が現れます。認知機能障害とは、集中力や記憶力、判断力といった認知機能が低下する症状です。これらの症状は人によって異なり、症状の現れ方や重さも様々です。 統合失調症の原因は、未だ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れや、遺伝的要因、環境的要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。 統合失調症は、複雑な病気であるため、周囲の理解と適切な支えがとても大切です。早期発見、早期治療によって症状の進行を抑え、社会生活を送ることが可能になります。少しでも気になる症状があれば、ためらわずに専門の医療機関に相談することが重要です。適切な治療と周りの支えがあれば、充実した生活を送ることは十分に可能です。偏見を持たずに、温かく見守る社会の実現が求められています。
医療

認知症と抑うつの関係

心の元気がなくなり、深く沈んだ気持ちになることを抑うつといいます。これは、一時的な気分の落ち込みとは違い、強い沈んだ気持ちが長く続き、毎日の生活に大きな影響を及ぼすのが特徴です。 抑うつになると、何事にも興味や喜びを感じることが難しくなります。好きな趣味や楽しい出来事にも気持ちが動かず、以前は楽しめていたことが楽しめなくなることもあります。また、常に気分が沈み込み、悲観的な考えに囚われがちになります。将来に希望が持てず、自分自身を責める気持ちが強くなることもあります。 心だけでなく、体にも様々な影響が現れます。食欲がなくなり、食事がとれなくなったり、逆に食べ過ぎてしまうこともあります。夜眠れなかったり、逆に寝過ぎてしまうなど、睡眠にも変化が現れます。体がだるく、疲れがとれにくいと感じる人も多くいます。集中力や記憶力が低下し、考えがまとまらなくなることもあります。 お年寄りの場合、体の衰えや周りの人との繋がりが少なくなることなどから、抑うつになりやすいといわれています。物忘れなどの症状が現れるため、認知症と間違えられることもあります。そのため、早期に発見し、適切な対応をすることが大切です。周りの家族や友人は、お年寄りの様子にいつもと違う変化がないか、注意深く見守り、少しでも気になることがあれば、早めに専門家に相談するようにしましょう。
その他

知的な遅れへの理解を深める

知的な遅れとは、十八歳までに知的発達が遅れ、社会生活を送る上で周囲と同じように適応することが難しく、様々な場面で何らかの手助けが必要となる状態を指します。これは単に学校の勉強の成績が良くないというだけではなく、日々の暮らしを送る上で欠かせない能力を身につけるのが遅れていることを意味します。 具体的には、記憶したり、言葉を使ったり、文字の読み書きや計算、時間といった概念を理解する能力(概念的な領域)、周りの人と意思疎通をしたり、社会の決まり事を理解する能力(社会的な領域)、食事をしたり、服を着替えたり、トイレに行ったり、お金を管理したりといった日常生活における能力(実用的な領域)の三つの領域で評価を行います。これらの領域のうち、少なくとも一つの領域で周りの人と比べて明らかな困難を抱えている状態が知的な遅れと定義されます。 知的な遅れの程度は、どのくらい手助けが必要かによって、軽度、中等度、重度、最重度の四段階に分けられます。軽度であれば、学校での勉強や社会生活への適応も比較的容易ですが、重度になるほど、日々の暮らしの多くの場面で、いつも誰かの手助けが必要になります。 また、知的な遅れは、それだけで起こる場合だけでなく、他の発達障害や心の病気、脳の働きの障害などを併せて持っている場合もあります。そのため、一人一人の状態を丁寧に把握し、その人に合った適切な手助けを続けていくことが大切です。
医療

幻聴:聞こえない音が聞こえる?

幻聴とは、実際には何も音がしていないのに、様々な音が聞こえる現象です。これは、見るものがないのに見えてしまう幻視、皮膚に何も触れていないのに感じる幻触などと同様に、五感に異常が生じる幻覚の一種です。周囲には何も聞こえていないため、本人は現実と幻聴の区別をつけるのが難しく、強い不安や混乱に陥ることがあります。 聞こえてくる音の内容は人によって大きく異なり、常に同じ音が聞こえる人もいれば、置かれた状況や感情によって変化する人もいます。また、声の大きさや聞こえ方も様々です。例えば、誰かが自分の悪口をささやいているように聞こえる、命令や指示をする声が聞こえる、実際にはいない赤ちゃんの泣き声が聞こえる、音楽や雑音が聞こえるなど、様々なケースが報告されています。幻聴は、統合失調症などの精神疾患の症状として現れることが多くあります。 幻聴に悩まされている場合、決して自分の気のせいだと決めつけたり、一人で抱え込んだりせず、周りの人に相談することが大切です。家族や友人、職場の同僚などに、聞こえている音の内容やその時の気持ちなどを伝えることで、精神的な負担を軽減できる場合もあります。また、医療機関を受診し、医師に相談することも重要です。幻聴の原因を特定し、適切な治療を受けることで、症状を改善できる可能性があります。医師は、薬物療法や精神療法などを用いて、患者さんの状態に合わせた治療計画を立てます。 幻聴は病気の症状である可能性が高いため、決して本人の性格や意志の問題ではありません。周囲の人は、幻聴を体験している人の気持ちを理解し、偏見を持たずに接することが重要です。温かく見守り、必要な場合は専門機関への受診を勧めるなど、適切な支援をすることで、幻聴を抱える人がより安心して生活できる社会を作っていきましょう。
医療

幻視:見えないものが見える?

幻視とは、実際には何もないのに、何かが見える現象のことを指します。目で見ているもの、つまり視覚に異常が生じている状態です。例えば、壁の模様が虫に見えたり、部屋の隅に知らない人が立っているように見えたり、実際には存在しないものが、まるでそこに実在するかのように感じられます。 この幻視を体験している人は、単に想像しているのではなく、本当にそれを見ているため、自分が見ているものが現実ではないと理解することが難しい場合が多くあります。そのため、周囲の人が「そんなものはない」と否定してしまうと、混乱したり、不安になったりすることがあります。幻視の内容も人それぞれで、虫や小動物のようなものから、人物、風景、文字など様々です。また、その見え方も、ぼんやりとしたものから、非常に鮮明なものまで様々です。 幻視は、様々な要因で起こると考えられています。強い精神的な負担やストレス、過労、睡眠不足などが引き金となることもあれば、脳の病気や、身体的な病気、服用している薬の影響で現れることもあります。また、加齢に伴って視覚機能が低下し、ものが見えにくくなることで幻視が生じるケースもあります。 幻視が現れた場合は、まず落ち着いて、その様子をよく観察することが大切です。いつ、どのような状況で、どのようなものが見えたのかを記録しておくと、原因を探る上で役立ちます。そして、決して幻視を否定したり、非難したりするのではなく、「つらいですね」「大変でしたね」など、共感の言葉を伝え、安心感を与えることが重要です。その後、医療機関を受診し、適切な診察を受けるように促しましょう。自己判断で対処しようとせず、専門家の助言を仰ぐことが大切です。
医療

見当識障害:認知症の理解

見当識障害とは、自分が置かれている状況を正しく認識することが難しくなる状態です。具体的には、時間、場所、人物など、自分が今どこで、いつ、誰といるのかが分からなくなるといった症状が現れます。これは、認知症の主な症状の一つとして知られており、患者さん本人だけでなく、支える家族にとっても大きな苦労の原因となることがあります。 時間の見当識が損なわれると、今日は何月何日か、何曜日か、今はどの季節かといったことが分からなくなります。そのため、約束を忘れてしまったり、食事の時間を間違えてしまったりといった問題が起こりやすくなります。朝なのに夕飯の準備を始めたり、季節に合わない服装をしてしまったりすることもあります。このような状態は、日常生活を送る上で大きな支障となるだけでなく、患者さん自身に不安や混乱をもたらす可能性があります。 場所の見当識が損なわれると、自宅にいながら迷子になったように感じたり、よく知っている場所にいても見知らぬ場所のように感じてしまうことがあります。家の周りの道を歩いているのに迷ってしまったり、自分の部屋が分からなくなってしまったりするケースもあります。このような状況は、患者さんにとって大きなストレスとなり、徘徊につながる可能性も懸念されます。 人に対する見当識が損なわれると、家族や親しい友人の顔を忘れてしまったり、名前が出てこなくなったりします。配偶者を他人と認識してしまったり、子供を兄弟と間違えてしまったりするなど、人間関係の認識にも混乱が生じます。これは、患者さん本人だけでなく、家族にとっても精神的な負担が大きい症状です。 このように、見当識障害は日常生活に様々な影響を及ぼし、患者さんの生活の質を低下させるだけでなく、介護をする家族の負担も増大させる可能性があります。見当識障害について正しく理解し、適切な接し方や支援の方法を学ぶことは、患者さんとその家族が安心して生活を送る上で非常に大切なことです。
医療

ルーラン錠:心のゆらぎに寄り添う

ルーラン錠は、心の調子を整えるためのお薬です。「抗精神病薬」と呼ばれる種類に分類され、ペロスピロンという成分が含まれています。 私たちの脳の中では、様々な物質が情報を伝達しています。その中でも、ドーパミンやセロトニンは、心の状態に大きく影響を与える物質です。ルーラン錠は、これらの物質のバランスを調整することで、精神の安定を助けるはたらきをします。 特に、不安や緊張、イライラといった気持ちを落ち着かせる効果が期待されています。心が落ち着かず、そわそわしたり、些細なことでいらだったりする時に、症状を和らげる助けとなります。 ルーラン錠は、統合失調症、うつ病、躁うつ病といった病気の治療にも使われています。これらの病気は、心のバランスが崩れてしまうことで、様々な症状が現れます。ルーラン錠は、心のバランスを取り戻すことで、これらの病気の症状を改善する助けとなります。 しかし、ルーラン錠を服用する際には、必ず医師の指示に従うことが大切です。症状や体の状態に合わせて、医師が適切な量を決めます。自己判断で服用量を変えたり、急に服用を中止したりすると、思わぬ悪い影響が出る可能性があります。 また、他の薬と一緒に飲むと、予期しない副作用が現れることもあります。現在服用している薬がある場合は、必ず医師に伝えるようにしましょう。医師は、他の薬との飲み合わせも考慮して、安全にルーラン錠を服用できるように配慮します。 ルーラン錠は、心のバランスを取り戻し、穏やかな毎日を送るための支えとして、多くの人々に利用されています。医師の指示を守り、正しく服用することで、より効果的に心の健康を守ることができます。
その他

動物と触れ合う癒し:アニマルセラピー

動物との触れ合いを通して、人の心と体の健康を促すのが、動物介在療法です。動物介在活動、動物介在ケアなど様々な呼び方がありますが、ここでは動物介在療法という言葉で統一します。犬や猫、馬、鳥、うさぎなど、多くの種類の動物たちが療法を担う動物として活躍しています。これらの動物たちは、人との触れ合いに必要な特別な訓練を受けており、安全に交流できるようになっています。 動物介在療法は、病院や高齢者施設、学校など、様々な場所で取り入れられています。入院中の方や、施設で暮らす高齢者の方々にとって、動物との触れ合いは気分転換や楽しみとなり、生活の質の向上に繋がります。また、子供たちにとっては、動物と触れ合うことで命の大切さを学び、情操教育の一環としても役立っています。 動物と触れ合うことで、私たちの心は安らぎ、日々の緊張や不安を和らげることができます。言葉で伝えるのが難しい方々にとっても、動物との触れ合いは心を通わせる大切な機会となり、情緒の安定や意欲の向上に効果が期待できます。動物は言葉を使わずとも、寄り添い、見つめ、共に時間を過ごすことで、人に安心感や喜びを与えてくれます。 動物介在療法は、ただ動物と触れ合うだけでなく、心と体の健康に深く関わる療法です。専門の知識と技術を持った担当者が、対象となる人の状態に合わせて、適切な動物を選び、プログラムを組み立てます。動物介在療法は、医療や福祉の現場で、今後ますます重要な役割を担っていくでしょう。
医療

措置入院:知っておくべき要点

措置入院とは、精神保健福祉法という法律に基づいて、精神の病気を抱えている方が、自分の意思とは関係なく入院させられる制度です。これは、病気が原因で、自分自身や周りの人々を傷つけてしまう危険性があると判断された場合に、都道府県知事などの行政機関が間に入り、強制的に治療を受けさせることができるように定められています。このような措置入院は、精神科の医師2人による診察が必要です。まず、患者さんの病状や生活状況を詳しく診る診察と、都道府県知事などが指定した精神科の医師による診察が行われます。2人の医師が共に、入院が必要で、患者さん本人が入院に同意できない状態だと判断した場合に、初めて措置入院の手続きが始まります。入院期間は、患者さんの状態によって変わります。定期的に医師が診察を行い、病状の回復具合を確認します。そして、自分自身や他人を傷つける心配がなくなれば退院となります。ただし、病状が安定しても、すぐに社会生活を送れるとは限りません。退院後も通院や社会復帰施設の利用など、継続的な支援が必要となる場合もあります。措置入院は、精神の病気を抱える方の保護と社会復帰を目指すための制度ですが、同時に人権への配慮も非常に重要です。そのため、患者さんの意思を尊重し、可能な限り本人の希望に沿った治療環境を提供することが求められています。
医療

高齢者のうつ病をよく理解しよう

気分が沈み込む状態が長く続き、日常生活に大きな支障をきたす病気をうつ病といいます。一時的に気分が落ち込むこととは異なり、喜びや楽しみといった感情を感じにくくなるのが特徴です。食欲がなくなり食事がとれなくなったり、夜眠れなくなったりと、身体にも様々な症状が現れます。 高齢者の場合、若い人とは異なる特徴を持つ「老年期うつ病」に注意が必要です。老年期うつ病は、高齢者の数人に一人に見られる症状で、特に60歳前後で発症することが多いといわれています。物忘れが増えたり、集中力が続かなくなったりするなど、認知機能の低下が目立つのが特徴です。また、身体の不調を訴えることも多く、頭痛や肩こり、めまいなどを訴える高齢者もいます。そのため、他の病気と間違えやすく、正しい診断と治療を受けるのが遅れてしまうこともあります。 老年期うつ病の原因は、加齢に伴う身体機能や社会的な役割の変化、家族や友人の死別など、様々な要因が考えられます。身体的な病気や経済的な不安なども、老年期うつ病の引き金となることがあります。 周囲の人は、高齢者の日頃の様子に気を配り、いつもと違う様子が見られたら、話を聞いて共感するなど、適切な支えをすることが大切です。「歳をとれば誰でもなるもの」と決めつけずに、医療機関への受診を勧めることも重要です。早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の改善や社会生活への復帰が期待できます。老年期うつ病は、決して治らない病気ではありません。周りの人の理解と支えが、高齢者の回復を大きく後押しします。
医療

うつ状態とは?その症状と対応

心の状態が沈み、憂鬱な気分が長く続く状態を、うつ状態といいます。これは、一時的な落ち込みとは大きく異なり、日常生活に大きな影響を及ぼすほどの強い症状が現れます。 うつ状態になると、以前は楽しめていた趣味や活動にも興味や喜びを感じなくなります。例えば、好きな音楽を聴いても、以前のように感動したり、心が安らいだりする感覚が薄れてしまいます。また、友人との会話や外出なども億劫になり、次第に人と会うことを避けるようになることもあります。 心の状態だけでなく、身体にも様々な症状が現れます。食欲が減退し、何を食べても美味しく感じられない、あるいは逆に過食になることもあります。また、夜眠れない、あるいは朝早く目が覚めてしまうなど、睡眠にも影響が出ます。その他にも、疲れやすさ、頭痛、肩こり、便秘、めまいなど、様々な身体の不調が現れることがあります。 これらの心の変化や身体症状は、脳の働きに何らかの変化が起きていることを示しています。脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで、気分や感情、意欲、思考力、睡眠などに影響を与えていると考えられています。 うつ状態は、特別な人がなる病気ではなく、誰もがなり得る身近なものです。仕事や家庭でのストレス、人間関係のトラブル、大きな病気や事故など、様々な要因がきっかけとなって発症する可能性があります。また、遺伝的な要因も関係していると考えられています。 うつ状態は、早期に適切な対応をすることで回復に向かうことができます。そのため、うつ状態について正しく理解し、少しでも兆候を感じたら、早めに専門家に相談することが大切です。家族や友人など、周囲の理解と支えも、回復への大きな力となります。
医療

精神障害:理解と支援の道筋

精神障害とは、心の働きが乱れ、日常生活を送る上で困難が生じている状態のことを指します。これは、脳の機能に何らかの不具合が生じることで起こり、その原因は一つではなく、様々な要素が複雑に絡み合っていると考えられています。 例えば、生まれつき持っている体質や脳の構造、幼い頃の心の傷、過剰な負担、社会とのつながりの欠如など、様々な要因が指摘されています。精神障害は、特別な人にだけ起こるものではなく、誰もがなりうる可能性のある病気です。風邪や流行性感冒のように、適切な治療と支えがあれば、回復に向かうことができます。 精神障害には様々な種類があり、症状も人によって大きく異なります。代表的なものとしては、気分の落ち込みが続くうつ病、強い不安や恐怖に襲われる不安障害、幻覚や妄想といった症状が現れる統合失調症などが挙げられます。これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えます。仕事や学業に集中できなくなったり、家族や友人との関係が難しくなったり、趣味や楽しみごとにも意欲がわかなくなったりするなど、様々な困難が生じます。 精神障害は決して恥ずかしい病気ではなく、適切な治療と支援によって回復できる病気です。周囲の理解と支えは、回復を目指す人にとって大きな力となります。精神障害について正しく理解し、偏見を持たない温かい社会を作っていくことが大切です。困っている人がいたら、一人で抱え込まずに、専門機関や相談窓口に相談するよう促しましょう。早期に適切な支援を受けることで、より早く回復への道筋を見つけることができます。
医療

被害妄想:認知症を知る

被害妄想とは、実際には何も起きていないにもかかわらず、自分が誰かに狙われたり、陥れられたりしていると強く思い込んでしまう心の状態のことです。 例えば、実際には誰も盗んでいないのに「大切なものを盗まれた」と訴えたり、誰も悪口を言っていないのに「陰で自分のことを悪く言われている」と感じたりします。 このような思い込みは、特にもの忘れの症状が進む方によく見られる心の症状の一つです。周りの人たちにとっては、なぜそのようなことを言うのか理解できないことが多く、対応に困ってしまうこともあります。もの忘れの症状によって脳のはたらきが弱まると、情報を受け取って整理したり、何が正しいかを判断する力が衰えてしまい、現実と空想の区別が難しくなるため、このような思い込みが生じやすくなると考えられています。 特に、記憶をつかさどる脳のはたらきが弱まると、出来事を正確に思い出すことができなくなり、その記憶の空白部分を思い込みで埋めようとしてしまうことがあります。 例えば、しまっておいた場所を忘れてしまった場合に、「誰かに盗まれた」と思い込んでしまうことがあります。また、周りの環境の変化や、心身に負担がかかる出来事も、思い込みを引き起こす一因となることがあります。 引っ越しや、家族との別れなど、生活環境の大きな変化は、もの忘れの症状を持つ方にとって大きな負担となり、不安や混乱を招きやすいため、被害妄想につながることがあります。 さらに、周りの人から叱責されたり、無視されたりといった精神的な負担も、被害妄想を悪化させる要因となります。 そのため、もの忘れの症状を持つ方の行動を理解し、適切な対応をするためには、被害妄想がどのような仕組みで起こるのかを理解することが大切です。もの忘れの症状を持つ方が被害妄想を抱いている場合には、頭ごなしに否定したり、言い負かせようとするのではなく、まずは相手の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示すことが重要です。 そして、穏やかに事実を伝え、安心感を与えるように努めましょう。もし、被害妄想が強く、日常生活に支障が出ている場合には、専門の医師に相談することも検討しましょう。